「ピア効果」で、学力や人間力を伸ばしてくれる学校に期待する保護者
「ピア効果」をご存じだろうか。「ピア」は「peer」とつづり、仲間、同級生、クラスメートなどの意味がある。一緒に教育を受けるグループの特性が、教育成果に及ぼす影響が「ピア効果」だ。この効果について、森上教育研究所の森上展安氏が解説する。
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「ピア効果」は学力が高い人々が集うことによって、お互いに切磋琢磨(せっさたくま)し、さらに高め合うことが期待できる効果である。しかし、集った人々に学力だけではなく意識や意欲がなければ、効果は半減する。「ピア効果」は能力と意識・意欲が高い人が集まる場に生まれるのだ。
保護者は、学校での「ピア効果」に期待したいところだろう。私立中高一貫校は、中高6年間の「ピア効果」により、学力だけでなく人間力を伸ばしてくれる可能性がある。中学から豊かな学校生活を送らせたいという保護者のほとんどは、私立に集う学力や意識・意欲の高い生徒と教員に「ピア効果」を期待しているのではないだろうか。
難易度の高い学校には、当然ながら学力が高い生徒が集まりやすい。逆に、難易度の低い学校には、学力の低い生徒が集まりやすいことも事実だ。保護者が、我が子の実力で合格できる範囲の、なるべく難易度の高い学校に進学させたいと願うのは、学力による「ピア効果」に期待しているからであろう。
しかし、中学入試の難易度が高い割に、大学合格実績が低い学校がある。学力は高くとも、意識・意欲の低い生徒や教員が多いのかもしれない。一方、中学入試の難易度が低くとも、意識・意欲の高い生徒と教員が集う学校では、意識・意欲の「ピア効果」が期待できる。こうした学校は活気があるものだが、それが活気なのか単に騒々しいだけなのか判断に苦しむ場合もある。そんな時は、入学時の難易度が同程度の学校で、6年後の大学合格実績を比較すれば、その結果から判断できることを覚えておこう。