大学の9割が保護者に成績を通知 ポイントは「面倒見のよさ」-斎藤剛史-

独立行政法人日本学生支援機構がまとめた調査で、大学の9割が学生の成績を保護者に通知しているほか、出席状況が悪い場合についても7割の大学が保護者に連絡していることがわかりました。大学生になってからも保護者に成績通知することなどには一部で批判的な見方もありますが、大学の学生に対する「面倒見のよさ」は確実にアップしているようです。

調査は2013(平成25)年9月、777大学を対象に実施し、そのうち739校(95.1%)から回答を得ました。学生の学習に対する支援の取り組みを見ると「保護者に対する成績通知」を行っている大学は86.7%(国立80.0%、公立62.3%、私立91.0%)となっているほか、「入学前教育、補習講座の実施」が73.5%(国立67.1%、公立39.0%、私立79.0%)、「担任やアドバイザーから定期的な連絡や確認」が70.9%(国立75.3%、公立58.4%、私立71.9%)など、多くの大学は学生がしっかり勉強するよう気を配っているようです。また学習に関する学生の相談で最近「増えている」と大学が感じているものは、「履修登録・科目選択について」が47.1%、「教員との相性や人間関係」が35.0%、「レポートや論文の書き方」が25.7%、「授業における友人関係」が25.4%などで、現在の大学生にとって学習面でも教員や友人との人間関係が課題となっていることがうかがえます。
出席状況が悪い学生や不登校の学生に対する対応は、「学生と面談」が83.5%(国立78.8%、公立80.5%、私立84.6%)、「担任もしくはゼミ・研究室の教員と教務・学生部等/学部・学科との間で、連絡体制を構築」が75.6%(国立80.0%、公立63.6%、私立76.6%)、「保護者に連絡」が72.5%(国立67.1%、公立64.9%、私立74.4%)などで、やはり多くの大学が対策を取っています。現在の大学は、授業への出席は学生の自主性に任せるとは言っていられないのが実情で、面談や保護者への連絡の実施など格段に面倒見がよくなっているようです。

就職支援については、就職支援担当の「常勤職員」を配置している大学が93.1%、また就職支援の担当者に「キャリアコンサルタント等の資格を取得した者」を充てているのは59.7%、「JASSO等の就職・キャリア関係の研修会を受講した者」を充てているのは43.6%となっています。大学が学生の就職支援に力を入れていることがうかがえます。
学生生活に関してガイダンスを実施している事項は、「飲酒問題」が73.7%、「健康管理」と「メンタルヘルス」が各73.5%、「薬物乱用防止」が72.4%、「喫煙問題」が71.0%などでした。このほか、学生の悩みで増加傾向にあると大学が懸念している課題としては、「発達障害」(59.0%)、「対人関係」(56.7%)、「精神障害」(54.3%)などが挙げられています。

人間関係の悩みを聞き、学生の生活に気を配り、欠席が増えると保護者に連絡、成績も保護者に通知、さらに就職も支援するという「面倒見のよさ」が現在の大学の大きな特徴と言えるかもしれません。大学のイメージは大きく変化しているようです。


プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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