「片付けなさい」「勉強は?」思春期の子どもに言いがちな言葉。やめることで何が育つ?

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心と体が大きく変化する思春期。親の悩みが増える時期ですが、子どもが自立していくために必要なプロセスです。この時期に子どもに育てたいのは「対応力」だと、子育てにおけるコーチングの育成に取り組まれている菅原裕子先生は言います。対応力を育てるために保護者はどうサポートすればよいのでしょうか。

この記事のポイント

親から離れて自立し始める思春期の子どもに必要な力とは

子どもから大人へと変化していく思春期。自立心の芽生えから親に反抗することも出てきて、親はこれまでの我が子には見られなかった態度に困惑し、対応に悩む時期です。けれども、この変化は、子どもが自己を確立し始めて成長していることの証しでもあります。
そんな、親から離れて自立しようとし始めた子どもにはどんな力が必要か。それは、日常起こるさまざまな問題に自分で考え対処できる力、《対応力》です。これは、子どもの日常を子ども自身に任せることで育むことのできる大切な力です。

《小言》をやめて、自分で考えさせて

では、《対応力》を育てるために親はどんなサポートができるかというと、まずは細かい指示や小言をやめることです。日常的に、「片付けなさい」、「勉強しなくていいの?」、「いつまでテレビ見てるのよ」などと言われ続けていると、子どもが自分の頭でものを考える余地がなくなってしまいます。これでは、何か問題に直面した時に、自分で考えて対処する《対応力》が育ちません。
ですから、小言はやめて、その代わりに温かい言葉をぜひ毎日かけてください。
「お帰り、寒かったでしょう」、「お疲れさま」、「がんばっているね」など、温かい言葉をかけて子どもに愛と関心を示すことは、思春期の子どもとのコミュニケーションにおいて大切なことです。たとえ反応がなかったとしても、子どもはちゃんと聞いています。

自立に必要な《対応力》を育てるために親ができるサポート

「《ルール》を設定したうえで子どもを自由にすること」

細かい指示や小言をやめるのは自立を促す意味で必要なサポートですが、その時には、しっかりとした日常の《ルール》を設定することが重要です。なぜなら、思春期の子どもの脳は、まだ《先を見通して今の自分をコントロールする力》が未熟な時期にあるからです。

《ルール》の設定は親子で話し合って決める

《ルール》を設定する時は、子どもが穏やかな時に親子で話し合って決めましょう。ここでポイントなのは、親がルールを決めて押し付けるのではなく、子どもと話し合う中で本人に選ばせることです。たとえば、子どもがスマートフォンを欲しがったとしたら、子どもが自分で使用上のルールを考え、親に提案して、互いに折り合いのつくところでルールを設定するようにします。

《ルール》の設定と同時に罰則をつくる

ルールの設定には同時に、ルールを守れなかった場合の罰則をつくることも必要です。ここでのポイントは、あくまで《ルールありき》であること。例外を設けず、親もルールに従うことです。もし子どもが《ルール》を守れなかったとしても、責めるような小言を言わずに、子どもに共感を示したうえでルールに従ってください。

《ルール》を設定したあとは子どもを自由にする

そして、《ルール》を設定したあとは、子どもを自由にします。
そうすると、子どもは自分で考えて、選び、行動した結果を自分で引き受けるようになります。これを生活の中で繰り返していく時に、子どもの中に《対応力》が育っていくのです。

子どもの育ちを隣で見守り、親自身の生きる姿を見せること

ここまで、子どもが自立して自分の人生を楽しんで生きることのために、《対応力》を育てるサポートについてお話ししてきました。
親は、子どもを子ども扱いせずに一人の人間として敬意を払い、隣で見守って育ちを待つ。これが望ましい親の在り方です。
また、大切なのは親自身が幸せであることです。思春期の子どももあと何年かすると大人になります。それまでの間、苦労しながらも親が人生を楽しんで生きる姿を子どもに見せてください。その姿を見ることで子どもは《大人になること》に魅力を感じますし、それが思春期の子どもへの最大のサポートになると思います。

まとめ & 実践 TIPS

自立に必要な力《対応力》を思春期の子どもに育てるには、《ルール》を設定したうえで、小言を言わずに子どもを自由にすること。そこで求められるのは、子どもを子ども扱いせずに一人の人間として敬意を払い、隣で見守るという親の在り方です。そして、親自身が自分の人生を楽しんで生きる姿を子どもに見せることが、思春期の子どもへの最大のサポートになることを教えていただきました。
子どもが大人へと変化していく思春期に、親自身も自分の在り方を見直すことで、親子共によい成長をしていけるといいですね。

プロフィール


菅原裕子

人材開発コンサルタントとして、企業の人材育成の仕事に携わる。1995年、企業の人育てと自分自身の子育てという2つの「能力開発」の現場での体験をもとに、子どもが自分らしく生きることを援助したい大人のためのプログラム-ハートフルコミュニケーション-を開発。2006年にNPO法人ハートフルコミュニケーションを設立。『子どもの心のコーチング』『10代の子どもの心のコーチング』『子どもの「やる気」のコーチング』(以上、PHP文庫)など、著書多数。

NPO法人ハートフルコミュニケーション
https://www.heartful-com.org/

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