受験勉強はナシ!働いた後で進学!カナダに見る、柔軟な進路決定

大学受験を控えると、家族がサポートしてくれることが多い日本。塾通いの費用、送迎、塾弁作り、夜食作り、健康管理など、勉強に集中しやすい環境を整えてくれたり、精神面にも気を配ってくれたりと、おうちのかたは一生懸命に応援してくれるのではないでしょうか。日本では家族一丸で乗り越える感のある受験戦争ですが、太平洋を挟んでお隣のカナダでは事情が違うようです。カナダ在住のライターがレポートします。


大学は受験せずに入るもの!?

 カナダには、実は受験がありません。日本のように試験日に入学を希望する生徒たちが集まり、いっせいに同じ試験を受けるということをしないのです。それでは、誰もが希望する大学へフリーパスで入れるのかというと、それは違います。カナダでは、高校の内申書によって入学可否が決められるのです。大学が要求するレベルに学力が達しているかどうか、進学希望先の学部が指定する教科の成績を見て判断されます。つまり、入学試験の一発勝負ではなく、高校生としての日頃のテスト結果、宿題の提出頻度と完成度、プロジェクト発表の出来具合など、学校での成績、態度、意欲が総合的に影響するのです。


働いてからでも学生に戻るのは遅くない

 カナダの大学では、在籍する学生の年齢はさまざまです。優秀なため義務教育期間に飛び級した後で入学してきた人もいれば、高校卒業と同時に入学してきた人もいますし、高校卒業後に一旦働いてから学業を再開するために入学した人もいるからです。たとえば、高校を卒業する時に大学で何を勉強すべきかわからなければ、とりあえず就職。働くことを経験して学びたいことを見つけたり、キャリアアップや賃金アップのためにはさらに上の学歴が必要と気付いたりする人もいます。また、大学の費用を自分で用意するために期間限定で働いてから進学する人もいるようです。そしてひとたび入学すれば、皆必死で勉強します。


大学入学はスタート地点。社会人になった時、自分らしく生きるために

 カナダでも、高校生活にはクラブ活動がありますし、この時期にアルバイトを始める生徒もたくさんいます。また、卒業に必要な単位習得のために一定時間以上のボランティア活動を課している学校もあり、高校時代は受験勉強に偏らず、生徒は勉学、スポーツ、社会活動と幅広い体験をします。


 日本の集中的な大学入試対策も、カナダの高校で継続的に優れた成績を取り続けることも、それぞれに大変なことです。しかし、若い時代にバランスの取れた年齢相応の経験がしやすいという点では、カナダの進学システムのほうが理想的かもしれません。ただ、日本にせよカナダにせよ大切なことは、大学入学がゴールではないということ。大学での教育を生かしていかに自分の人生を悔いなく、自分らしく生きて行くか。そのことを意識して進学し、学び続けることが大切なのだと思います。



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