理科的思考力が育つ!夏休みに親子で楽しむ『サイエンススイーツ』

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おうち時間が増える夏休み。親子で一緒に楽しめて、勉強にもなる「サイエンススイーツ」作りはいかがですか?『不思議なお菓子レシピ サイエンススイーツ』の著者で、子どもたちの好奇心を刺激するワークショップを長年主宰している、ケーキデザイナーで芸術教育士の太田さちかさんにお話を伺いました。

この記事のポイント

サイエンススイーツは、おいしい科学実験

—ワークショップを主宰する中で、子どもたちが日常の中で感じる疑問、例えば「何で海に入ると浮かぶの?」「どうして重たいものは沈むの?」といったものに、1つの見方としてサイエンスをフィルターにして説明すれば、わかりやすいのではないかと感じていました。また、お菓子作りも科学実験と同じで、自然界の原理原則があり、素材の使い方や作り方にも手順があり、組み合わせによって結果が変わります。お菓子作りの過程では、「こうしたらどうなるんだろう?」と自分で考えて発見する楽しさがあり、子どものクリエイティビティを発揮できると思います。

「目で見てわかる」「ドキドキ壊す」レシピが、子どもには人気!

—子どもには、変化が目で見てわかるレシピが人気です。例えば、質量の違いや、色の変化など。後は、水風船を使う「壊す」レシピも人気です。壊すことによってお菓子ができ上がる、「食べられるチョコレートのお皿」というレシピは、水風船を割ったら完成!というレシピなので、普段おうちの方から「だめ!」と言われてしまいそうなことを、「やっていいよ」と言われるワクワク感もあり、子どもが大好きです。

・目で見てわかるレシピ

色の3原色(赤・青・黄)を学ぶ

レインボーパンチ

©『不思議なお菓子レシピ サイエンススイーツ』
 色の3原色(赤・青・黄)があれば、他の色がたくさん作れます。赤+青で紫、赤+黄でオレンジ、青+黄で緑になりますが、色の割合を変えれば、青紫になったり、赤紫になったり、同じ「紫」でも微妙に違います。その違いを目で見て楽しみ、「この色を入れたらどうなるかな?」と考えることで、先を予測する力や思考力のトレーニングにもなります。

材料(2人分)

【レインボーゼリー】
かき氷シロップ…各10ml
(ブルーハワイ、いちご、レモン)
粉ゼラチン…6g
水…250g
【ポンチ】
水…200ml
グラニュー糖…120g
オレンジの皮…2~3枚

作り方

 ① 3色のかき氷シロップを組み合わせて混ぜ、好きな色を5色作る。各5gずつ容器に取り分ける。
 ② 鍋に水を入れて中火にかけ、沸騰直前で火を止める。粉ゼラチンを加えてゴムベラで混ぜ溶かす。①に50gずつ加えて混ぜ、5色のゼリー液にする。
 ③ 製氷皿に流し入れ、冷蔵庫で40分冷やす。
 ④ ポンチを作る。鍋に水とグラニュー糖、オレンジの皮を入れ、中火にかけグラニュー糖が溶けたら火を止める。
 ⑤ オレンジの皮を取り除き、粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やす。
 ⑥ ⑤をグラスに注ぎ、③のゼリーを入れる。⑤に③が浮くのを確認できる

 他にも、バタフライピーというハーブを使った色の変わるゼリーもオススメです。これは、ハーブの中に含まれる色素「アントシアニン」が、酸性のレモンに反応して青色が赤色に変わる現象です。ブルーベリーやなすを使っても、色の変化の実験はできるので、身のまわりの酸性やアルカリ性の食材を探してみるのも面白いと思います。

・ドキドキ壊すレシピ

作業に最適な温度を学ぶ

食べられるチョコレートのお皿

©『不思議なお菓子レシピ サイエンススイーツ』
 チョコレートはその種類によって、「テンパリング」の温度が違います。乳脂肪分が入っているミルクチョコレートなら50℃、カカオが入っていないホワイトチョコレートなら45℃、フルーツの甘みを持つルビーチョコレートなら43℃など。いくつかの種類のチョコレートを準備すれば、融点※の違いを試す実験もできます。
※個体が液体に変わる時の温度

材料【4個分】

ミルクチョコレート…200g
水風船…4個

下準備 水風船を膨らませておく。

【作り方】

 ① ボウルにミルクチョコレートを入れて湯せんにかけ、50℃まで温める。
 ② 湯せんから下ろし、混ぜながら30℃程度に温度を下げたら、クッキングシートの上にスプーンを使って4箇所に落とす。
 ③ 水風船の1/3程度をチョコレートにくぐらせ、②のチョコレートの上にそっと置く。
 ④ 冷蔵庫に入れて2時間冷やし固める。楊枝で風船を割ったらお皿のでき上がり。

©『不思議なお菓子レシピ サイエンススイーツ』
 チョコレートは、温度調整をすることで、溶けたり固まったりする素材です。その特性を理解すれば、溶けている時に表面に飾りをつけたり、溶かしてしばらく待って、接着剤として使ったりもできます。この実験を通して、温度の法則が学べます。

組み合わせで可能性は無限大。新たな発見を楽しんで

 —サイエンススイーツのレシピはカンタンなものが多いですが、伸びしろがあります。例えばレインボーポンチのポンチを水に変えれば、浮力が変わり、ゼリーは沈みますし、色が変わるバタフライピーのゼリーも、レモン汁を加えれば加えるほど赤くなっていくなど、自分で考えて発見する楽しさがあります。お子さんが興味を持ったらぜひ、あまりダメ!とは言わずに、やらせてあげてください。きちんとはかったり、レシピ通りに作ることも大切ですが、「〇gじゃなきゃダメ!」いう決まりもありませんし、反対から入れてみたらどうなるだろう?と思えば工程を変えてもいいと思います。同じものでも、分量を変えて2つ作れば、でき上がりを比べることもできます。親子で違った作り方をして、最後に見比べて話し合いができると、サイエンス的な面白さ、不思議に気づけるかもしれません。実験は男女問わず子どもはみんな大好きですので、ぜひ親子でサイエンススイーツ作りを楽しんでみてください。

まとめ & 実践 TIPS

太田さんのレシピは準備しやすい身近な材料で、ひとつひとつの工程がカンタンにできるように工夫されています。レシピ本の中には、ほかにも「砂糖の結晶化」「ひっくり返しても落ちないメレンゲ」など楽しいサイエンススイーツがいっぱい。夏の自由研究にもオススメです。
※ここでご紹介したレシピは、温度や材料の関係で結果が異なることもあります。また一部著者の監修のもと、レシピは改訂しております。ご了承ください。

出典:『不思議なお菓子レシピ サイエンススイーツ』
著者: 太田さちか 発行:マイルスタッフ 発売:インプレス

プロフィール

太田さちか

太田さちか

ケーキデザイナー、芸術教育士。パリ サンジェルマン・デ・プレで過ごし、慶應義塾大学、エコール・ド・リッツ・エスコフィエ、京都芸術大学大学院(芸術系修士MFA取得)など、日本とフランスで製菓、芸術を学ぶ。キッズクリエイティビティを軸にしたワークショップを多数開催。

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