家計を圧迫する教育費 高校入学から大学卒業まで約880万円

受験シーズンもほぼ終わり、高校や大学などへの進学準備に追われている家庭も多いと思います。そこで新たな問題となるのが入学金や授業料などの教育費負担です。政府系金融機関である日本政策金融公庫がまとめた調査結果(外部のPDFにリンク)によると、受験費用や入学金など大学入学に必要な費用は102万円、授業料など1年間の大学在学費用は142万円となり、高校入学から大学卒業までにかかる教育費負担は約880万円であることがわかりました。また保護者の約6割が子どもを海外留学させたいと考えていることも明らかになりました。

調査は2014(平成26)年11~12月、高校生以上の子どもを持つ保護者を対象に、インターネットを通じて実施し、4,700人(各都道府県100人)から回答を得ました。
2014(平成26)年4月に交通費などを含む受験費用、学校納付金(授業料を除く)など大学入学のためにかかった費用は、国公立大学が83.2万円、私立大学文系が104.3万円、私立大学理系が109.9万円で、平均102.2万円でした。

また、2014(平成26)年度の1年間の授業料、通学費、教科書代などの在学費用は、国公立大学が107.0万円、私立大学文系が147.0万円、私立大学理系が169.4万円で、平均141.8万円となっています。つまり、入学費用と在学費用を合計すると2014(平成26)年春に大学に入学した学生の初年度の教育費負担は、国公立大学が190.2万円、私立大学文系が251.3万円、私立大学理系が279.3万円で、平均244万円という計算になります。
さらに、直接的な教育費以外の費用としてアパートなどを借りて一人暮らしする自宅外通学者の場合、アパート敷金や家財購入など自宅外生活を始めるための初期費用が平均45.1万円かかるほか、生活費などの仕送りは年間で平均140.3万円(月額11.7万円)に上っています。これを単純計算すると、私立大学文系の自宅外通学者の場合、入学費用、在学費用、自宅外生活初期費用、1年間の仕送りを合わせると、合計436.7万円が初年度に必要ということになります。保護者にとっては頭の痛い問題でしょう。

一方、入学費用と在学費用を累計すると、高校(国公私立平均)の入学から大学卒業までの7年間にかかる教育費負担は、国公立大学が721.2万円、私立大学文系が902.3万円、私立大学理系が997.5万円で、平均879.4万円になると同公庫は推計しています。

なお、同公庫は前年度まで「国の教育ローン」の利用者を対象に調査をしていましたが、今回から同ローンを利用していない者を含めた調査に切り替えました。ローン利用者は、教育費が平均より高い傾向にあるため、前年度までの調査と比較すると、教育費負担額はやや減少しています。

このほか、子どもを海外留学させたい(「させたい」+「条件が合えばさせてもよい」)という保護者は、全体の59.4%でした。ただし、「留学を考えていない・できない」という理由(複数回答)は、「費用負担」が78.0%、「子どもの意思」が41.8%、「子どもの語学力」が34.4%などとなっており、経済的余裕さえあれば子どもを留学させたいと思っている保護者を含めると、海外留学への関心は非常に高いようです。

大学進学などの教育費負担は思った以上にかかるものです。なるべく子どもが小さなうちから、少しずつ準備しておくことが肝心でしょう。


プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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