小学生の「調べ学習」を楽しく進めるためのポイント
- 学習
「調べ学習」が学校の宿題などで出されたとき、「どう進めていけばいいかわからない」と困ってしまった経験があるかたは多いのではないでしょうか。「調べ学習」をスムーズに進めていくためのポイントやまとめ方を、赤ペン先生の経験も交えて詳しくご説明していきます。
(赤ペン先生 吉田)
この記事のポイント
「調べ学習」とその手順とは?
まず、「調べ学習」とは簡単に言うと、自分でテーマを決めて情報を収集し、考え、まとめ、報告(発表)する学習のことです。調べ学習の基本的な手順は次の通りです。
(1)テーマを決める
(2)テーマについて見通しを立てる
(3)調べ方を決めて、必要な情報を収集する
(4)集めた情報を整理しまとめる
何だか難しそうですね。次に、できるだけわかりやすく、その取り組み方をご紹介したいと思います。参考にしてみてください。
「テーマ」を決めよう
何といっても、「テーマ」が重要です。お子さまが一人でテーマを決めるのが難しい場合は、おうちのかたが、ヒントを出すなどして、促してあげるのがよいでしょう。
ポイントは、お子さまの興味や関心があることにつなぐことです。
例えば、歴史に興味のあるお子さまでしたら、「○○が住んでいる△△という地名は、どうして付けられたのだと思う?」などと、自分が住んでいる町の地名の由来に興味をもたせるのもいいですね。
また、雨上がりにきれいな虹が出ていたら「どうして虹ができるんだろうね。」などと日常生活のふとした疑問や「もっと知りたい」と思うことに目を向けられるような「パス」をしてみてはいかがでしょう。そのときに、「○○は、どんなふうに考える?」などと子供に、結果を予測させるような問いかけをすると、「調べてみたい」という意欲にもつながると思います。
そして、何より大切なことは、お子さまが決めたテーマに大いに共感することです。「おもしろそう!」「よく思いついたね!」などと気持ちを盛り上げるような声かけをしてあげてください。ワクワクするような興味や関心があれば、お子さまの「調べてみよう!」という意欲がますますアップします。この気持ちが「調べ学習」の肝となります。
調べる方法は主に4つ
テーマが決まっても、調べ方がわからないと困りますね。テーマによって、調べ方が異なりますので、お子さまがわからないようでしたら、おうちのかたが、どんな手段で調べればよいかを教えたり、一緒に考えてあげてください。調べ方には、次のような方法があります。
(1)百科事典・辞典・図鑑
(2)図書館などの本
(3)インターネット・新聞・雑誌
(4)インタビュー
百科事典で調べる
基本的なことが簡潔に書かれているので、調べたいことの全体像を把握したり、物事の内容や言葉の意味を知るのに最適です。
図書館の本で調べる
自分で本を探すのが難しいときは、レファレンス・カウンターに相談すると、テーマに沿った本を紹介してもらえるので便利です。本で調べた場合は、まとめるときに参考にした書名や著者名などが必要になってきますので、メモしておくように伝えましょう。
インターネット・新聞・雑誌で調べる
低学年からパソコンの授業がある学校は多いと思いますので、各ご家庭の状況に合わせて、適宜、使用してください。なお、インターネットの情報には、信憑性の低いものもありますので、鵜呑みにせず、複数のサイトを見たり、誰が書いたのかがわかるもので調べることが大事であること、また、インターネットだけで調べて終わりにするのではなく、本や新聞など別の方法でも調べて確認する大切さも教えてあげてください。
多くの情報を目にすることで、どの情報が正しいかを判断できる力も付いてきます。
インタビューをする
そのテーマのことをよく知っている人に話を聞くのも一つの方法です。身近な人でもよいですし、資料館や博物館などの専門的な知識のある人に聞いてみるのもいいですね。
まとめ方の基本をおさえよう
まとめ方は、「始め」(序論)・「中」(本論)・「終わり」(結論)の3つのまとまりに分けるのが基本的な書き方です。
難しいようでしたら、新聞や雑誌などの書き方の参考になる記事を見せ、まねをして書かせるのがいちばんわかりやすいです。「まねはよくないのでは?」と思われるかもしれませんが、まずは、書き方のコツを知って身につけることが大切です。コツをつかめば、次第に自分の力でできるようになります。
・「始め」
「何を調べたのか」「なぜそれを調べようと思ったのか(動機)」を書きます。
・「中」
調べた内容を書きます。
ここで ありがちなのが、本やインターネットの丸写しです。さすがに、一言一句同じでは気が引けるので語尾だけ変える、というケースもありますが、これでは、学習したことにはなりません。
収集した情報を整理し、伝える順序や見出しを工夫するなど、よく考えることが大切です。必要に応じて、図やグラフ、写真などを載せるとわかりやすくなったり、めりはりがつきます。
・「終わり」
テーマに対する「答え」です。発見したことや調べながら考えたことなどを中心に書きます。ここでの注意点は、「調べるのが大変でした」などのような感想ばかりになってしまわないことです。調べ終えての感想は、「終わり」の最後に自分の言葉で短く書きます。
・本やインターネットのWebサイトなど、参考にしたものは「参考文献」として忘れずにまとめて書くことも伝えましょう。
調べ学習の注意点
本やインターネットなどから、文章を引用するときは、引用部分が多すぎたりすると、「著作権」を侵害することになるので気をつけましょう。引用部分には「 」を付け、出所は明確にしておくことが必要であることも教えてあげてください。
まとめ & 実践 TIPS
「調べ学習」は、おうちのかたにとっても、お子さまにとっても負担になることのほうが多いかと思います。私もその一人でした。わが家の子供は、大の勉強嫌いのめんどくさがりやでしたが、実家が自然に恵まれていたこともあり、「カエルの保護色」や「蜘蛛の巣」「苔」などについて調べることができました。
後日談ですが、自分で興味をもって調べたことは、何年経っても覚えているので知識として残るし、何より、着眼点をほめてもらえたこと、おもしろいと認めてもらえたことがうれしかったと言っていました。
子供は元来「なぜ?どうして?」と不思議がるものです。その「なぜ?どうして?」の延長線上に「調べ学習」があると思います。子供は興味があることには、積極的になれます。いろいろな気づきや発見がおもしろさになり、やる気も増します。反対に、嫌々調べることは、苦痛でしかありません。
おうちのかたができる最大のことは、日常生活の中で、子供の「なぜ?どうして?」の「芽」を大事に育てること、助言をしながら導き、できがどうであれ「とにかくほめる」ということに尽きると思います。
そして、「わかった」「また調べたい」という問題を解決していくことの楽しさを親子で味わうことができるといいですね。
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