学校が合わず転校を検討する場合、どこに相談したらよい?[不登校との付き合い方(11)]

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受験勉強をがんばって、念願の私立中学校に入ったけれども、なんとなく校風が合わない、あるいは偏差値が高めのところに入って学力が追いつかない……。そうした理由で、子どもが学校に行きたくなくなってしまった場合、どうしたらよいでしょうか。「不登校新聞」編集長の石井志昂さんにお話を伺いました。

この記事のポイント

私立の学校だけでなく、「中1ギャップ」は公立の学校でも起こりうる

私立の中学校に行かなくても、引っ越して転校した学校がこれまでと校風が違うとか、同じ地域の中学校でも雰囲気が違うということもあります。そもそも、小学校と中学校では、全く違っていて戸惑うということもよくあります。中学校に上がったら世界が全く違っていた、と言っていた女の子もいました。男子と話すこともままならない雰囲気になっているし、制服も着ていかなくちゃいけないし。これを「中1ギャップ」などと言ったりしますが、校風が合わないというだけでなく、学校全体の雰囲気になじめないということはよくあります。

転校するかどうするかは、子どもの意志を尊重して決めて

学校になじめないという理由で不登校になっている場合は、子ども本人の意思に沿って選択肢を考えてほしいです。私立だったら、子ども本人が退学したいと言い出すまでは、除籍されるまで退学させないでおいてほしいです。家計が許せばの話ではありますが。子どもにとっては、がんばって入った学校の生徒であることが唯一のプライドという場合もあります。

ここで保護者に気づいてほしいのは、自分の本当の気持ちです。子どもの意志を尊重しようとする一方で、「なんだかんだ言っても、やっぱり学力の高い学校に通ってほしい」と思ってはいないでしょうか。不登校になった時点で急に、「受験や学校だけが人生じゃないよ」と保護者が言ったとしても、これまで何年も、学力第一主義でガンガン勉強しろと言ってきたのはどういうことなの?と、子どもは思います。いきなり意見を変えたからといって、それで子どもの気持ちはすぐに整理がつくわけではありません。

ご理解いただきたいのは、子ども自身の学ぶ力はとても強いということ。吸収力という意味では大人よりも子どものほうが高いです。あとになって振り返ってみて、子どものころに学んだことや知ることが面白かったと思うのは、自分自身の学ぶ力が強かったからです。学校の仕組みは、そんなに効率的に学べるようにはなっていませんし、子どもの意志が、やはりいちばん大切なのです。

だから、「この子は学ぶ力があるからどこに行っても大丈夫、学校だけが人生じゃないし、これからたくさん学んでいける子だ」と、自信を持ってください。そうしたら、子ども自身は、自分に合った選択肢を選び取れると思います。

自分に合った環境は、自分で選ぶということが大事だし、それしか道はありません。子どもの意志を尊重してほしいです。

転校するかどうするか、相談できる場所は?

転校するか、もしするならどこの学校にするのか、選択肢を探す段階で保護者が相談できる場所がほしいという場合、私がすすめるのは、転校先の学校の先生がたです。

不登校の小学生を持つ保護者が、小学校の先生と相談しようとしても、担任とは衝突するばかりで、校長先生は「学校に来なさい」の一点張りで困っていたケースがありました。最終的に救いとなったのは、不登校児を受け入れる中学校の先生たちだったそうです。不登校になった学校では、そもそも対応ができていないから子どもは不登校になったわけです。

転校するならここがよいかも、と思う学校があったら、保護者がそこに直接話をして関係を作ることで、具体的に話が進むと思います。願書の提出などの手続きについても、学校同士でやりとりしてくれる場合もあります。

また、学校に通うということ自体が難しい様子だったら、フリースクールに電話で相談してみてください。フリースクールは学費がかかるし通わせることはできない、という場合でも、相談は無料で受けてくれるはずです。そして、フリースクールが窓口になって、そうした子どもを持つ保護者同士の会を作っているところが多くあるので、紹介してもらいましょう。そこにはフリースクールに子どもが通う人も、通っていない人もいますし、祖父母が参加していることもあります。

今は、オンラインの親の会もありますし、不登校を受け入れている高校や通信制高校も相談先としてはよいと思います。

不登校の話は、学校に通っている子どもを持つママ友などには相談しづらいし、なかなかわかってもらえませんよね。でも、話を親身になって聞いてくれる人はいます。相談をしたからといって、相談先の学校に強く勧誘されるといったこともないので、まずは気兼ねなく行ってみてください。

まとめ & 実践 TIPS

学校の校風が合わなかったり、学習レベルが高くて学力がついていけなかったりで、子どもが学校へ行きたがらなくなったとき、最優先したいのは子どもの意思。同時に保護者は、自分自身は子どもをどう育てたいと本当は考えているのかを自問してみてほしい、と石井さんは言います。こうした保護者としての思いを相談できる場所は、子どもが次に通いたいと言う学校や転校先の学校にありそうです。

プロフィール


石井志昂

『不登校新聞』編集長。1982年生まれ。中学校受験を機に学校生活があわなくなり、教員、校則、いじめなどにより、中学2年生から不登校。17歳から不登校新聞社の子ども若者編集部として活動。不登校新聞のスタッフとして創刊号からかかわり、2006年に編集長に就任。現在までに不登校や引きこもりの当事者、親、識者など、400名以上の取材を行っている。

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