もうすぐ入園・入学! 友達づくりが上手な子に育てるには【基礎編】友達づくりが上手な子と苦手の子の差って何?

もうすぐ新学期ですね。お子さまが新しい環境になじめるか心配な保護者も多いと思います。今回は、人付き合いの技術(ソーシャルスキル)がご専門の筑波大学教授の相川充先生に、友達づくりが上手になるコツを伺いました。



「引っ込み思案だから仕方がない」と思わないで

お子さまのなかには、なかなか自分から声がかけられない内気な子や自己主張ばかりしてしまいなかなか輪にとけこめない子などの、友達づくりが苦手な子がいます。
現場の先生に話を聞くと、近年こうしたお子さまが増えているそうです。その背景には4つの原因があると私は考えています。まず、第1に家族と家庭の在り方が変化したことです。核家族化や両親の共働きなどによって、一家団らんの時間が少なくなり、保護者や祖父母などの働きかけによって、子どもがソーシャルスキルを獲得するチャンスが減ってきました。第2の原因は、放課後の遊び方の変化です。昔は、原っぱで異年齢の子どもたちと野球をしたり、鬼ごっこをしたりしたものでした。今は、家の中で体を使わず、少人数の同年齢の子どもと遊ぶことが多くなり、仲間とのコミュニケーションが減っているのです。第3に地域社会の教育力が落ちたことです。周囲の大人が、子どもに関わる機会が減りました。そして、第4に情報化社会になり生身の対人関係の体験が希薄になってきたことも挙げられます。

ただ、こんな時代だから仕方がない、その子の素質や性格によるものだと保護者や周囲の大人が思い込んでしまって、お子さまに接してばかりいると、ますます悪循環になってしまいます。



友達付き合いの技術は、練習すれば身に付けられる!

そこでご提案したいのが、人付き合いの具体的な技術である「ソーシャルスキル」を身に付けることです。ソーシャルスキルと言うと難しく聞こえますが、自分の思っていること、感じていることを相手に伝えたり、相手が思っていることを受け止めたりする技術のことです。現在、多くの学校で取り入れられています。友達づくりが苦手な子は、性格にすべての原因があるわけではなく、ソーシャルスキルがまだ未熟なだけだと考えます。つまり、スキル(技術)を習得する練習が足りないだけなので、練習すれば誰でも身に付けることができるのです。自転車の乗り方を練習するのと同じと言えます。すぐにはうまくいかないこともあると思いますが、何度も練習しているうちに自然と使えるようになっていくはずです。



家庭でできる! ソーシャルスキル・トレーニング

これまでも、学校やご家庭でも「友達と仲よくしなさい」とお子さまに指導されてきたと思いますが、お子さまにどのように仲よくすればよいのか具体的に教えることは少なかったと思います。友達と仲よくするために、明日から何をすべきなのかお子さまの立場に立って、わかりやすく提案してあげましょう。例を挙げてご説明したいと思います。

~こんな時にどうアドバイスする!?~
クラス替え後、もう既に仲よしグループができてしまった。あとから仲間に入れてもらいたい場合。

1)ソーシャルスキルのメリットを教える(教示)
お子さまが、仲よしグループに入りたいのに勇気が出ない時。保護者のかたはまずは言葉で、自分から行動してみるとどんなよいことがあるか、話してみましょう。

●保護者の声かけ例……
「勇気を出して声をかけて、仲間に入ったらきっと毎日楽しくなるよ」
「みんな最初は緊張したと思うから、あなたも最初は勇気を出してみよう」

2)保護者がお手本を見せる(モデリング)
次に実際にどんな声かけをしたらよいのか、保護者がお手本を見せてあげましょう。大事なのは具体的な言い方や身ぶり手ぶりを提示するということ。できるだけ小さな要素に分けて伝えることが大切。

●保護者の声かけ例……
「入れてほしい仲間に近付いて、できるだけ大きな声で『入れて』って言ってみよう」
「自分の興味のある話題を話しているのが聞こえたら、『私もそれ好きなんだ』って言ってみたら」

3)何度かやってみる(リハーサル)
子どもに実際に繰り返し練習させます。

4)ほめたり、改善方法を伝えたりする(フィードバック)
子どもがリハーサルで実際にやったことについて、よいところをほめましょう。改善したいことがあれば、「こうすれば、もっとよくなるよ」と、前向きの言葉を添えながら具体的なやり方を伝えましょう。

●保護者の声かけ例……
「よくできたね。もうすこし声を大きくするとお友達に聞こえやすいよ」


プロフィール


相川充

宮崎大学助教授、東京学芸大学教授を経て現職。専門は、対人社会心理学。著書に『イラスト版子どものソーシャルスキル:友だち関係に勇気と自信がつく42のメソッド』(共著、合同出版)、『新版 人づきあいの技術:ソーシャルスキルの心理学』(サイエンス社)など。

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