「中高一貫教育校」と「中高一貫校」何が違う?

「中高一貫教育校」と「中高一貫校」何が違う?「中高一貫教育校」と「中高一貫校」。「教育」という言葉があるかないかの違いだが、前者が国の「中高一貫教育制度」にのっとった学校であるのに対し、後者は主に「私学の独自性」などに基づき、中学校と高校が一体で運営されている学校を指す。通常、生徒や保護者は意識することが少ないこの「違い」が、大きな問題を引き起こすことがある。教育ジャーナリストの渡辺敦司氏に聞いた。

 

***

 

先頃、大阪府の私立高校で、選択必履修科目である「物理基礎」を約200人が未履修だったことが発覚しました。未履修といえば、2006(平成18)年度に全国の1割の高校が卒業直前まで補習に追われた、「未履修問題」が思い起こされます。この時は、本来は履修させるべき科目の時間まで受験科目の授業に充てていたケースがほとんどでした。しかし、今回の高校の場合、中高一貫教育校と中高一貫校の制度上の違いから起きた問題だったのです。

 

この私立高校では2年前から、系列中学校の内部進学生に中高一貫カリキュラムを編成し、物理基礎の授業を高校ではなく中学校で実施していました。しかし、中高一貫教育校としての届け出をしていなかったため、中学校で行った授業が、高校分の履修と認められませんでした。

 

中高一貫教育校のうち、6年一貫の「中等教育学校」では前期課程(中学校相当)と後期課程(高校相当)の内容を、併設型中学校・高校では中学校と高校の内容を入れ替えることが認められています。しかし、中高一貫教育校として届け出ていない学校ではこうした特例は認められておらず、中学校で高校の授業を行っても、高校の卒業単位とは見なされないのです。

 

私立も含め、ほとんどの学校では法令に基づいた学校運営や教育課程編成が行われています。したがって生徒も保護者も「この学校は中高一貫教育校か、中高一貫校か」などと気にする必要は、まずありません。ただ、今回のようなケースがまれにあることだけは知っておいたほうがよいでしょう。

 

出典:「中高一貫教育校」と「中高一貫校」との違いは?‐渡辺敦司‐-ベネッセ教育情報サイト

子育て・教育Q&A