いざという時のために知っておきたい! 家庭でできる子どもへ伝える消費者教育と消費者トラブル対処法【前編】

近年、子どもや未成年者が巻き込まれる消費者トラブルが増加しています。これは、携帯電話などの通信機器の普及により、どんな場所にいても悪徳業者の標的になってしまう危険性が増したことにも起因します。
こうしたトラブルに巻き込まれないために家庭のなかで、子どもたちにどう注意を促していったらよいのでしょうか。また、もしトラブルに巻き込まれてしまったらどのような対処法が考えられるのでしょうか。弁護士の佐々木博征先生に聞きました。



どこにいても被害者となりうる危険性があることを認識しよう

子どもや未成年者が被害者となる消費者トラブルとして、これまでは繁華街でのキャッチセールスなどがありました。道で声をかけて化粧品や英語教材などを購入させるというものです。
また、その類型として、「モデルやアイドルにしてあげる」と声をかけて、レッスン料として金銭を巻き上げるというものもあります。芸能人に憧れる子どもの気持ちを利用した悪質な詐欺商法です。
このようなトラブルに巻き込まれないようにするためには、「子どもを一人で繁華街など、声をかけられる危険性のある所に行かせない」という教育が重要です。細かく管理されるのを子どもは嫌がるものですが、コミュニケーションの中から子どもの行動パターンやどんな仲間たちと接しているのかをそれとなく把握しておくことは重要です。

一方で、現在は外に出なくてもトラブルに巻き込まれる危険性が高まってきました。子どもや未成年者でも、携帯電話やパソコン、タブレットなどを持っている時代。インターネットにまつわる未成年者の消費者トラブルは確実に増加しています。
一つには、ワンギリ詐欺(知らない番号から電話がかかってきて、ワンコールで切られ、その番号にかけ直すと、覚えのない料金を請求されるケース)や、パソコンウイルスによる被害(インターネットサイトへのアクセスや、不特定へのメール送信などで、パソコンウイルスに感染し、個人情報等が流出するケース)など無差別に仕掛けられたわなに、子どももいや応なしに巻き込まれてしまうというケースがあります。知らない電話番号はかけ直さない、一斉配信されているようなメールは迷惑メールに振り分けられるような設定にしておくなどで防ぐことができます。お子さんにも対処法を伝えておくことで防ぐことができるでしょう。

二つ目は、判断能力が低い子どもや未成年者などを狙ったインターネットトラブルです。具体的に二つの事例を紹介します。

<インターネットゲーム>
インターネットゲーム(オンラインゲーム)とは、パソコンやスマートフォンのインターネット回線を利用して行うゲームのことをいいます。初回やステージが低いうちは無料で遊べるものの、夢中になって遊ぶうちに課金システムに手を出してしまうというケースが多いです。ゲームのなかで敵を倒すことができる強いアイテムを入手できる、ステージをさらに進めていきたいなどが課金の理由です。

このようなインターネットゲーム自体は違法なものではありませんが、判断能力の低い子どもや未成年者は、ついつい有料サービスを利用しすぎて、後に法外な料金を請求されてしまうケースもあります。
さらに中毒性が高いゲームとして、有料でポイントを付与しネットゲームをさらに進めていき、ゲームに勝つと結果に応じてポイントが還元、また現実の景品となるといったゲームも登場しています。

<出会い系サイト>
出会い系サイトによるトラブルは、高額の利用料の請求がくるといった、消費者事件としての側面だけの問題ではありません。判断能力の乏しい未成年者が、悪質な大人とつながり、援助交際・児童買春・恐喝・性犯罪といった、恐ろしい刑事犯罪に発展する危険性がある深刻なものです。
現在では、一見しただけでは出会い系サイトだとはわからないようなサイトもありますし、前述のインターネットゲームの中で事実上出会い、交流してしまうケースも増えてきています。未成年者が見知らぬ大人とネットを介してコミュニケーションを取るということに対してアンテナを張っておく必要があります。



被害の背景にあるものとは? 予防策を考える

子どもや未成年者の消費者トラブルの背景にはどんなことがあると思いますか?
まずは、子どもたちがインターネットに親和性があり、抵抗感なく使用しているということです。大人よりも子どものほうがずっと使いこなしているということもよくあるでしょう。しかし、機能として使いこなせるのとインターネットの危険性を把握しているかどうかは別問題。必ず、リスクを伝えたうえでルールを守って使用させるようにしましょう。
ゲームを利用することは許可したとしても課金システムまでは使わせない、有害サイトの存在とその危険性を伝えるなどの事前策が考えられます。なお、有害サイトにアクセス制限をかけておくという措置も有効です。
携帯電話を高い頻度で利用している場合は、利用契約を見直して、上限金額を設けておくのも手です。

子どもは「大変な事態になったぞ」と感じると、保護者に隠そうとするもの。しかし、私がこれまで扱ってきた事件の中では、トラブルに巻き込まれた子どもは何かしらのアラームを出しているものでした。当たり前のことかもしれませんが、子どもの変化を見逃さず、時間を取って話をするなど、コミュニケーションを密にすることが重要です。

次回は万が一、子どもや未成年者が消費者トラブルに巻き込まれてしまった場合の、未成年者契約の取り消しやクーリングオフ、消費者契約法上の契約取消について紹介していきます。


プロフィール


佐々木博征

弁護士。桜木町法律事務所勤務後、青葉台法律事務所を開所。横浜市内公立小学校での講演活動など、「気軽に相談できる頼れる弁護士」であろうと弁護士を身近に感じられる活動を精力的に行う。

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