自宅学習の習慣化 サポートのコツ【中学受験】

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中学受験をめざして4、5年生から塾に通い始めたもののなかなか学習習慣が身に付かない、という悩みをよくお聞きします。ご家庭でどのような働きかけを行うことでお子さんの学習量を増やしていくことができるのか、森上教育研究所がお伝えします。

最初はほんの少しの勉強量から学習習慣を付けていく

子どもは素直に勉強しないのが当たり前

小学4、5年生のお子さんが塾に通い始めたけれど、なかなか毎日学習できない、土日もほんの少し勉強しただけで集中力が切れてしまう。そういった学習量がきちんと確保できていないという悩みをお聞きすることがあります。

実はこのくらいの年齢になると、保護者のかたが「塾の宿題をやろうね」と声をかけても素直に勉強しないのが当たり前です。
素直に保護者のかたの声かけで机に向かうのは小学3年生ごろまで。本当は3年生までに勉強をする癖を付けておくことができればベストなのですが、通塾は4、5年生から始める場合が多く、ひと工夫が必要になります。

ご褒美を用意する、友達と一緒に取り組むなどの工夫を

では、どう学習習慣を付けていくかというと、最初は最低限の量を毎日勉強することから始めましょう。
今まで塾に行っていなかったお子さんが塾に行き始めただけでも十分偉いわけです。そう考えてあまり欲張らず「宿題のこのページだけやろうね」とゴールを明確に示します。学校から帰ったらおやつを用意して、リラックスをしてからとりかかると効果的です。

もし近所に同じ塾に通うお友達が何人かいる場合は、お友達も一緒におあずかりして「塾のための宿題教室」「塾のための予習教室」を開くのもおすすめです。
保護者のかたが教師役になって「みんなで30分でこれだけやろうね」とお友達も一緒に塾の宿題、予習などを行うわけです。一人だとなかなか勉強に向かえないお子さんでもお友達が一緒であればがんばれることも多いのです。

楽しい雰囲気で少しずつ勉強量を増やすことで習慣付けを

しばらくは最低限の量を毎日勉強して勉強の習慣を付けることだけに集中しましょう。
最初は成績が上がってこないので不安になると思いますが、習慣が付くまでの辛抱です。ただし月例テストの見直しは必要です。みんなができない難しい問題はできなくてもよいので、正答率50%以上の問題だけは正解できるように見直しておきましょう。

そうして週に何回か塾に行き最低限の勉強を行っていれば、3か月もたつころには、勉強の習慣が徐々に身に付いていきます。そうなれば、さらにご褒美を増やすなどして、勉強量を少しずつ増やしていきましょう。途中、保護者のかたも焦りが出てもっとたくさん勉強させたくなるかもしれませんが、そこは我慢です。怒ったりしないように注意して、楽しく勉強させることができれば必ず勉強の習慣は付いてきます。

子どもだけでの勉強はまだ難しいことを前提に

保護者が忙しい場合は他人の手も借りて

ただし勉強の習慣が付いてきたとしても、「放っておけば一人で勉強する」というのは小学生ではまだ難しい場合がほとんどです。「勉強は親子で一緒に」ということを肝に銘じて、保護者のかたが伴走していくことが必要です。

しかし、共働きのご家庭などお子さんの勉強にずっと付き合うことが難しいご家庭もあるでしょう。そうした場合は、他人の手を借りるといいでしょう。
ご近所でお願いできるご家庭がある場合は先ほどの「塾のための学習教室」を行っていただいてもいいでしょう。もしくは、少しお金を出して家庭教師に来てもらえば安心です。

また最近は集団塾であっても個別指導教室を充実させているところがありますので、個別指導教室に申し込んで塾の自習室で勉強させているというご家庭もあるようです。家ではなかなか勉強に向かいづらいお子さんも塾の自習室では集中して勉強できるという場合もあります。
保護者のかたが忙しくてご自宅でお子さんの勉強に付き添うのが難しい場合は、そのような方法も検討されるとよいでしょう。

まとめ & 実践 TIPS

学習習慣を付けるには、ご褒美を用意する、お友達と一緒に取り組むといった工夫をして、最低限の量を毎日勉強することから始めましょう。
月例テストの見直し以外は勉強量を増やさず、3か月続ければ勉強の習慣が身に付いてきます。
ただし小学生では一人で勉強するのはまだ難しいので、保護者のかたがそばで伴走することが必要です。
それが難しい場合は、ご近所にお願いするか、家庭教師や集団塾の個別指導教室にお願いするなど、他人の手も借りることを検討しましょう。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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