センター試験の後継テスト、リスニングどころじゃない「4技能」‐渡辺敦司‐

大学入試センター試験の始まりで、本格的な入試シーズンに突入です。センター試験では2006(平成18)年度から、ICプレーヤーを使った英語リスニングが実施されています。しかし、現在の中学1年生以下の学年は、それだけでは済みません。センター試験の後継テストである「大学入学希望者学力評価テスト」(仮称)では、聞く・話す・読む・書くの「4技能」が重視されるからです。

昨年12月に行われた「上智大学・ベネッセ英語教育シンポジウム2015」で、吉田研作・同大教授は「学力評価テストで、英語に関しては4技能テスト(を実施する)ということで検討が進んでいる」と明かしました。吉田教授は、文部科学省の英語教育改革の中心的な役割を担っており、新テストなどを検討する「高大接続システム改革会議」の委員も務めています。

新テストをめぐっては、12月末に開かれた同会議で、思考力・判断力・表現力を問う問題の作問イメージが示されたものの、具体的な制度設計の検討が遅れているとも伝えられています。しかし、馳浩・文部科学相は、高校版・全国学力テストともいうべき「高等学校基礎学力テスト」(仮称)を2019(平成31)年度に、学力評価テストを20(同32)年度に導入する……というスケジュール(外部のPDFにリンク)のとおりに実施したい考えを強調しています。
昨年9月のシステム会議「中間まとめ」でも、学力評価テストの英語については2020(平成32)年度から「書くこと(ライティング)や話すこと(スピーキング)を含む四技能を重視して評価する」と明記されています。吉田教授の発言は、そうした方針に揺るぎがないことを裏付けたといえます。

一方で、気になるデータもあります。ベネッセ教育総合研究所の「中高生の英語学習に関する実態調査2014(外部のPDFにリンク)」によると、生徒の英語の勉強は、授業、予習・復習とも「和訳と暗記」が中心で 、「英語で自分の考えを書く・話す」機会は少なく、将来は英語を使う必要性が広がるとわかっていながら、自分が使うことは「ほとんどない」と思っています。

もっとも、生徒だけを責めるわけにはいきません。このたび新たに発表された「中高の英語指導に関する実態調査2015」によると、先生自体、自分の受け持つ生徒たちが将来、英語を使うというイメージを、それほど持っていないのです。実際、授業では、中高とも音読や発音練習、文法の説明などは盛んに行われていても、スピーチ・プレゼンテーションやディスカッション、ディベートは盛んではありません。調査結果について、吉田教授は「(4技能の実施を求めた)学習指導要領に沿った形の授業がなされていない」と手厳しく評価していますが、背景には、読む・書くに偏ったペーパーテスト中心の大学入試があることも否定できません。

センター試験の後継テストで4技能を測ることが改めて確認されれば、英語の授業にも今から大きな影響を与えることでしょう。何より将来、どんな仕事に就いていようと、国内外を問わず、英語を使う機会が増えてくるのが「グローバル化」です。今から備えておかないと、困るのは子どもたちです。


プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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