転校先は50%が選択の余地なし!

アンケート期間 2011/04/27~2011/05/03 回答者数:980人
アンケート対象:本サイトメンバー 転校経験がある小・中・高の子どもがいる保護者

※百分比(%)は小数点第2位を四捨五入して表示した。四捨五入の結果、各々の項目の数値の和が100%とならない場合がある



今回のテーマは、「転校」。お子さまが新たに通うことになる学校だけに、校風や学習への取り組み方など、保護者として気になるところは多いはず。保護者が知ろうとしている情報とその集め方、さらに求める情報を実際どの程度手に入れられたかなど、転校についてさまざまな角度から伺いました。不安や疑問に感じた点などもご紹介します。
今回は、転校経験がある小・中・高校生をお持ちの保護者にご協力いただきました。






お別れの時、約半数の家庭で子どもの友達にプレゼントを渡している!

最初に、転校に際してそれまで通っていた学校の友達にプレゼントを渡したかどうかを伺いました。

【図1 転校の際、それまで通っていた学校のお子さまのお友達に何かプレゼントをしましたか?】

図1 転校の際、それまで通っていた学校のお子さまのお友達に何かプレゼントをしましたか?

「転校する際、それまで通っていた学校の子どもの友達にプレゼントを渡した」という保護者が5割を超えました。プレゼントの内容は、「鉛筆」「シャープペンシル」「ノート」といった文房具が目立ちました。「ハンカチを渡しました」という声も少なくありません。



約8割の保護者が転居先を決める際、子どもの学校について優先的に考慮

この質問は「子どもは、引っ越しに伴って転校した」という保護者限定です。引っ越し先を決めるのに、お子さまの学校のことはどれくらい重視したでしょうか。

【図2 引っ越しを含む転校だったかたにお聞きします。引っ越し先の地域・住居を決める際、お子さまの学校のことは何番目くらいに重視しましたか?】

図2 引っ越しを含む転校だったかたにお聞きします。引っ越し先の地域・住居を決める際、お子さまの学校のことは何番目くらいに重視しましたか?

今回のアンケートにご協力いただいたかたの総数は、980人。そのうち約8割にあたる768人がこの質問に答えてくださいました。つまりお子さまの転校は、ほとんどが家庭の引っ越しによるものということになります。
引っ越し先の地域・住居を決める際は、「子どもの学校のことを最も重視した」「2番目に重視した」という保護者が多数。2つを合わせると、全体の3分の2を超えました。お子さまの学校について優先的に考える保護者が多いことがわかります。



転校先が決まるまで「1週間以上かかった」が半数近く!

この質問は、保護者全員にお聞きしています。転校先の学校が決まるまでに時間はどれくらいかかったでしょうか。また、転校先に選択の余地はあったでしょうか。

【図3 転校先の学校が決まるまでに、どのくらいの期間かかりましたか?】

図3 転校先の学校が決まるまでに、どのくらいの期間かかりましたか?


【図4 転校先には選択の余地がありましたか?】

図4 転校先には選択の余地がありましたか?

転校先が決まる期間で最も多かったのは、「1週間未満」。全体の約51%に当たります。ということは残りの約49%、約半数のご家庭では、転校先が決まるまでに「1週間以上」かかっているわけです。「2か月以上かかった」という声も約8%と全体の1割近くになります。
一方、転校先についての選択の余地は、「まったくなかった」が約5割を占めて最多。「あまりなかった」と合わせると、全体の7割以上に達します。
お子さまの転校先が1週間では決まらないご家庭がほぼ半数を占めていながら、転校先は限られていることがわかります。



転校先について「通いやすさ」「生徒の様子」を知りたがる保護者多し!

続いて、転校先を決める際に保護者が何についての情報が欲しいと思ったか、また、手に入ったのはどんな情報かを伺いました。どちらの質問も、転校先の学校の選択肢が「まったくなかった」という保護者にはご回答いただいていません。

【図5 転校先の学校を決める際、どんな情報が欲しかったですか?】

図5 転校先の学校を決める際、どんな情報が欲しかったですか?


※図4で、選択の余地が「たくさんあった」「まああった」「あまりなかった」と回答した488人で集計
※複数回答


【図6 転校先の学校を決める際、以下の情報は手に入りましたか?】
図6 転校先の学校を決める際、以下の情報は手に入りましたか?


