所変われば育て方も変わる? 発見! 世界の子育て 世界のおけいこごと事情(2)~英語学習と留学

楽しいことも、悩みや気がかりも多い「子育て」「教育」。このコーナーでは、日本とはちょっと違う、ほかの国の子育て事情をご紹介します。さまざまな方法や考え方を知ることで、子育てに対しての気持ちが少し楽になったり、自分に合った方法にアレンジしたり……。
日本の、そしてご自身の子育て・教育を見つめ直してみませんか。



現代はグローバル化が進んでいると言われていますが、事実、政府の統計などを見ると、企業の海外進出や、それに伴う海外赴任者数は確実に増え続けています。子どもたちが、社会人となる10年後、20年後には、もしかしたら我が子が海外で仕事したり、生活したりすることもあるかもしれません。国もここ数年、学校での英語教育を含むグローバル人材育成に力を入れる施策を矢継ぎ早に出しています。学校外でも、英語・英会話は人気が高いおけいこごとの一つ。「加熱しすぎではないか」という声もありますが、果たして日本だけの現象でしょうか。

まずは、アジアの国々について見てみましょう。シンガポールやフィリピンのように英語が公用語である国以外では、外国語である英語学習は学校内外でかなり盛んなようです。たとえば、お隣の中国や韓国の英語学習の過熱ぶりを、新聞やテレビでご覧になったことがあるかたも多いかと思います。両国とも、小学校の早い段階から学校での英語教育が始まることもあり、学校に入る前に差がつかないようにと、低年齢から本格的な英語学習を始める家庭が増えているようです。実際に私が韓国で行った調査では、午前中は英語だけ使う幼稚園(日本でも最近増えているプリスクール)、午後は母国語であるハングル語での幼稚園に通わせている家庭が年々増えているとのことです。また、テコンドーなどスポーツ系のおけいこごとも英語で行うなど、英語をミックスしたおけいこごとも増えているようです。

その他のアジアの国、たとえばタイやインドネシアでも英語学習は人気。ネーティブスピーカーが教師であることへのこだわりが強い保護者が多いようですが、ネーティブスピーカーではなくても子どもへの対応が優れている教師がいる、料金が安いなど、各家庭のニーズに応じて多様化がどんどん進んでいるそうです。ちなみに、中国と韓国もそうですが、タイやインドネシアでも裕福な家庭では幼稚園からインターナショナルスクールに子どもを入れる家庭が多く、インターナショナルスクールはここ数年で急増しているそうです。インターナショナルスクールに子どもを通わせていない家庭でも、前述のような英会話教室通いをさせている状況のようです。

日本と大きく違うと感じるのは、英会話教室に通う頻度。日本の英会話教室の場合は多くが週1~2回程度かと思いますが、タイやインドネシアでは週3回以上がほとんどのようです。授業料もその分高いわけですが、英語学習の目的が「英語圏への留学」という家庭が多く、「これくらいは通わないと身に付かない」と考える保護者が多いようです。タイに住んでいた知人の話では、よく「English is money.」というフレーズを聞いたとのこと。「英語はお金になる」という意味だそうですが、自国の企業よりも外資系企業のほうがお給料がよいため、それを目指して子どもに英語学習や留学をすすめるのだとか。ただ、最近は「英語+1」と言われているそうで、英語だけでは競争に勝てないので、もう一つ外国語を身に付けさせたいと考える保護者が増えており、特に中国語が人気で中国への留学も増えているようです。

また、アジア以外でも同じような状況のようです。うちの高校生の娘がホームステイしたイギリス人家庭には、ほかにもイタリア人・ロシア人・ドイツ人の高校生が来ていたとか。英語圏以外のヨーロッパ人も、ビジネスの共通語が英語である場合が多いため、英語圏に子どもを留学させる家庭が多いようです。また、南米コロンビア出身の友人も、中学生以降になると子どもを英語圏に留学させる家庭が増えていると話していました。

ここまで見てきたように、英語学習や留学はもはや世界的なトレンドのようです。進学や就職に有利であるという経済的な理由が多いようですが、外国語を学ぶ意義はそればかりではありません。違う国・地域の言葉を学ぶことは、その言葉を生み出した国・地域の文化や歴史を深く理解することでもあります。機械で翻訳できる時代になっても、相手への深い理解や尊敬がない会話では、人間関係は深まりにくいのではないでしょうか。英語学習や留学などをお子さんが始める前に、その意味や意義について改めて考えてみることも大切なように思います。


プロフィール

沓澤 糸

大学卒業後、約25年間、(株)ベネッセコーポレーションに勤務。ベネッセ教育研究開発センター(現・ベネッセ教育総合研究所)で子育て・教育に関する調査研究等を担当し、2012(平成24)年12月退職。現在は夫、娘と3人でロンドン在住。

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