イメージしづらい単元を学ぶコツ~「月と太陽」を例に~
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小学校の理科は、低学年では身近で観察しやすく、イメージがしやすい内容を学びます。
しかし高学年になるにつれ、概念や現象がつかみづらく、イメージがしづらい内容が増えていきます。このような、いわゆる難単元は苦手意識を持つ子も多く、理科嫌いになる原因にもなります。
ここでは、苦手な人が多い「月と太陽」の単元を例に、興味関心を引き出す声のかけ方や、全体像をイメージしづらい現象を学ぶコツをお伝えします。
観察にひと工夫!「変化」に気付きやすくなる会話の仕方
まずは月を実際に見て実感し、興味付けを行いながら学習内容に入っていきましょう。
親子で月を観察しながらできるコツをご紹介します。
観察をするときは、「月の見え方の変化」を具体的にとらえることが重要です。
しかし「月の見え方の変化」には時間がかかるので、「今日は満月だな」など、瞬間の様子に気付くことはできても、「どのように変化したか」には気付きにくいものです。
そこで、以下のような問いかけをしてみてください。
例)2時間前に見たときよりも、月の位置が電柱に近付いたね。
例)1週間前と比べて、月の大きさが変わったよ。
ここでポイントとなるのが、「〇時間前、〇週間前」などの時間の経過と、「位置が変わった、大きさが変わった」などの場所・位置の変化や形の変化です。
この投げかけによって、着目するべきところがわかると、うまく変化をとらえられるようになります。そして変化をとらえられるようになったら、なぜそうなるのかを一緒に考えてみてください。小学校の教科書や図鑑などで、調べてみてもよいですね。
また、ふだんの月の観察に加え、月食や日食、スーパームーン、流星群など、天体にはイベントが数多く存在します。親子でのコミュニケーションにも最適ですので、イベントのある日にはぜひ親子で夜空を観察し、学びのきっかけにしてください。
天体イベントはテレビのニュースで伝えられることも多いですし、また、Webサイトなどで一緒に調べてみるのもおすすめです。
- ・一緒に観察しながら「時間の経過(どのくらい前と比べて)」「場所・位置の変化、形の変化」を投げかけてみる
- ・「天体イベント」をチェックして一緒に見てみる
しくみの全体像をつかむには動画を活用
月と太陽の単元で難しいことに、「目で見ている現象がなぜ起こるか、しくみの全体像がイメージしにくいこと」が挙げられます。
たとえば地上から満月を見ているときは、太陽・地球・月の順で一直線上に並んでいますが、半月になると、太陽と地球、地球と月のつくる角度が直角になり、位置関係が変わります。
このように、はるか遠くの太陽と月の位置関係の変化によって月の見え方が変わるので、しくみの全体像がイメージしにくいのです。
そういうときは、子ども向けに作られた学習動画をぜひ活用してみてください。
ボールとライトを使って、光の当たり方でどのように見え方が変わるのかなどの定番の実験動画、CGを使った、月・地球・太陽の位置関係と月の見え方をまとめた動画など、動きでしくみを見ることで、よりイメージがしやすくなります。
また、プラネタリウムを利用してみるのもおすすめです。
実際の空の様子を短時間でわかりやすく知ることができ、どのようなしくみでその現象が起きているのかも解説されます。
月と太陽の番組だけではなく、星に関するさまざまなテーマで番組が上映されており、天体分野に対する興味も理解も深まります。
- ・実験動画、解説動画など、子ども向けの学習動画を活用する
- ・プラネタリウムを利用する
まとめ & 実践 TIPS
今回は、「月と太陽」の単元を例に、イメージしづらい単元を学ぶコツについてお伝えしました。
「観察するときは変化を具体的にとらえる」「しくみの全体像がイメージしにくいときは動画を活用」、どちらも、日々の生活の中で簡単に取り入れることができますので、ぜひ試してみてください。
小学校では地上から見た天体の様子を学習していますが、中学校に入ると視点が宇宙へと変わり、さらに内容が高度になっていきます。小学校の今から、天体に慣れ親しみ、学びが進んでいっても理科が好きで得意になっていただけたら幸いです。
株式会社プランディット 編集事業部 理科課 吉岡
編集プロダクションの株式会社プランディットで、進研ゼミを中心に、小学校から高校向けの理科の教材編集を担当。
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