私立大学の学費 学部で違うそのワケは? 大学4年間の学費を比較

子ども持つ保護者にとって、気になる教育費。その中でも大学進学の費用は金額が大きいため、計画的に準備しておく必要があります。とくに費用が高いと言われる私立大学にお子さまを通わせた場合、いくらかかるのでしょうか?

この記事のポイント

私立大学に進学している人の割合は?

「2020年度学校基本調査」によると、大学(学部)進学率は過去最高の54.4%で、2人に1人以上が大学に進学する状況が続いています。
その中で国立大学には約10万人(2019年/9万9,136人)、公立大学には3万4,000人弱(2019年3万3,712人)、私立大学には約50万人(2019年/49万8,425人)が入学。大学進学者のうちおよそ5人に1人が国公立、他の4人は私立という状況になっています。

私立大学の学費は国立大学の2倍以上 !?

国立大学の4年間の学費総額は、前回コラム「国立大学の学費は、標準額が53万5,800円に設定されている」のとおり、一律242万5,200円見当になります。一方、大多数が進む私立大学では、学部(・学科)ごとに学費が決められているため、進学先によって学費が異なります。
文部科学省「2019年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額」をもとに、私立大学文科系、理科系、医歯系の4年間の学費を概算すると、文科系学部は、1.8倍、理科系学部は、2.4倍、医歯系学部(6年)は9.2倍程度、国立大学に比べて学費がかかる計算になります。

私立大学の学費は学部で違う

表1は、先程の「2019年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額」から定員1人当たりの4年間納付額を学部別に計算したものです。4年間の納付金は400万円~600万円台と学部により差があります。
実験実習の多い理科系学部は座学中心の文科系学部に比べて学費は高く、多くの実習をこなしながら国家試験合格を目指す薬学部、歯学部、医学部、獣医学部は修学年限も長く、さらに高額になります。私立大学の学費は入学料や授業料以外にも、国立大学にはない「施設設備費」「実験実習料」等の納付金があり、学費を押し上げています。
この差は、国費から大学の運営に賄われる金額が大きく異なることから明らかです。どの程度違いがあるのかを次で見てみましょう。

表1 2019年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)

国立・私立で差がある国からの交付・補助額

文部科学省2021年度予算によると、国立大学の運営資金となる「国立大学法人運営費交付金」は、1兆790億円。一方、私立大学には「私立大学等経常費補助」として2,975億円が計上されています。数字の上では3.6倍強ですが、国立大学86校に対し、私立大学は615校(2020年度学校基本調査)もあるので、単純に頭割りした場合、1校当たり国立は125億円、私立は5億円弱の国家予算が充てられていることなります。
もちろん、国立大学には、「高度な教育の機会均等」や「地域における人材育成」、「世界と地域をつなぐ」という役割がありますし、教育のすそ野を広げ、建学の精神を持つ私立大学とは設立の背景が違います。
単純に比較できるものではありませんが、充てられる国家予算が桁違いなので、学生納付金の負担も大きくなるというわけです。

突出する医学部系の学費

私立大学の医学部や私立医科大学は、高レベルで綿密な教育・研究・診療を行うために、設備費や運営費は文系学部のほぼ10倍とも言われ、その分学費が突出しています。
表1の医学部生1人当たりの初年度納付金の平均額からざっくり見積もってみましょう。入学料を除いた年間学費約565万円×6年分に、初年度納付する入学料約134万円を加えると、6年間の合計は、およそ3,500万円になります。
ただし、大学により幅があります。大学HPで掲載されている一例では、順天堂大学医学部2,080万円、日本大学医学部3,338万円(会費等含む)、北里大学医学部3890万円となっています。大学納付金の他にも、教科書代、臨床実習費用、国家試験対策費などが必要になると考えましょう。

私立大学の授業料減免と給付型奨学金

「高等教育の修学支援新制度」については、こちらも前回のコラム「国立大学の学費は、標準額が53万5,800円に設定されている」で紹介しました。私立大学は国立大学よりも授業料等減免・給付型奨学金とも高めに設定されているので、費用負担の大きい私立でも進学が可能になるかもしれません。
また、医学系をはじめ、大学によっては奨学金が充実しているところもあるので、日本学生支援機構や大学のHPなどで調べてみましょう。

表2 私立大学の授業料等減免と給付型奨学金

まとめ & 実践 TIPS

教育資金を準備するときに大切なことは、必要な額がいくらなのかを把握しておくことです。とくに、大学進学の費用は金額が大きいため、私立大学に進学する可能性もふまえて考えておく必要があるでしょう。
お子さまの希望する進路を応援するためにも、教育資金は計画的に準備していくことをおすすめします。

中上直子

中上直子

ファイナンシャル・プランナー、消費生活コンサルタント。
マネー、消費生活、消費者教育などをテーマに編集・執筆、教材企画、講座講師、講師養成などで活動。日本消費者教育学会会員。
子どもにかけるお金を考える会メンバー
https://jpn01.safelinks.protection.outlook.com/
一般社団法人消費生活総合サポートセンター(Cサポ)理事
https://jpn01.safelinks.protection.outlook.com/

出典: 文部科学省 令和元年度 私立大学等入学者に係る初年度学生納付金平均額
https://www.mext.go.jp/content/20201225-mxt_sigakujo-000011866_1.pdf

文部科学省 令和3年度予算
https://www.mext.go.jp/a_menu/yosan/r01/1420672_00002.htm

順天堂大学医学部
https://med.juntendo.ac.jp/admission/undergraduate/fees.html

日本大学医学部
https://www.med.nihon-u.ac.jp/gaiyou/gakunoukin.html

北里大学医学部
https://www.kitasato-u.ac.jp/jp/goukaku/undergraduate_ad/fees/fees.html

日本学生支援機構 大学・地方公共団体等が行う奨学金制度
https://www.jasso.go.jp/about/statistics/shogaku_dantaiseido/index.html

プロフィール

子どもの教育資金を考える女性FPグループ

メンバー全員が子育て経験を持つ女性FPのグループ。各自の子育て経験や得意分野を活かして、消費者向けのセミナーや相談業務、執筆、監修などを手掛けている。教育資金に関する情報発信の機会も豊富。

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