大学生活、隣には留学生? 全国で18万人
新年度が始まりました。中には、お子さんが大学に入学されたかたもいらっしゃることでしょう。大卒者をめぐっては近年、企業などが「グローバル人材」を求めるようになってきています。文部科学省でも「トビタテ!留学JAPAN」と題し、官民を挙げて日本の若者の海外留学を促進するキャンペーンを展開しています。しかし外国人学生との交流は、海外に出なければできないとは限りません。既に教室では、隣に海外からの留学生が座っていることも珍しくないからです。
独立行政法人日本学生支援機構の調査によると、2014(平成26)年5月現在の留学生数は18万4,155人。前年度に比べ約1割(1万6,010人)増えました。このうち大学などの高等教育機関に在籍するのは13万9,185人(前年度比3,666人増)で、大学などに入学するための準備として日本語教育機関に在籍するのは4万4,970人(同1万2,344人増)となっており、増加分の多くが「大学生予備軍」なのですが、政府が「留学生30万人計画」を立てていることもあって、将来的には来日留学生がますます増えていくことでしょう。
出身国・地域別の内訳を見ると、中国が9万4,399人(同3,476人減)と最も多く、次いでベトナム2万6,439人(同1万2,640人増)、韓国1万5,777人(同1,506人減)、ネパール1万448人(同4,641人増)、台湾6,231人(同571人増)などと続いており、隣国の中・韓に限らずアジア系の多様な国の学生が集まっています。これは、各大学が積極的にアジア各国に留学を働き掛けていたり、留学のための日本語力や基礎学力を測る「日本留学試験」を、国内はもとより国外でも積極的に展開したりしているためです。
ちなみに米国は2,152人(同123人減)と、国・地域別順位は9位です。「欧米のネーティブ英語に接する機会が少ないじゃないか」と思われるかたもいるかもしれません。しかし、アジア系の学生も共通言語として多くが英語を使いますし、彼ら自身、日本語を積極的に使おうとしています。何より今後のグローバルビジネスでは、非英語圏での展開が重要になってきており、英語が通じない地域の人を相手にすることも、ますます増えてくることでしょう。グローバル化対応とは、決して「英語ができるようになる」ことが目的ではありません。英語は一つの手段であって、「異質な他者」とコミュニケーションできる力を付けることが重要なのです。
周りを見渡しても、以前と比べて、外国から来た方がずいぶん増えたと実感するところでしょう。多くの観光地でも海外からの観光客であふれ、都心の百貨店なども、最近では海外からの買い物客に支えられている部分が増えています。既に国内にもグローバル化の波が押し寄せているのです。
もちろん、留学生に距離を置けば日本人学生だけで固まることはできるでしょう。しかし、少しの勇気を出して積極的に交流しようとすれば、身近なところにグローバル人材となれるきっかけはあるのです。