子どもが「勉強好き」になるには?勉強好きの子どもの特徴から見るおすすめの勉強方法
「わが子を勉強好きにすることはできるのだろうか?」「効果的な勉強方法は?」といった悩みを持っている保護者のかたは少なくないでしょう。今回は、ベネッセ教育総合研究所の調査から見えた、そんな悩みを解決する結果をご紹介します!
1年間で「勉強嫌い」が「勉強好き」に変わる子どもが1割
「うちの子の勉強嫌いは直らない」、そんなふうに諦めてしまっている保護者のかたも多いかもしれません。しかし、ベネッセ教育総合研究所が東京大学と共同で実施した調査では、それを覆す結果が出ました。
どの学年でも勉強好きになれる可能性あり!
小学1年生から高校3年生の子どもとその保護者を対象とした「子どもの生活と学びに関する親子調査」(同一の親子を2015年から毎年追跡)で、「あなたは『勉強』がどれくらい好きですか」と質問しました。その回答をみると、2015年から2016年の1年間で、勉強が「嫌いから好き」に変わった子どもは、小中高校生のいずれも1割程度いることがわかったのです。
勉強好きになることは学習時間や成績とも相関関係が
勉強好きになった子どもには、他にもうれしい傾向が見られました。小中高生において勉強が「嫌いから好き」に変わった子どもは、他の子どもに比べて、学習時間(学校の宿題、学校の宿題以外の勉強、学習塾の時間の合計)が増加していたのです。
また、勉強が「嫌いから好き」に変わった子どもは、成績(自己評価)も「上がった」と回答しています。その割合は、小学生で22.3%、中学生で26.8%、高校生で33.5%と、どの学年でも高い結果となりました。
「勉強嫌い」から「勉強好き」に変わる子どもの特徴3つ
勉強が「嫌いから好き」に変わった子どもは、どのような理由で勉強しているのでしょうか? 調査結果から読み解いてみましょう。
「新しいことを知るのがうれしい」と思えた
上の図を見てみると、勉強が「嫌いから好き」になった子どもと「嫌いなまま」の子どもで差がもっとも大きいのは、「新しいことを知るのがうれしいから」という項目でした。
これは「内発的動機づけ」といわれるもの。誰かにやらされるのではなく、自分で「やりたい」「知りたい」と思って行うことです。勉強好きになった子どもは、勉強に対する楽しさや喜びを感じられているということでしょう。
明確な目標ができた
勉強が「嫌いから好き」になった子どもには、「自分の希望する高校や大学に進みたいから」という気持ちがあることもわかりました。漠然と勉強するのではなく、何か目標に向かって取り組むことでやる気が出て、その結果勉強好きになれたのかもしれません。
ちなみに、こういったやる気のことを「同一化的動機づけ」と呼びます。「将来役に立つから」「自分にとって重要なことだから」という気持ちで取り組むことです。先ほどの内発的動機づけほどではありませんが、高いやる気を持ってできるものになります。
友だちに対する競争心が生まれた
「友だちに負けたくないから」という回答も高い割合となりました。ライバル心を持って取り組むことは、お互いを高めてくれる効果があるのかもしれません。
このやる気のことを「取り入れ的動機づけ」といいます。これは、「人に認められたい」「不安を取り除きたい」という理由から行動するもの。内発的動機づけに比べると少し弱いですが、友だちとの関係が勉強好きになるきっかけになった子どもも多いのでしょう。
「勉強好き」になるために効果的な勉強方法3つ
次に、勉強が「嫌いから好き」に変わった子どもが行っている勉強方法を確認してみましょう。
わからないところを確認しながら勉強する
勉強が「嫌いから好き」に変わった子どもがより多く行っているのは、「何が分かっていないか確かめながら勉強する」という方法でした。勉強が「嫌いなまま」の子どもと比べると、小中高校生とも20ポイント以上の差があることがわかります。
勉強が「嫌いから好き」になった子どもは「新しいことを知るのがうれしい」と感じる傾向が高いことからもわかるように、知らないことを知ったり、分からないことを理解したりするのは、うれしい気持ちになるのでしょう。答えがわからない問題があったら、授業中に質問したり、習い事で解決したりして、理解を深めていきたいですね。
テストのやり直しをする
「テストで間違えた問題をやり直す」という回答でも大きな差がありました。勉強が「嫌いから好き」に変わった子どもは、勉強が「嫌いなまま」の子どもよりもテストのやり直しをする割合が高かったのです。
テストのやり直しは、分からないところを確認する良い方法です。効率的に理解力を深めながら、苦手を克服し、勉強へのやる気につなげているのかもしれません。
くり返し「書いて」覚える
「くり返し書いて覚える」も、勉強が「嫌いから好き」に変わった子どもが多く行っていた勉強方法でした。特に暗記科目は、見ているだけでは身に付きづらいもの。そこでおすすめなのが、「書く」という方法です。書くことでアウトプットができるため、頭の中の言葉や知識を思い出すという作業ができます。さらに、五感が刺激されて脳が活性化するため、効率良く覚えられるのです。
この勉強方法で成果が出れば、それだけやる気も出るでしょう。がんばった結果が見えることで、勉強好きになれるのかもしれませんね。
まとめ & 実践 TIPS
お子さまの「勉強嫌い」に悩まされている保護者のかたも、諦めるのはまだ早いです。今回の調査結果を参考に、子どもが新しいことを知る楽しみを感じられる経験や学習を大切にしたり、効果的な勉強方法を意識的に試してみたりしてはいかがでしょうか。何か一つのことがきっかけで、お子さまも勉強好きへと変わるかもしれません。
出典元:
東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所共同研究「子どもの生活と学びに関する親子調査2016」
http://berd.benesse.jp/shotouchutou/research/detail1.php?id=5095