勉強に集中できるようになるには?【親野先生アドバイス】

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勉強を始めても続かない、途中でだらだらし始める、そんな姿を見るとモヤモヤしてしまいます。もっと集中して机に向かってほしい時、どんな声かけをすればいいのでしょうか。教育評論家の親野智可等先生にお聞きしました。

この記事のポイント

言い聞かせても変わらないと心得て

子どもがじっと机に向かって勉強していると、「うんうん、どんどん勉強して賢くなってね」「勉強、がんばっていて偉いわ」とうれしくなります。でも、実際は短時間で他のことを始めたり、嫌々やっている様子だったり、年齢が上がってくると気が付いたら動画を見ていたり、なんていうこともあります。

こんな時には「集中しなさい!」「もうやめちゃったの?」と言いたくなりますが、こうした声かけにはあまり効果はありません。むしろ、「また怒られた。勉強って嫌なものだな」と勉強そのものに対する印象が悪くなったり、保護者のかたへの不満を募らせたりしてしまうこともあります。

そもそも子どもが勉強に集中しないというのは普通のこと。なぜなら、言われなくても進んで勉強する子、いくらでも机に向かって勉強を続けられる子というのは「もともと勉強が好きな子」だからです。サッカーが好き、お菓子作りが好きなど、好きなものは一人ひとり違います。

他の「好きなこと」と同じくらい、勉強には熱心に取り組んでほしいという期待は、子どもにとっては負担になることがわかります。とはいえ、やるべき課題はあるので、子どもの気持ちをくみながら、なるべく前向きに勉強できる環境づくりや声かけを考えていく必要があるのです。

勉強は「がんばるもの」という思い込みを捨てる

「勉強に集中できない」といっても、小学校の低学年ではある意味当たり前の姿。まだ勉強することの意義がよくわかりませんし、将来の目標などより「今が大切」という年齢です。

また、周りに目を向ければ楽しいことはたくさんあります。ゲームもしたいし、テレビも見たいという時に「勉強しなさい」と言われれば、しかたなく始めたとしても、なかなか集中できません。苦手な教科なら、なおさらでしょう。

ですから、まずは「今日も宿題が大変だよね。早く好きなことがしたいよね」と、子どもの気持ちを受け止めて。そのうえで、なるべく取りかかりのハードルを下げる工夫をしてみてください。また、勉強はがんばってやるもの、がんばるから身に付く、といった考え方もやめましょう。

たとえば初めはノートを開くだけでもOK。それから1問だけ、1ページだけなど、できそうな目標を立ててみる。10分で終わらせる! と決めてタイマーや砂時計を使い、ゲーム的に挑戦するのもいいですね。なるべく気楽に、なるべく楽しく「やってみたらできちゃった」というのがよいのです。

小さな工夫でやる気を持続させる

勉強のハードルを下げるのと同時に、やる気や自信を育てるおすすめの方法があります。それは、保護者のかたが作るオリジナルの超ミニテストです。たとえば子どもがすぐに覚えられそうな漢字1文字から始めます。「こんなことでいいの?」と思えるくらい簡単なものがいいですね。

初めに何回か練習して「もう大丈夫」と思えたらテストをします。恐らく正しく書けるでしょう。そうしたら「正解! 100点!」と花まるを付けてあげてください。少しくらいトメ、ハネが怪しくても気にせずに、とにかく100点と言ってあげましょう。そして、これを1週間くり返してみてください。

ポイントは毎日100点をとらせることと、「今日で3回も100点が続いたね!」と回数を数えることです。連続記録がかかっていると、「今日もまちがえたくないな」という気持ちがわいてきます。さらに保護者のかたが「漢字、得意だったんだね」「ほんと、漢字が好きだねえ」と言ってあげれば、子どもはだんだんその気になってくるのです。

1文字を7日続けたら、2文字に増やしてまた1週間、3文字に増やしてさらに1週間と、だんだん覚える数を増やします。ポイントは、焦らず気長に付き合うこと。欲張って難易度を上げるとやる気がしぼんでしまいます。連続100点の記録が30回、40回と続けば、それを続けたい気持ちも強くなり、集中して取り組むようになっていくでしょう。

目標やあこがれが集中力をぐっと上げる

もう一つ、子ども自身が積極的に勉強を始めるタイミングがあります。それは、将来の目標やあこがれを持った時です。「この学校に行きたい」「将来この仕事がしたい」という気持ちは、勉強のモチベーションを高めます。

好きなことを深めていく中で気になる学校や仕事を見つけることもあれば、気が向いて読んだ伝記やマンガなどに触発されることもあります。いつ、どこに出合いがあるかはわからないので、日常に知的な刺激がたくさんある環境を用意してあげるといいですね。

勉強は「学びたい」という子ども自身の気持ちが重要。それは子どもが自分で持っているもので、親から与えられるものではありません。まずは勉強が嫌なものにならないように、ハードルを下げ、学びたい気持ちが芽生えやすい環境をつくり、子どもが積極的になれることをめいっぱい応援していきましょう。

まとめ & 実践 TIPS

勉強のハードルを下げて取り組みやすくする、好きなことを通して思考力を高める、目標やあこがれを持てるような体験や環境を用意することが、勉強の意欲を上げるポイントでした。逆にいえば、好きなことを押さえ込んで勉強を強要しても、子どもはいつまでも勉強を楽しいと感じられないということ。目の前の子どもの姿に一喜一憂するよりも、子どもと楽しく過ごしながら小さな工夫をしていきたいですね。

プロフィール


親野智可等
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・『子育て365日』(ダイヤモンド社)
・『反抗期まるごと解決BOOK』(日東書院本社)


長年の教師経験をもとに勉強法・家庭教育・親子関係などについて具体的に提案。
Instagram、Threads、X、YouTube「親力チャンネル」、Blog「親力講座」などでも発信中。ドラゴン桜の指南役としても著名。『子育て365日』『親の言葉100』などベストセラー多数。全国各地の教育講演会でも大人気。詳細は「親力」で検索

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