昔とどう違う? 高校入試の今

公立高校の入試制度は、保護者の方々が受験されたころとは大きく変わってきています。都道府県ごと、学校ごとにも特色があります。
今回はどのように変化したのか、全体像について首都圏の1都3県を例にポイントをまとめました。

「推薦入試」「一般入試」の原則は崩れ 入試を一本化する都道府県が増えている

公立高校の入試といえば、以前はどの都道府県でも、受験機会を複数確保するため、「推薦入試」と「一般入試」が行われていました。推薦入試は中学校長の推薦が必要で、原則学科試験は行われません。

しかし、2000年代からは中学校長による推薦を取りやめて自己推薦にしたり、推薦入試自体を廃止して一般入試を前期・後期に分けて選抜方法を変えたりする都道府県が増えてきました。従来の推薦入試に当たる入試は、都道府県によって前期選抜・特色化選抜などの名称で呼ばれ、面接・作文・独自問題・グループ討論・スピーチなど、独自の選抜方法がとられています。

近年は中学校長の推薦が必要な従来型の推薦入試を行う都道府県は減少し、首都圏では東京のみとなっています。また、いわゆる「一般入試」(学力検査による選抜、後期選抜などと呼ばれる)でも、学校によって独自問題を課す都道府県が増えるなど内容が多様化しており、前期と後期に分ける必然性が薄くなったため、日程を一本化するところが増えてきています。首都圏では、埼玉・神奈川の入試は1回となりました。千葉は、現在は前期選抜・後期選抜の2回ですが、2021年度入試から一本化される予定です。

試験問題は「どこも同じ」ではない

以前は、公立高校の問題は各都道府県ごとに共通でした。しかし、現在は各校独自の入試問題を出題するところが増えています。その背景には、高校進学率が98.8%に達し、受験生の学力幅が大きくなってきていることが挙げられます。共通問題の場合、上位校ではケアレスミスだけで差がついてしまい、学力を正当に測れないという弊害が出てきたのです。

たとえば東京の2018年度入試では、以下の高校が国語・数学・英語の3教科について自校作成問題で入試を行いました(理科・社会は共通問題)。
進学指導重点校:日比谷、戸山、西、八王子東、青山、立川、国立
進学重視型単位制:墨田川、国分寺、新宿
このほか、併設型中高一貫教育校(白鴎、両国、武蔵、富士、大泉)では、このグループ共同で作成した共通の国・数・英の問題を出題しました。

また、神奈川県の入試問題は共通ですが、多くの上位校が「特色検査」を行っています。2018年度入試では、学校によって与えられたテーマについての記述、スピーチ、グループ討論、口頭による英問英答などが出題されました。

選抜方法に現れるアドミッションポリシー

選抜方法の多様化の背景には、学校独自の特色を打ち出し、生徒が自分の興味や適性に合った高校を受験できるようにする意図があります。自校作成問題や特色検査は、資料を読み込む力や自分の考えを伝える力など、各校が求める生徒像(アドミッションポリシー)が反映されているといえます。

「SSH(スーパーサイエンスハイスクール)」「SGH(スーパーグローバルハイスクール)」といった文部科学省の指定校のほか、各都道府県の教育委員会も、グローバル教育、理数教育、ICT教育、スポーツ、文化などさまざまな指定校を設けて各校の特色を打ち出そうとしています。
「公立高校の教育にはあまり差がない」というイメージはすでに過去のもので、同じ「普通科」でもカリキュラムは多様化しているのです。

なお、各都道府県ごとの共通問題も、昔に比べて思考力・判断力・表現力が重視される傾向にありますので、ぜひ一度、お子さまと一緒に過去の問題を眺めてみてください。高校入試に向けてどんな力が必要とされるのか、具体的にイメージがわいてくることと思います。

学区撤廃による選択肢の広がり

ご存じのかたも多いと思いますが、多くの都道府県で学区の撤廃や緩和が進み、受けられる高校の選択肢は格段に広がっています。また、交通網の発達により、「通える学校」の範囲も大きく広がりつつあります。
高校入試が視野に入ってきたら「近い学校」「入れそうな学校」といった視点だけでなく、お子さまと一緒にさまざまな観点から志望校を考えてみてください。また、選抜方法や指定校には変化がありますので、お住まいの都道府県の教育委員会ホームページは、ときどきチェックすることをおすすめします。

プロフィール

安田理

安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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