漢字がなかなか覚えられません。字も汚く困っています[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。


【質問】

毎日漢字練習をしていますが、なかなか覚えられません。何回も何回も書いて練習しますが、1字覚えると以前に覚えた漢字を忘れるなど、びっくりするほどです。字も汚く、「丁寧に書こうね」といつも言い聞かせていますが、気分によってむらがあります。調子のよい時はきれいな字が書けているのですから、ちゃんと書けば書けるはずだと思います。テストの点も、漢字のミスで損をすることが多いようです。

相談者:小4女子(性格・大ざっぱ・感情的なタイプ)のお母さま



【回答】

漢字は「出力」することで定着させ、汚い字は丁寧に書く理由を教えることで改善。


■漢字の練習は短時間でやる回数を増やす

まず、漢字がなかなか覚えられないという点について。「何回も何回も書いて練習します」とありますが、何回くらい書いているのでしょうか。1つの文字につきせいぜい5~10回、全部で15分くらいの時間をとるとよいでしょう。これ以上書く回数や時間を増やしても、あまり意味はないようです。それよりも、漢字を練習する機会の回数を増やしたほうがよいでしょう。たとえば学校から帰ったらまずは15分間漢字の練習をし、ほかの勉強が終わって夜寝る前に15分間漢字の練習をするといった具合です。漢字の練習は“作業”に近いので、本格的な勉強(たとえば算数で難しい問題を解く)の導入に最適です。人は、やり始めるとヤル気になるという傾向がありますから、漢字や計算練習など、軽い学習をうまく使うと全体の学習がすんなり運ぶと思います。

■記憶の「入力」だけでなく「出力」も

さて、次は漢字の練習の方法です。漢字を書いて覚えるのは記憶の「入力」であり、漢字の学習ではもちろん必要な作業です。でも、記憶を長持ちさせるには「出力」するほうも大切なのです。ここで「出力」とは、覚えたものを忘れないうちに使うことです。たとえば、日記をつけたり手紙を書いたりする時、覚えたての漢字をできるだけ多く使うなどにより、記憶がより長期的なものになります。とはいっても、日記や手紙はなかなか書く機会がないでしょうから、漢字の練習の時に、漢字を見ながら何回も書く(入力)だけではなく、書き取り問題を解いていく(出力)ことで記憶を定着させるとよいでしょう。
これは他の教科にもいえることですが、ある単元や分野を何回も読んで理解するだけではなく、それに関する練習問題をあわせて解くことにより、より理解が深まり記憶も定着します。

■きれいな字は正しい書き順から

次に字が汚いということですが、一つには正しい書き順で書けていないことが考えられます。漢字は書ければよいということで、往々にして書き順を軽視しがちですが、きれいな字は一生涯の財産といえますから、今のうちから書き順には注意すべきだと思います。正しい書き順で書いた字は、バランスもよくなります。すなわち、正しい書き順は、漢字を美しく仕上げるための条件なのです。

とはいっても、受験生の気持ちもわかります。きれいな字を心がけていては、確かに答案の作成が遅くなります。よい点をとることと、きれいな字で答案を仕上げることを同時に要求するのは少々無茶かもしれません。しかし、そんな場合でも、少なくとも「丁寧な字」は心がけるべきでしょう。

■字はなぜ丁寧に書かなくてはダメなのか?

「字は丁寧に書きなさい」と指導する時は、なぜ「丁寧な字」を書かなくてはいけないかを納得させる必要があります。なぜなら、「汚い字」が受験生本人にとって非常に不利であることを理解していない場合が多いからです。一般的に、汚い字や読み難い字は、読み手に失礼であるからダメということだけになりがちですが、受験ではもちろんそれではすみません。汚い字、読み難い字、たとえば選択肢で<ア>か<イ>か判別しづらいような字の場合は、当然×になるという厳しい事実を知らないから汚い字のままで平気なのでしょう。すなわち、入試では「恐らく正解の<ア>のつもりで書いていると考えて○にする」という心優しい採点者はいないということです。書き取りはもちろん、答案でも汚い字を書いてすませていると、結局は自分が損をすることが腑(ふ)に落ちれば、誰のためでもなく、自分のために丁寧に書くようになることでしょう。そのためには、字が汚かったために減点された時を見逃すことなく、それを指摘して反省を促すのがいちばんかと思います。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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