「トビタテ!留学」で高校生コース募集 生徒が立案した計画も支援-斎藤剛史-

文部科学省は、民間企業などからの寄付金を活用した官民協働海外留学支援制度である「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」を実施しています。実施2年目となる2015(平成27)年度から新たに「高校生コース」を設けることを決め、募集を開始しました。海外の高校や大学への留学だけでなく、スポーツ・芸術分野やボランティア活動、専門的技術を学ぶ職業訓練など高校生自らが立案した多彩な活動を支援することが大きなポイントとなっています。

2014(平成26)年度から始まった大学生などの海外留学支援に続いて、15(同27)年度から新設された「高校生コース」では、全国から300人の高校生らを募集(応募は3月2日まで)しています。採用者には、留学先や留学期間に応じた奨学金(最高42万円)、往復の渡航費の一部(20万円または10万円)、授業料(上限30万円)が支給されます。また、大都市部などに応募者が集中することを防ぐため、300人中200人については全国6ブロックに分けて、各ブロックの高校生数に応じた割合で採用者を案分することにしています。高校生コースで求められている人材像は「将来のグローバルリーダー」とされ、審査では「産業界を中心に社会で求められる人材」「世界で、又は世界を視野に入れて活躍できる人材」を育成する視点で選考が行われます。留学対象期間は「14日以上3か月以内(1か月以上推奨)」となっています。

高校生コースの募集は、(1)「アカデミック分野」150人(海外の高校や大学などの授業やサマースクールに参加)、(2)「スポーツ・芸術分野」50人(海外のトレーニングセンターや教育機関などで技術・技能のレベルアップを目的とする留学など)、(3)「プロフェッショナル分野」50人(IT・調理・観光・機械など専門的技術を要する分野の留学・国際インターンシップ・職業訓練などの活動)、(4)「国際ボランティア分野」50人(海外でボランティア活動する取り組みなど)の4分野で、いずれも単に授業を受けるだけでなく、海外の同世代の人々と積極的に交流することも条件となっています。このうちプロフェッショナル分野では工業科などの専門高校の生徒らを想定しており、「家政科の生徒が、パリのフランス料理専門学校で(中略)学びながら、現地のレストランでの調理を体験する」などが挙げられています。スポーツ関係では、「海外のアイスホッケーのクラブチームに所属し、練習や試合に参加し、チームメートとコミュニケーションを取りながら、語学や戦術、フィジカル面を学ぶ」などが例示されています。海外の学校で授業などを受けるだけでなく、学校以外の受け入れ先についても高校生自身が考えた専門分野に関する留学プランを支援することが大きな狙いの一つと言えるでしょう。

グローバル化の進展に伴い、最近では高校生や保護者の間で海外留学への関心が高まりつつあると言われています。同プログラムの「高校生コース」の新設により、今後、高校生の海外留学にどの程度弾みがつくのかが注目されるところです。


プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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