貧困の連鎖は断ち切れるか? 注目される政府の取り組み

厚生労働省が発表した2013(平成25)年の国民生活基礎調査の結果で、平均的な収入の半分以下で暮らしている「相対的貧困」の状況が明らかになった。「子どもの貧困率」は16.3%で、17歳以下の子どものほぼ6人に1人が相対的貧困にある家庭環境で育っている。教育ジャーナリストの渡辺敦司氏に聞いた。

 


貧困の連鎖は断ち切れるか? 注目される政府の取り組み

 

今回、判明した「子どもの貧困率」16.3%は、前回調査(2009年)から0.6ポイント増加した数字。子どものいない世帯も含めた全体の相対的貧困率が前回調査比0.1ポイント増の16.1%だったことに比べ、悪化の度合いが顕著です。

 

特に、子どもがいる現役世帯で「大人が1人」の場合、相対的貧困率は54.6%にのぼりました。これに対して、「大人が2人以上」の場合は12.4%。シングルマザー、シングルファーザーの家庭で貧困化が進んでいる実態が見て取れます。

 

とりわけ母子家庭の状況は深刻で、2013(平成25)年の総所得を見ると、児童のいる世帯全体では673万2,000円でしたが、母子家庭では243万4,000円に過ぎません。生活意識を尋ねた設問では、「苦しい」との回答が母子家庭で84.8%。このうち「大変苦しい」と答えた人は49.5%で、2人に1人を占めました。

 

貧困状態にない家庭でも、教育費は重い負担です。まして貧困家庭では、教育費どころではありません。生活保護を受けている人の4人に1人が子ども時代、生活保護世帯で育ったという調査結果があります。今回の調査からは、保護者だけでなく、子どもの世代も貧困が続く「貧困の連鎖」がますます広がっていく懸念が高まっているといわざるを得ません。

 

この連鎖を拡大させないために、政府が先に閣議決定した「子どもの貧困対策に関する大綱」をどれだけ施策に反映できるかが問われます。貧困対策は、将来の社会の担い手を育てるという点では社会全体の問題です。

 

出典:子どもの貧困問題、解消へ本格的な対策が急務 -ベネッセ教育情報サイト

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