国立大学の役割を3タイプに分類へ

文部科学省は、東京五輪・パラリンピック開催の2020(平成32)年を目標に大学入試改革を進めていますが、これは単なる入試の見直しにとどまらず、大学教育や高校教育の在り方を幅広く改革することが狙いとなっています。そのようななかで、一足早く2016(平成28)年度から国立大学が大きく変わることになりそうです。文科省の「国立大学法人運営費交付金の在り方に関する検討会」は、国立大学を3つの枠組みに分けて、16(同28)年度から大学ごとに機能分化を図ることを提言しました。具体化されれば、受験生の大学選びにも影響を与えるかもしれません。

国立大学の役割を3タイプに分類へ


04(同16)年度から法人化された国立大学は、6年ごとに各大学が「中期目標」を定めて、その実施状況などの評価によって国から運営費交付金をもらう仕組みになっています。中期目標は現在、2期目の最後の年度を迎えており、16(同28)年度から3期目の中期目標期間に入ります。3期中期目標期間における運営費交付金の在り方を審議していた文科省の検討会は、国立大学を3つの枠組みに分けて、それに対応した中期目標を各国立大学が定めることなどを内容とした中間報告をまとめました。限られた国の財源の中で、国立大学の機能分化を図り、国立大学ごとに特色化を図ることが狙いです。

検討会が提言した3つの枠組みは次のとおりです。

○主として、地域に貢献する取り組みとともに、専門分野の特性に配慮しつつ、強み・特色のある分野で世界・全国的な教育研究を推進する取り組みを中核とする国立大学
○主として、専門分野の特性に配慮しつつ、強み・特色のある分野で地域というより世界・全国的な教育研究を推進する取り組みを中核とする国立大学
○主として、卓越した成果を創出している海外大学と伍(ご)して、全学的に世界で卓越した教育研究を推進する取り組みを中核とする国立大学

このうち地域貢献を主とする大学では、地域産業界などの人材育成や地域活性化などが中心課題となります。また、特色ある専門分野を主とする大学は当該分野の国際的存在感を高める研究が、卓越した教育研究を主とする大学では世界高水準の研究などが、それぞれ求められます。

各国立大学は2015(平成27)年度中に新たな中期目標を策定しますが、文科省はこれらの枠組みに分かれた大学の取り組みに対して重点的に運営費交付金を配分する方針です。逆にいえば、特色化や重点化を打ち出せない国立大学は、運営費交付金を削減されるということです。このため、自分たちの大学をどの枠組みに位置付けるのか苦しい選択を迫られる国立大学も出てきそうです。

受験生にとっては、志望する国立大学がどのような枠組みに入るのか、あるいはどのような枠組みの国立大学を志望校にするのか、今後、十分に検討することが求められそうです。これまで国立大学には、「すべてがミニ東大を目指している」という批判もありましたが、大学の重点化や特色化が国立大学全体にどのような変化をもたらすのか注目されます。


プロフィール

斎藤剛史

斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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