大学生のおこづかい、あげる? あげない?

「大学時代は教育資金がかかる」のは、子どもを持つご家庭にとって共通した認識だと思います。大学納入費用や仕送りなどは多くのご家庭には重い負担なので、大学時代のお金の話題は学費、あるいは学費をまかなう奨学金に集中しがち。学業以外にかかる費用に関しては、話題になる機会が少ないように感じています。
ですが大学生になっても、おこづかいを渡しているご家庭は多いですし、おこづかいは渡していなくても、定期代・教科書代・昼食代・携帯電話代などを負担しているご家庭は少なくありません。そこで今回は、大学時代にかかる学校納入金以外の費用を考えてみたいと思います。



大学生のおこづかいは、あげるべきか、あげないべきか

冒頭で取り上げた大学生のおこづかい。高校まではおこづかいを渡すのが自然でも、お子さんが大学生になると、おこづかいを渡すか、アルバイトでまかなってもらうのか、悩むご家庭が増えていきます。
大学生のおこづかい事情を家計診断の中で伺ってみると、「昼食代と定期代だけ渡しました」「ひと月2万円を渡して、昼食代と教科書代などをまかなわせました」など、ある程度は親が負担したケースが多いよう。ですが、「ウチの子どもは全部アルバイトでまかなってくれました」「おこづかいを渡す余裕がなかったので、奨学金の一部を使っても良いことにしました」などというケースも、最近はかなり増えています。
いずれにしても大学生になっても、おこづかいを渡すのか。渡すとしたらいくらにするのか、進学前に親子で相談するのをおすすめします。おこづかいの使い方で一番避けたいのは、お子さん名義の口座に振り込まれる奨学金を、親に無断で使い込まれてしまうこと。学費を払おうと思ったら、予定の額が残っていなかった話を頻繁に耳にします。そのようなことを防ぐためにも、親側が出す分、お子さん自身にまかなってもらう分のルールを、各家庭できちんと決めましょう。



就活には絶対に必要!?免許取得費用

おこづかいの次にご紹介するのは、免許の取得費用。お子さんが運転を好む、好まないにかかわらず、就職活動のために、普通自動車の運転免許を取るケースが増えているからです。
免許取得費用は、通学で取るのか、合宿に行くのかによって、あるいは追加でどのくらいの講習(運転実技)を受けるのかによっても異なりますが、20万円から30万円の間が一般的。免許取得費用について、親側が負担するつもりがないのなら、費用を早めに調べさせて、アルバイトで貯めるように促すなどの対応が必要だと思います。
自動車免許の取得費用は高額なので、ローンを組むお子さんが増えています。免許取得費用のローンは、奨学金と違って、在学中にも返済があります。ローンに頼らないのがベストですが、借りる場合でもできる限り少額で済むように準備しましょう。



女の子なら、成人式の費用も覚悟を

3つめは、成人式の費用。お子さんが女の子の場合は、着物のレンタル(購入)費用、着付け代、ヘアメーク代、写真撮影代、焼き増し代などが15~20万円くらいかかるのが一般的です。着物にこだわれば、40~50万円くらいかかるケースもあります。着物での写真撮影が終わると、そのまま成人式に出席しますので、10万円以上の費用がかかるとしても、スーツなどで参加させるのがかわいそうだと思うかたも少なくないはずです。
最近は、成人式にかかる費用を分割払いで支払ったというご家庭の家計診断をする機会も増えています。分割で支払ってでも、成人式は着飾らせてあげたいという親心は理解できますが、準備できそうな金額の範囲に抑えるのも大切ではないでしょうか。

ちなみにわたし自身は、成人式に着物を借りず、撮影もしませんでした。その代わり、ヨーロッパへの往復航空券(当時の激安チケット)を買ってもらい、20歳のときにヨーロッパ8か国をバックパッカーで旅してきました。
我が家の大学生の娘は、成人式にはスーツで行き、その数か月後に、写真撮影をしました。成人式に着物を借りなかった代わりに、免許取得費用の約3分の2を負担しました。全部出すのが当たり前と思われないように、どこまでが親の負担で、どの程度は子ども自身に払わせるかを事前に話し合ったので、親子とも納得の出費だったといえます。


プロフィール


畠中雅子

大学時代よりフリーライター活動をはじめ、マネーライターを経て、1992年にファイナンシャルプランナーになる。新聞・雑誌などに多数の連載を持つほか、セミナー講師、講演、相談業務などを行う。著書は、「ラクに楽しくお金を貯めている私の『貯金簿』」(ぱる出版)ほか、70冊を超える。

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