7~8割の子どもの本音は……「もっとゆっくりすごしたい」
ベネッセ教育総合研究所では、2013(平成25)年11月に、全国の小学5年生から高校3年生8,100名を対象にした、「子どもの生活時間の実態と時間に関する意識」調査(第2回放課後の生活時間調査)を実施しました。その結果から見えてきた、いまどきの子どもたちを取り巻く状況とは、どのようなものなのでしょうか?
「忙しい」と感じている子どもは
小学生51.2%、中学生64.8%、高校生70.4%
「忙しい」と感じている子どもは、小学生では51.2%、中学生は64.8%、高校生になると70.4%と、いずれも半数を超えています。 また、「もっとゆっくりすごしたい」と感じている子どもも7割を超えました。
携帯電話やスマートフォンの使用時間が
すべての学校段階で増加
前回の第1回調査(2008<平成20>年)と比較すると、「携帯電話を使う」と「スマートフォンを使う」の合計平均時間は、小学生5.5分増、中学生12.9分増、高校生37.1分増とすべての学校段階で増加しています。一方で、「テレビやDVDを見る」の平均時間は減少していました。
朝6時までに起床する子どもの割合が増加傾向に
一方で、子どもたちの生活リズムは維持・改善され、学習時間も増加しています。すべての学校段階で第1回調査と比べ平均睡眠時間に変化は見られませんが、朝6時までに起床する子どもの割合は増加しています。
「時間をむだに使っていると感じる」子どもは半数以上
「学校の宿題をする時間」や「学校の宿題以外の勉強をする時間」の平均では、中・高校生で増えていることがわかりました。
しかし、時間の使い方についての自己評価は低下しており、「時間をむだに使っていると感じる」子どもは半数を超えています。
子どもの放課後の行動は「内向き化」傾向
子どもの放課後の行動は、「内向き化」傾向が見られました。「外で遊ぶ・スポーツをする(習い事・部活動を除く)」の平均時間は、小学生40.7分(前回より4.2分減)、中学生17.1分(前回より2.3分減)、高校生10.8分(前回より1.5分減)と、第1回調査と比較すると、すべての学校段階で減少傾向です。
また、「映画館に映画を観に行く」「スポーツを観に行く」「地域の行事に参加する(夏祭りなど)」など、さまざまな体験活動への平均参加回数もすべての学校段階で減少傾向でした。
現在の学習指導要領のもと、授業時数の増加によって学校滞在時間が長くなり、子どもたちの放課後の可処分時間は減少しています。また、この5年間の大きな変化であるスマートフォンの普及は、子どもの生活時間に大きな影響を与え、生活時間の自己管理をとても難しくしています。そんななかでも、子どもたちは生活リズムを維持しながら、時間をやりくりして学習時間を確保しているようです。一方で、多忙感を抱えていたり、時間の使い方について課題や悩み・不満を抱えていたりする子どもたちは多いようです。
こうした結果から、子どもたち自身が時間の使い方についてじっくり考える機会を持ったり、時間の使い方の課題を踏まえたうえで保護者や教員がアドバイスしたりする必要があると言えそうです。
※第1回調査は2008 (平成20)年に行っており、子どもたちの時間の使い方や意識についての現状と5年間の変化をとらえ、生活や学習における課題を明らかにすることを目的にしています。高校生の経年変化は、高校3年生を除外して実施しています。