伸びる子の親の共通点「待ち上手」とは

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伸びる子の親の共通点は「待ち上手」であると言う現役小学校教諭・庄子寛之先生。約20年の教師生活で、たくさんの保護者を見てきた経験をもとに、著書『子どもが伸びる待ち上手な親の習慣』をまとめられています。

なぜ「待つ」ことが子どもを伸ばすのでしょうか。また、「待ち上手」な保護者になるにはどうすればいいのでしょうか。今日からできる習慣についても伺いました。

この記事のポイント

なぜ「待つ」ことが子どもを伸ばすのか

「待つ」ことが子どもを伸ばすということは、裏を返せば「待たない」ことが子どもを伸ばさないということです。その理由は2点挙げられます。

子どもは勝手に成長する

子どもは本来、何もしなくても自分で成長する力を持っています。月日と共に身長も伸びるし、語彙(ごい)も増えますよね。それを待てずに「ああしなさい」「こうしなさい」と言っていたらどうなるでしょうか?

たとえて言うなら、何もしなくても育つアサガオなのに、水をやりすぎて根腐れを起こしてしまうようなものです。アサガオを上手に育てるには、よく観察して土が乾いていたら水をやることや、つるが伸びてきたら支柱を立てることが大切です。これと同じで、子どもをよく見て、保護者を求めてくるまで声をかけないこと。そうすることで、自分の力で成長していくんですね。
これが「待つ」ということです。

親の正解が子どもの正解ではない

親世代が生きてきた時代と、これから子どもたちが生きる未来は違います。AIやテクノロジーの発展で、今の子どもの65%は現在にはない職業に就くともいわれています。

時代が違うということは、常識も違うということ。つまり、親の正解が子どもの正解とはならないのです。「子どものため」と思って、あれこれ教えていることが役に立たない可能性すらあります。

だからこそ「教えよう」という指導から脱却し、子どもをよく見て、待って、寄り添い続けて、味方だよと言い続けることが大切。それが、生き抜く力を付けていくことになります。

「待ち上手」な保護者とは?

教員生活の中で、多くの「待ち上手」な保護者を見てきました。そこで気付いた共通点は「親が自分の人生を楽しんでいる」ということでした。「待ち上手」な保護者は「うちは放任なんで」というおおらかさがあるんですよね。実際は放任ではなくても、子どもをのびのびさせています。

事実の解釈が上手

「待ち上手」な保護者は、事実の解釈が上手です。子どもがしている事実も、待ち上手な保護者とそうでない保護者とでこんなにもとらえ方が違ってきます。

  • 事実:子どもがタブレットを見ている。
  • 待ち上手ではない保護者:またタブレットで遊んでばっかり。早く宿題やりなさい。
  • 待ち上手な保護者:夢中になって、私の知らないいろんな情報も得てすごいな。

「待ち上手」な保護者が、ポジティブな解釈ができるのはなぜでしょうか。それは、自分の状態がいいからです。睡眠や食事をきちんととれて、趣味を楽しむ時間もある。だから、豊かさを感じる心が整い、子どもの行動のよい面に気付けるのです。

お子さまの行動に「口出ししたくなる……」そんなふうに思うときこそ、子どもを伸ばすチャンスなのかもしれません。

「待ち上手」になるために今日からできる習慣

「待ち上手になることが大切だとはわかったけれど、実践できるか心配……」そんなふうに感じられているかたもいらっしゃるかもしれません。そこで、私の著書『子どもが伸びる待ち上手な親の習慣』から、今日から習慣化していくためのいくつかのポイントをご紹介します。

自分を整えるちょこっと習慣

「待ち上手」になるためのファーストステップは「自分を整える」ことです。自分がいい状態であってこそ、子どもを待つ心の余裕が生まれますからね。自分をいい状態に保つちょっとした行動を続けて、習慣化していきましょう。次のようなことをしてみるのがおすすめです。

  • ・毎朝鏡を見て笑顔をつくる
  • ・朝、自分のための時間をとる
  • ・寝る前に幸せだったことを数える
  • ・自分で自分をほめる手紙を書く

5つのマジックワードを口にする

人間はよく口にする言葉で、意識や行動が変わってきます。そこで、次の5つのマジックワードを意識して使ってみてください。

1. 「まっいいか」

・自分を整えるためのマジックワード。

・できないことがあった時、できないことはできないとあきらめ、できていない自分にOKを出す。

・自分に愛を向けて「まっいいか」と言い続けていると、人と比べなくなる。

2. 「どうしたの?」

・子どもを怒りたくなる状況に出くわしたら、まず「どうしたの?」と聞く。

・ワンクッションを置くことで、怒鳴る時間を減らす。

・「こうでなきゃいけない」という保護者の主観を取り除き、子どもなりの理由に向き合う。

3. 「もうちょっと教えて」

・子どもが夢中になっていることや、子どもが知っていて親が知らないことについて、子どもに教えてもらう。

・教えてもらうことで、親子関係が上下でなくフラットになる。

・子どもは自分が好きなものに親が興味を持ってくれたらうれしく、心を開きやすくなる。

4. 「私はこう思う」

・子どもに伝える言葉は、あなたを主語にしたYou(ユー)メッセージではなく、親自身を主語にしたI(アイ)メッセージにする。

・「(あなたは)宿題をしなさい」でなく、「ごはん前に宿題終わっていると、(私は)うれしいな」

・言葉で伝わるのは7%と言われているからこそ、気持ちを伝える。

5. 「あなたはあなたのままで素晴らしい」

・叱ることがあっても「あなたはあなたのままで素晴らしい。それはどんなことがあっても変わらない」というメッセージを示す。

・怒ったあとに抱きしめながら「大丈夫だよ」と言う。

・怒られない子より、怒られても「大丈夫だよ」と愛情を持って言われてきた子のほうが伸びる。

子育ての時期は長いようであっという間です。もしも20年後のあなたが未来からきたら「そんなにがんばらなくてもいいよ。普通に大きくなったよ」というかもしれません。
「がんばらなきゃ」と気負いすぎなくても大丈夫。がんばらなくても、子どもはいい子に大きくなります。そう信じていくためにも、今回ご紹介した方法が役立つとうれしいです。

詳しい内容は『子どもが伸びる待ち上手な親の習慣』でご覧ください。

子どもが伸びる待ち上手な親の習慣
著者:庄子寛之
出版社:青春出版社

まとめ & 実践 TIPS

子どもを伸ばす「待ち上手」な保護者になるには、毎日少しずつ、コツコツ意識し続けて、それを習慣化していくことが大切です。今回ご紹介した方法を取り入れて、意識を行動に、行動を習慣にしてみてはいかがでしょうか。
保護者の皆さんも、お忙しいかと思いますが、ご自身のためにも、お子さまのためにも、しっかり睡眠をとって自分を整えてあげる時間を持てるようにしてくださいね。

プロフィール

庄子寛之先生

庄子寛之(しょうじ ひろゆき)先生

東京・公立小学校 指導教諭。専門は道徳。コロナ休校中は、オンライン教育に関心を持つ教員らをつないだオンラインイベントを5回にわたって実施し、約2000人が参加した。『残業ゼロの仕事のルール(明治図書)』など著書多数。女子ラクロス21歳以下日本代表の元監督でもある。

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