小学校で理科の「専科教員」増える理由 教員の理科への苦手意識

小学校で、音楽・体育などを学級担任以外の先生に教わった経験のある人は多いだろう。このような小学校における「専科教員」は、これまで技能系教科が中心だったが、最近になって理科の専科教員が増えていることが文部科学省の調査で明らかになった。背景には、子どもたちの“理科離れ”を防止するという狙いとともに、多くの小学校教員が理科に対する苦手意識を持っていることもあるようだ。教育ジャーナリストの斎藤剛史氏が解説する。

 

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昨年4月から全面実施された小学校の新しい学習指導要領では、理科の授業時間数が全体で55時間増の405時間となりました。しかし、科学技術振興機構の調査によると、経験10年未満の小学校教員の6割以上が「理科が苦手」と回答しています。これは、小学校教員の多くが基本的に文科系であること、小学校教員の62.8%が女性であることなどが原因と言われています。

 

いくら理科の授業時間数や教育内容を増やしても、それを教える教員が理科を苦手としていたのでは、効果も上がりません。このため、理科を教科担任制にして専科教員を配置する自治体が増えているのです。

 

文科省の調査結果によると、2011年度に理科を教科担任制にした公立小学校は、4年生が20.3%、5年生が31.8%、6年生が34.2%と、全て2009年度の数字を上回り、小学校高学年では3割以上の学校が学級担任以外の教員を充てていました。理科教育の充実は大きな課題であり、小学校理科の専科教員は今後も増えることが予想されます。

 

ただし、問題もありそうです。実際の小学校の現場では「持ち授業時間数が少なくて済む」という理由で主任クラスの教員が理科の専科になるケースもあり、必ずしも理科が専門または得意という教員が任命されるとは限らないのです。

 

このような実態を改善するため、茨城県や静岡県などでは、中学校の理科の教員免許状を持つ者を小学校の理科専科教員として特別枠で採用するところも出始めています。今後、理科の教員免許状所有者を小学校の専科教員として採用する自治体は増えていくと思われます。

 

出典:理科の「教科担任制」、小学校でも約3割に。小学校教員の6割以上が「理科が苦手」!? -ベネッセ教育情報サイト

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