経済観念という家庭の文化を子どもに伝えよう

今年の4月から小学校で新学習指導要領が全面実施されました。中学校は2012(平成24)年4月から、高校では13(同25)年度入学生から、順次実施されていくことになっています。社会の発展に対応し、「生きる力」を育むために、社会生活を営むうえで大切なルールや法及び経済に関する基礎となる内容の充実を図ることなども盛り込まれました。「社会のルールを知り、守ること」「仕事をして収入を得ること」「お金を上手に使って生活を営むこと」など、これまで学ぶ機会が少なかった、しかし、わたしたちが生活をするうえで欠かせない視点が取り入れられています。

このような学校での取り組みは歓迎すべきことですが、生きた教材は何といっても家庭の中にあります。秋から年始にかけては、お祭りや遠足、勤労感謝の日、クリスマス、お正月など、子どもにとって楽しい行事や働くことを考えるきかっけが目白押し。お店で買い物をしたり、子どもが自ら欲しいものを選んだり、仕事の話を聞いたり、寄付をしたり、お年玉をもらったりという機会が増える時期です。これを家庭の価値観や経済観念という文化を伝える場だと考えると、親子で一緒に楽しく取り組めるように思います。次にご紹介するのは、子どもの年齢に応じた実践の一例です。



幼児期はごっこ遊びや絵本の読み聞かせから社会性を

幼児期では、友達との関わりやお店屋さんごっこなど遊びの中で、「自分の物と人(お店)の物の区別」や「お店の商品はお金を払って手に入れる」という社会性が身についていきます。子どもにはゲーム機やソフトが人気かもしれませんが、「寝る前に絵本を読んであげる」など一日の中に時間を設けることで習慣づけができるでしょう。買い物やお手伝いを取り上げた絵本もあります。ちなみにわたしが読んでいた童話や絵本は息子も読み、現在は5歳の甥っ子に読み継がれています。



学童期では買い物体験やお手伝い

学童期になると、「予算内で買い物をし、食事やお菓子を作る」という生活のワンシーンの中に、買い物リスト作り、商店街などでの買い物、調理と片づけの手伝いなど、子どもにできることがたくさんあります。買い物の経験を重ねるうちに、同じ量で値段を比較するなど、子どもなりに限られた予算の中でやりくりをするなどの工夫が見られるようになってきました。



思春期以降はおこづかいで家計管理の基礎作り

学童期におこづかいを渡しはじめるご家庭も多いと思います。思春期以降は部活動や通学などで行動範囲が広くなり、友達づきあいもするようになるので、おのずとおこづかいが必要になってきます。洋服などを自分で買いたがる子も増えてくるでしょう。そんなときは家計管理の考え方を教えるチャンスです。家計費は、月々の生活費のほかに年単位で必要になる税金・保険料・家財費などがあること、それらをあらかじめ見積もって年間収入を超えないように、むしろ将来の教育費などに備えて貯蓄をしていることなどを話してみましょう。わからないなりにも、洋服や友達づきあいの年間予算の見積もりを子ども自身に考えさせることで、お金の使い方の優先順位や子どもの気持ちに応えられる予算について親子で共有できるきっかけになるでしょう。



家計管理は基礎や守りの堅さが強さになることを伝えたい

お金の使い方を巡っては、子どもと対立することも多々あるかもしれません。勉強でもスポーツでも、まずは基礎から学びます。基礎力がなければ問題はなかなか解けないでしょうし、スポーツで強いチームを作るためにはまずは守りを固めます。家計管理もいざというときの備えがしっかりしているからこそ、安心して日々の買い物や暮らしができるということを子どもに伝えていきたいものです。


プロフィール


中上直子

ファイナンシャル・プランナー、消費生活コンサルタント。
マネー、消費生活、消費者教育などをテーマに編集・執筆、教材企画、講座講師、講師養成などで活動。日本消費者教育学会会員。
子どもにかけるお金を考える会メンバー
https://jpn01.safelinks.protection.outlook.com/
一般社団法人消費生活総合サポートセンター(Cサポ)理事
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