もうすぐ入園・入学! 友達づくりが上手な子に育てるには【実践編】困った時が保護者の出番

新学期を迎えしばらくたっても、お子さまから新しいお友達の名前が出てこないと、ついつい保護者は心配してしまいがちです。前回に引き続き、ソーシャルスキルがご専門の筑波大学教授の相川充先生に、お子さまの友達づくりを保護者はどのようにサポートすべきか、お話を伺いました。



心配しすぎは禁物! まずは見守って

新学期になると、お子さまに新しいお友達ができたかどうか心配になる保護者のかたは多いと思いますが、まずは温かく見守ってほしいですね。お子さまなりに新しい環境に慣れようと奮闘している最中ですから、保護者から学校のことを問いただすのではなく、お子さまからの話を待ちましょう。ただし「いつでも話を聞くよ」という態度を示してあげてください。

もしも、お子さま自身が人間関係につまずきを感じ保護者に助けを求めた時、あるいは様子がいつもと違うと思った時には声をかけ、お子さまから教えてもらうつもりで話を聞きましょう。そして具体的なソーシャルスキル(人付き合いの技術)を教えてあげていただきたいと思います。お子さま自身が目標や目的を感じた時に、ソーシャルスキルを身に付けると非常に効果的だからです。事例を挙げてご説明しましょう。

~こんな時にどうアドバイスする!?~
親友とクラスが分かれ、新しい友達ができるか不安なA君の場合。

1)新学期はみんな不安だと伝える
クラス替えがあるのは仕方がないことです。また、A君以外にも友達と離ればなれになってしまった子もいることも伝えてあげましょう。そんな時は新しい友達をつくるチャンス、いろいろなタイプの人と友達になれるかもしれないよという希望を伝えてあげるとよいですね。

2)具体的なソーシャルスキルを教える
次に、どんなことをしたら、新しいお友達ができるか、お子さまと話し合って考えてみましょう。保護者から、「こんなことをやってみるといいと思うけど、どう思う、使えると思う?」と提案しながら、お子さまが実践できそうな方法を話し合って見つけましょう。この事例の場合なら、下記のような具合です。

●まずはあいさつしてみる
あいさつは、まだ友達じゃない子にも自然に声をかけることができるからです。できれば、あいさつの前後に相手の名前をつけるとよいですね。

●相手の様子を言葉にする
自分のことを話すのは難しくても、相手の様子を言葉にするのは意外と楽にできるかもしれません。「僕と同じボールペンだね」「その服、いいね」などの短い言葉でOKです。自分のことを言われると、相手は受け入れやすく、話のきっかけになるはずです。

3)モデルを見せて、練習をしてみる
お子さまが実践できそうな方法が見つかったら保護者がやって見せたり、「となりの○○ちゃんだと思って練習してみよう」と提案したりしてみましょう。

4)振り返る
お子さまが学校から帰ってきたら「声をかけられたかな?」などと聞いて、結果を一緒に振り返りましょう。一回でうまくいかなかったら別の方法を考えて、また実践しましょう。

お子さまにとって、保護者が自分の悩みの相談に乗ってくれるというのは、とても大きな意味を持ちます。すぐに解決できなくても、「親が一緒に考えてくれる」と思えると、それだけで安心できるからです。注意したいのは、「そんな小さな声ではダメでしょ」「どうしてできないの」といった否定的な言葉を使ってしまうことです。ささやかなことでも、できたことをほめてあげます。たとえば声が小さすぎてうまくいかなくても、友達に声をかけられたことをほめてあげます。そのあとで「友達に聞こえる声を出せば、うまくいくよ」と前向きの言葉を添えて、具体的なやり方を伝えます。お子さまが今、できる範囲のことを、お子さまの立場で考えてあげたいですね。



内気な子ほど気にかけて

ソーシャルスキルが不足している子には、言いたいことが言えない引っ込み思案のタイプと、逆に攻撃的・暴力的な言動が多いタイプが挙げられます。私が特に気になるのは前者の子です。後者のタイプの子は、保護者、先生や周囲の大人が注意しやすいので、改善のチャンスが多いと言えます。一方、おとなしくて真面目な子は、問題を起こすことが少ないので、よい子として周囲も見ています。しかし、友達との人間関係がこじれてしまった場合、なかなか自分では解決できず、大きなトラブルにつながることもありますので、日頃から「困ったことがあったら言ってね」と声をかけておくなど、気にかけてあげてほしいですね。



家族でのコミュニケーションを大切に!

お子さま自身が困りごとを感じていない場合は、保護者からソーシャルスキルの技術を指導する必要はないと思っていますが、家庭内でのコミュニケーションを活発にしてほしいと思います。とにかく、お子さまとたくさん話してほしいですね。お子さまは、保護者との普段の会話の中から、人付き合いを自然に学んでいくからです。

もう少しレベルアップしたいという保護者のかたは、お子さまに身に付けさせたいソーシャルスキルを意識して、ご自身が振る舞ってみましょう。たとえば、ご主人とケンカしてしまった場合も、きちんと言葉で「ごめんね」と謝ります。家族の誰かにサポートしてもらった時は、「ありがとう」と伝えるといったことです。お子さまが小さいうちから有効ですので、少し心に留めておいていただけるとよいですね。


プロフィール


相川充

宮崎大学助教授、東京学芸大学教授を経て現職。専門は、対人社会心理学。著書に『イラスト版子どものソーシャルスキル:友だち関係に勇気と自信がつく42のメソッド』(共著、合同出版)、『新版 人づきあいの技術:ソーシャルスキルの心理学』(サイエンス社)など。

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