小学生のお子さまが勉強しても成績が伸びない原因はこれだった!【前編】
勉強しているのになかなか成績が伸びない状態が続くのは、本人にとって非常につらいものです。保護者のかたも、がんばっている姿を見ているだけに、どう声をかければよいのかわからずに悩んでしまいがちです。子どもの全力を引き出す教育実践が各方面から注目されており、『自分からどんどん勉強する子になる方法』などの著書もある清瀬市立清瀬第八小学校教諭の杉渕鐵良先生が、勉強が学力に結びつかないお子さまによく見られる原因と対処法について解説します。
勉強が学力に結びつかない状態は、明確な原因があるケースが多い
勉強している、あるいは勉強しているように見えるのに、なかなか成績が伸びないケースは少なくありません。そうした状態には明確な原因があることが多いのですが、それを自覚できないと対策もできないため、「自分は勉強ができない」と思い込んで自信を失ってしまう場合があります。そうなると、大人になるまで尾を引いてしまうこともありますから、できるだけ早いうちに原因を特定して対策を考えることが大切です。
【成績が伸びない原因1】勉強の目的を取り違えている
勉強の目的は、「わからないことをわかるようにすること」です。大人からすると当然のことですが、本来の勉強の目的からずれてしまっている子どもは少なくありません。
たとえば、漢字の反復練習の目的は漢字を覚えることです。ところが、「覚えること」ではなく、「書くこと」が目的になってしまう場合があります。極端なケースでは、早く終わらせるために、先に「へん」だけをズラリと書いてから「つくり」を書き足していく子どももいます。当然ながら、そのやり方ではなかなか漢字を覚えられません。
ですから、目的意識を明確にもたせることは、お子さまの成績を伸ばすための第一歩です。目的は、「次のテストで○点を取る」「漢字の部首をすべて覚える」など、何でもかまいません。小学校の勉強から離れて検定などにチャレンジするのもいいでしょう。
以前に勤務していた小学校に全くといってよいほど勉強せず、保護者を悩ませていたお子さまがいました。そのお子さまに漢字検定をすすめると、人が変わったように勉強を始め、どんどん級を上げて、中学生のうちに高校生程度の準2級まで合格して周囲を驚かせました。成績が上がったのは国語だけではありません。漢字の学習を通して、勉強方法や集中のしかたを身につけたほか、教師や保護者にほめられることに喜びを感じて他の教科の成績もグングンと伸びていったのです。
勉強へのきっかけづくりの目的として、言い方は悪いかもしれませんが、「ごほうび」が有効なケースも結構あります。「次のテストで○点を取ったら△△を買ってあげる」といった方法です。このやり方は賛否両論があり、たしかにエスカレートすると際限がなくなってしまいます。しかし、それが本気で勉強を始める目的となり、しだいにわかることや成績が伸びること、またほめられることの喜びを実感して、内発的な意欲が呼び起こされることも少なくありません。こうした方法があることも念頭に置いて、まずお子さまの勉強の目的がどの方向を向いているかをしっかりと見定めてください。
【成績が伸びない原因2】勉強のしかたを間違えている
非常に丁寧にノートを書いているにもかかわらず、頭の中にはほとんど残らないという子どもがいます。確かに、蛍光ペンなどを使ってノートを整理するのが好きな小学生は多いのですが、それが度を超すと、勉強の妨げになってしまいます。ところが、本人はきれいにまとめられたノートを見て勉強した気持ちになっているのです。
これは、ノートをきれいにまとめることが勉強だと勘違いしてしまっているケースです。こうした誤った勉強法を続けても成績は伸びません。くり返しになりますが、勉強の目的は「わからないことを、わかるようにすること」です。それを基本として、勉強のしかたを見直してみてください。
勉強してわかるようになったか、つまり勉強の仕方が間違っていないかを確かめるためには、誰かに説明するという方法があります。保護者が聞き役になって理解できるまでお子さまの説明を聞いてあげてください。説明に詰まったら、そこがわからない箇所ですので勉強し直しましょう。
これに似た方法として、自分なりの参考書を作ってみるという勉強もあります。もちろん、教科書や市販の参考書を丸写しするのではなく、問題の解き方や考え方などを自分なりの言葉で書いてみるのです。時間がかかる方法ですが、ノートをまとめるのが好きなお子さまには特に向いているかもしれません。