※図4で、選択の余地が「たくさんあった」「まああった」「あまりなかった」と回答した488人で集計


転校先について保護者が最も欲しがった情報は、「家からの通いやすさ」で約6割。引っ越しを伴う転校がほとんどであり、また図4で見たように転校先に選択の幅がさほどないことから考えても、「家から通いやすいかどうか」を知りたい保護者が多いのは自然です。
求める保護者が2番目に多かった情報は、「学校の生徒たちの様子」「通いやすさ」との差は、わずか1.9ポイントでした。確かに、お子さまが通うことになる学校にどんな生徒がいるかは、保護者としては気になるところですよね。
「学校の校風」「生徒たちの学力」についての情報を欲しがる保護者も少なくありませんでした。

では、実際はどんな情報が手に入ったでしょうか。トップは「家からの通いやすさ」で約7割。保護者の知りたい情報と知ることができた情報とが合致しています。もっとも、「学校の生徒たちの様子」が「手に入った」と答える保護者は約3割に過ぎず、保護者は望む情報を必ずしも十分には手に入れられていないようです。
また、「生徒たちの学力」は2割未満、「現在の学校との学習進度・内容の違い」は1割強の保護者しか知ることができず、学力についての情報が不足していることがわかります。
情報収集の方法としては、「転校する学校のホームページ」を挙げる保護者が目立ちました。誰かに教えてもらう場合は、「不動産業者」「引っ越し先の役所の職員」「転校する学校の先生」が多数。「同年齢のお子さんがいるご近所の人に聞きました。社宅だったので、聞きやすかったです」「引っ越し先は、親のわたしの親友が住んでいる地域。だから親友に根掘り葉掘り聞きました」など、近所の人や友人・知人から情報を得たという声も聞かれました。



子どもの転校について、保護者にはこんな体験あり!

続いてお子さまの転校に関して保護者が不安に思ったこと、転校についての感想やアドバイスをご紹介します。

☆不安を感じたのはこんなこと

  • パートナーの転勤により一家で引っ越したのですが、引っ越し先の住所が決まったのは転勤する1週間前。近隣には中学校が一つしかなかったため、息子はそこに通うことになりました。学校の情報を集める時間がなく、ホームページを見た程度でした。生徒や先生方、保護者のかたの様子などがわからず、不安でした。もっとも、わかったとしてもうちの場合は転校先を選択する余地はなかったのですが……

  • うちの子どもと同じタイミングで転入する生徒が多かったためか、学校は受け入れの対応に追われている様子でした。生徒の様子や転入手続きの説明も慌ただしく、必要な書類が不足するといった不備もありました。真剣に対応してくださっている先生方の気持ちは伝わってくるものの、正直、「これで大丈夫だろうか」という思いが頭をよぎりました

  • うちの子の場合、首都圏から地方への転校でした。転校先は小規模校だったので保護者も少数。しかも、子どもが幼稚園・保育園のころからのママ友同士みたいな関係だろうと思うと、「自分は保護者間の交流の輪に加われないのでは?」と不安になりました

  • 前の学校では、どの子どもも学校に水筒を持参していました。ところが転校先の学校にはそうした習慣はなく、みんな水道の蛇口から水を飲んでいると転校したあとで子どもから聞いて、びっくり! わたしは水道水を飲むことに抵抗があったため水筒を持たせ続けましたが、なぜ水筒を持たせるかを担任の先生に説明する機会がなく、「変なふうに思われていないだろうか」と気分が落ち着きませんでした

☆ここが知りたかった&こんな時どうすればいいの?

  • 水着や体操服の名前の書き方など、学校によってけっこう違うようです。そういう細かな点をもっと知りたかった。また、その学校の生徒の様子について、良いところだけでなく課題のあるところも、先生方がもう少し詳しく説明してくださったらよかったと思います

  • 転校する学校に挨拶に行った際、対応してくださった副校長先生の机には菓子箱がたくさん置いてありました。わたしは手ぶらだったのですが、何か持参したほうが良かったのかと、転校して数年経つ今でも気になっています

☆こうするのもひとつの方法です

  • 転校先の学校についてわたしが知りたかったのは、まず生徒の雰囲気、次に学習進度や使っている教科書の内容といった勉強面。ホームページの情報だけでは不安だったので、その学校に電話をして先生方に直接伺いました

  • 子ども自身が新しい環境になれるのに少し時間のかかるタイプで、転校に対しても不安が強かったので、前の学校の振替休日に新しい学校を見に行った。電話したら、快く校舎にも入れてもらえ、またこの体験によって、子どもも「違う学校でも同じことをしていて、同じような子どもたちがいる」とわかり、安心したようだった

(まとめ)
転校する学校について、ありのままを知りたい。そんな声を寄せる保護者が目立ちました。情報は学校のホームページをはじめ、インターネットを活用して集める保護者が大半でしたが、「近所の人」や「不動産業者」に聞いたという声もたくさん寄せられています。「学校に電話して、先生方からお話を伺った」という保護者も少なくありませんでした。
ただ、生徒の様子や生活態度、学習進度など「学校の中のこと」については、知りたい情報が思うように手に入らないと感じる保護者が多いようです。「どんな学校なのかがわからず、不安だった」という声がたくさん寄せられています。
今後、保護者も子どもも不安なく転入できる体制をつくるためにも、学校と保護者とがコミュニケーションをさらに密にし、情報を共有する関係を築いていきたいものですね。


子育て・教育Q&A