物語には○○が大切 「気付き」を生む達人の国語の授業

物語には○○が大切 「気付き」を生む達人の国語の授業NHK Eテレの教育番組を担当する、NHK制作局チーフ・プロデューサーの桑山裕明氏。学校を訪ね歩く中で、「こんな先生に教えてほしい」と思う授業に出会うことがあるという。ベネッセ教育情報サイトでは、文章の構成から発見に気付く、小学5年生の国語の授業を、桑山氏に紹介してもらった。***石川県のAS先生による小学5年生の国語の授業では、文章の「構成」に注目することで、文章を書くには、「発見があること」「盛り上がること」「共感すること」に注意を払わなければならないことを子どもたちに気付かせます。授業の題材となる物語『わらぐつの中の神様』は、昔話が途中で入り、現在 → 過去 → 現在と話が進む物語です。先生はこのオリジナルと、時間軸を変えて、過去 → 現在 → 現在としたものを読み比べさせます。その過程で、子どもたちは、オリジナルの構成によって、いかに人物や場面の描写がいきいきしたものになるのかに気付いていきます。この授業を始めたきっかけは、「伝え合う力が足りない」という課題から、高学年でスピーチ教材に着目して実践を続けるうちに、スピーチだけでなく、説明文や物語文でも「構成」を意識すると「もっと自分の考えをうまく伝えられるのではないか」と思いついたことでした。現在 → 過去 → 現在のような流れで書かれたオリジナルを、AS先生が用意した過去 → 現在 → 現在と時間軸どおりにした物語を読んだ子どもたちは、「まったく違う話になった」「へんな感じがする」という感想を持ちました。そして「発見がない。それは、正体がわかっちゃうから……だからドキドキ感がない」「主人公がおばあちゃんになってしまっている」「種明かしの『転』が弱くなるから、盛り上がらなくなる。面白いと感じなくなるから、読み続けたくなくなる」などの意見を出しました。つまり、子どもたちは、構成する時には、「発見があること」「盛り上がること」「共感すること」が大事だとまとめたのです。この授業のポイントは、子どもたちが、自由に思った感想や意見が交され、それをもとに、気付きが生まれた点です。「自由に意見を言えるクラスが作れる先生」=「授業の達人」だと思います。

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