図形を英語で言ってみる 第53回 [Oh,my Gooodness!]

親子で英語圏に住み、現地の学校に行きながら英語を学ぶ……。3歳の娘と母親である筆者は、夫のアメリカ転勤のために、そんな理想的な環境に飛び込むことになりました。果たして本当に「子どもは英語にすぐ慣れるから大丈夫」? アメリカに住みながら英語を学ぶメリットとデメリットとは? 筆者のアメリカ生活をとおして、日本に住むご家庭では、どんな取り組みができるのか考えていきます。
※「Oh,my Gooodness!」とは、「あらまあ!」という驚きを表すことば。

第53回  [Oh,my Gooodness!]図形を英語で言ってみる当たり前のことなのだが、アメリカでは算数を勉強するときも英語を使う。日本の幼稚園児が「まる」「さんかく」「しかく」を覚えるのと同じように、アメリカのプリスクールでも図形の名前を英語で言うことが求められる。
まず、「まる」は「circle」、「さんかく」が「triangle」、「しかく」(正方形)が「square」。このへんはわりと簡単で、親子ともにすぐに覚えられた。しかし、「ながしかく」(長方形)が「rectangle」、ひし形が「diamond」、八角形が「octagon」といった類のものは、親の私もスラスラ出てこなかったぐらいで、娘もぜんぜん知らない。キンダークラスに入ってからは算数っぽい授業も始まるので、こうした用語は必須になってくる。アメリカ人のお子さんたちは、自然と覚えていたようだけれど、うちの場合は改めて勉強しておく必要があった。

はじめ、私はクイズのように娘に「ながしかくは英語でなんて言うの?」「丸はなんて言うの?」と質問して教え込もうとしたのだが、お勉強くさいアプローチだったせいか「知らなーい!」とあっさり拒否反応を起こされた。そこで取り出したのが、教材屋さんで買っておいた「ぬりえドリル」の「Shapes」である。
汽車の絵が書いてあって、窓や車輪などに「color the square」「color the rectangle」とあればそれぞれ四角や長方形に色を塗り、星マークが点線でいっぱい描いてあるページには「trace,color」と指示があるので、まず点線をなぞってから色を塗る。

「ねえねえ、お母さんと塗り絵しようよ。新しいの買ってきてあげたんだよ」と声をかけると娘は「やる」と言ってのってきた。ハートのページを開き、私が濃いピンク、娘が薄いピンクの色鉛筆で塗り始めた。塗り絵だからといって欲張るのは禁物で、この前はハートのページをやったから今日はお星様、こんどは卵形(oval)……といった具合に、少しずつ気が向いたときに進めていく。思い出したときに塗り絵を続けながら半年ぐらいが経ち、最近だいたい「Shapes」に載っている単語は覚えたようだ。

中学生が英単語として図形の名前を覚えるのと違って、幼児の場合は、日本語で「かたち」の概念、その日本語名、それと一緒に英単語としていっぺんに覚えられるメリットがある。日本語で「まる」「さんかく」「しかく」「ながしかく」「ひし形」を教えるときに、「日本語を覚えたな」と思ったら、続けて英語も教えてみよう。絵本を読みながら「このかたちは何?」と聞いて「まる」と子どもが言ったら、「英語ではcircleって言うんだよ」というように。とても気楽だし簡単なので、ぜひ取り組んでみてほしい。

プロフィール



音楽・ノンフィクションライター。中学校教諭、養護学校教諭からライターに転身。現在は音楽と教育をテーマに執筆活動を行う。著書に「りんごは赤じゃない 正しいプライドの育て方」「子どものセンスは夕焼けが作る」など。2006年3月より米カリフォルニア州在住。1児の母。

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