中高生のネットやりすぎ鮮明に

 動画投稿サイトの人気動画が、翌日の学校で子どもたちの話題になるほど広まっています。また今年は、シューティング系のオンラインゲームの人気タイトルがパソコン版、スマホ版を問わず爆発的に流行しています。今後、中高生がインターネットを用いる時間はますます長くなりそうですが、子どもたちは、どのぐらいネットを使っているのでしょうか。

中高生の依存状態は1割以上

 厚生労働省研究班は、1996年から継続的に中高生の生活習慣について調査しています。今回の調査は2017年12月~2018年2月に実施されたもので、全国の中学校・高校103校の約6万4,000人が回答しました。
 平日のネット使用時間は、男女とも1時間台が多く、高校生になると4時間台が多くなっています。使用時間は男子より女子のほうが長い傾向にあることも分かりました。
ネットを病的に使用している「依存状態」の割合は、中学生で12.4%(男子10.6%、女子14.3%)、高校生では16%(男子13.2%、女子18.9%)となりました。これは前回(2012年)の調査結果と比較すると、顕著に増加しています。ネットの使い過ぎで発生した問題として「成績低下」「授業中の居眠り」を挙げた生徒が多く、次いで「遅刻」「友人とのトラブル」などとなっています。

健康課題として扱われる

 注目したいのは、ネットへの過剰な依存を、「飲酒」や「喫煙」と同じように健康課題として扱うようになったことです。研究班では「喫煙と飲酒については改善傾向にある」ものの、新たな問題として「インターネットの過剰使用やそれと関連する睡眠障害も重要な健康課題」だと指摘しています。
 未成年の飲酒や喫煙については、健康課題としてだけでなく非行防止の観点から、どの学校でも「防止教室」が行われています。一方、これまでネットの使用については、有害サイトへのアクセスを防ぎ、友人とのトラブルや犯罪に巻き込まれないための「安全な使い方」を教えることが中心でした。

もちろん、こうした危険性へのリスクはネットの使用時間が増えるほど高まっていきますから。今後も継続されるでしょう。これに加えて、ネットに接していることそのものの健康被害を伝える啓発活動が広がってくるかもしれません。
 ただし、ネットはお酒やたばこと異なり、子どもたちの学習にも欠かせないツールとなっているのが悩ましいところです。積極的な活用と依存防止の境目をどのように教えていくか、課題は多いと言えます。

(筆者:長尾康子)

厚生労働省 飲酒や喫煙等の実態調査と生活習慣病予防のための減酒の効果的な介入方法の開発に関する研究
https://mhlw-grants.niph.go.jp/niph/search/NIDD00.do?resrchNum=201709021A

内閣府「青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画(第4次)」について(決定)
http://www8.cao.go.jp/youth/suisin/kwhonbu/k_7/index.html

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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