世界を舞台に課題を解決! 高校もグローバル化へ‐渡辺敦司‐
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社会・経済のグローバル化が急速に進み、今の子どもたちが社会人になるころには、ますます国籍や文化的背景の異なる人と一緒に仕事をすることが当たり前の時代になっていくことが予想されます。そうした時代に対応するため多くの大学では既にグローバル人材の育成に取り組んでいますが、高校でも動きが急になっています。
以前にも紹介した「スーパーグローバルハイスクール」(SGH)について、正式に指定が行われたことは、地元紙などの報道でご存じのかたも少なくないと思います。ただ、2013(平成25)年の概算要求では全国100校の指定を計上していたのですが、査定により半数に減らされたため、実際の指定は56校に絞られました。それも246校にも上る申請の中から約4.4倍という難関をくぐり抜けて選りすぐられた学校ですが、たとえ地域トップ校であっても落選した高校は少なくありません。
では、SGHにはどんな高校が選ばれたのでしょうか。56校の内訳は、国立4校、公立34校、私立18校。中高一貫の学校も10校含まれています(併設中学校が指定されていない場合を除く)。国際的に通用する大学入学資格を取得できる「国際バカロレア」(IB)認定校は玉川学園中学部・高等部と立命館宇治中学校・高校の2校だけですが、他にも今後IB認定を目指す学校が少なくとも5校あります。また、既に文科省の「スーパーサイエンスハイスクール」(SSH)に指定されている12校もSGHを兼ねることになりました。指定期間は5年間で、毎年1,600万円を上限に支援が行われます。
そんなSGHでは、どんなことに取り組むのでしょうか。具体的には公募段階で示された実施要項に詳しく書かれていますが、SGHは、従来あったような「国際○○高校(学科)」のように、単に英語の学習や海外と接する機会を増やしたりするだけにとどまりません。時には海外でのフィールドワークや発表なども含めた課題研究をとおして、将来のグローバル・リーダーとなるために必要な、社会課題に対する関心と深い教養、コミュニケーション能力、問題解決力等の国際的素養を身に付けさせることを目指しています。IB認定校がTOK (Theory of Knowledge 知識の理論)と呼ばれる学習活動を行っていることが、一つのモデルになっています。また、SSHとの同時指定に見られるように、文系だ理系だと区別せず教養や問題解決能力を培うのが「国際標準」です。もちろん英語で授業を行うことは普通になりますから、SGHを志望するには相当な英語力が求められるのも確かです。
なお、初年度の倍率が高かったことから、選に漏れた学校のうち54校を「SGHアソシエイト」(準SGH)と位置付け、正式な指定校とともに「SGHコミュニティ」をつくって情報を共有することにしました。
一方、IBをめぐっても東京都教育委員会が都立国際高校で2015(平成27)年度からコース導入を発表するなど、広がりを見せ始めています。今後、高校段階でのグローバル教育の動きは急速に進むことでしょう。
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