小4の息子は、同学年の友達とうまくつきあえないようです[教えて!親野先生]

今週の相談

 

小学4年生の息子は、同じ学年の子とうまくつきあえず、1、2年の子とばかり遊んでいます。たまに、同学年の男の子と遊ぶのですが、自分の思いどおりにならないと(いやだと思う遊びだと)怒って帰ってきます。本人が楽しいのならばいいと思っていましたが、このままだと心の成長がうまくいかず、きれやすく、大人になってからの人間関係にも影響がありそうで心配です。今後どのように声を掛けていけばいいのでしょう?(E.Nさん)

 

【親野先生のアドバイス】

E.Nさん、拝読いたしました。

親としては心配になると思いますが、結論から言うと、それほど心配しなくて大丈夫です。似たようなケースを、私もたくさん見てきました。

私が知っている例をお話しします。
私が3年生で受け持った男の子にA君という子がいました。A君は、1学期は男子と遊べませんでした。女子としか遊べなかったのです。しかも、遊んでいる最中に必ずもめごとを起こしました。

というのも、A君は思いどおりにいかないとすぐカッとして、手を出したり物に八つ当たりしたり大泣きしたりするからです。それで、ボランティア精神に燃えている一部の女子が面倒を見るような形で遊んでくれていたのでした。男子たちは呆れていてあまり相手にしてくれませんでした。私が男子たちに誘ってやるように言ったときは一緒に遊ぶのですが、すぐにもめてしまって続かないのです。また、A君本人も女子と一緒のほうが居心地がいいようでした。幼稚園のときからずっとそうだったようです。

ところが、2学期くらいになると、だんだん男子とも遊べるようになりました。というのも、一緒に遊んでいた女子が男子と一緒に遊び始めると、A君もつられて一緒に遊ぶようになったからです。そういうときは、けっこうみんなで仲良く遊べるようになりました。

私は、A君は幼稚園くらいから女子と遊んでいる間に、友達と付き合う方法を少しずつ身に付けてきていたのだと思います。もめごとは相変わらず多かったのですが、確実に変化と成長が見られてきました。そして、3学期には、男子と遊ぶほうが多くなってきました。もめごとも少しずつ減ってきました。

4年生になって私は担任ではなくなりましたが、クラスの子たちと仲良く遊ぶA君の姿がよく見られました。3年生の最初の姿とは、大違いでした。

A君は、幼稚園から3年生の最初まで男子と遊べなかったのです。それが、3年生の3学期には男子と遊ぶほうが多くなっていたのです。A君は、面倒見のいい女子たちと遊ぶなかで、少しずつ少しずつ友達とつきあう方法を身に付け続けてきたのだと思います。それが、3年生のときに実を結んだのだと思います。それまでの数年間は、目に見えた成長はありませんでした。でも、A君の内部では確実に学習が進んでいたのです。

ご相談の子の場合は、少し状況が違いますが、基本的には私が経験したケースと同じだと思います。お子さまが1、2年生の子とばかり遊ぶというのは、とてもよくわかります。それは、A君が女子とばかり遊んでいたのと全く同じことなのです。それは、友達付き合いのトレーニングなのです。友達つきあいがまだうまくない子が、ボクシングのスパーリングをしているようなものなのです。または、外に出しても平気になるまで、植物を温室で育てるようなものなのです。

1、2年生の子たちと遊びながら、たまに同学年の子たちと遊んでみて、うまくいかずに怒って帰ってくる……、これでいいのです。これを続ければいいのです。大丈夫、彼は着実に学び続けているのです。今の時点で目に見えた成長がなくても、内部では確実に学習が進んでいるのです。

親としては、このことを頭の中に入れておいてください。
そういえば、A君の2年生のときの担任がA君のことを心配して親に話をしたとき、A君の父親はこう言ったそうです。
「大丈夫です。自分も小さいときこの子と全く同じだったから、よくわかります。この子も今に成長します」
それで、本当にそうなったのですから、大したものです。

ところで、親としては、このことを頭に入れておく以外に何をしたらいいのでしょうか?
それは、私がいつも言っていることです。子どもの話を受容的共感的に聞いてやることです。怒って帰ってきて「○○のせいでけんかになった」と言ったら、まず受容的共感的に聞いてやってください。まず、その不満をたっぷり聞いてやることが一番大事です。

たっぷり聞いてもらえると、不満が解消されて自然に素直になります。そうなってから、「あなたにはいけないところはなかった?」とか「○○君はどう思っているかな?」とか「○○君には全然いいところはないのかな?」などと聞いてやってください。そうすれば、「自分にもいけないところがあった」などと、素直に言い出すものです。 絶対に、これを最初に言わないようにしてください。

担任の先生に事情を話しておくのもいいと思います。そうすれば、友達関係で配慮をしてもらうことができます。

子どもの成長を信じつつ、受容と共感に心がけつつ、子どもが親の愛情を実感できるようにしてやっていれば大丈夫です。そうすれば、やがて、子どもは大きく成長した姿を見せてくれることでしょう。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。少しでもご参考になれば幸いです。E.Nさん親子に幸多かれとお祈り申し上げます。

プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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