好奇心は親が子どもの手本になることで育つ ボーク重子さんに聞く!これからの子どもを幸せにする「非認知能力」の育み方 ~Lesson8 好奇心

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ライフコーチのボーク重子さんに、子どもの「非認知能力」の育み方について、連載でお伺いしています。第8回の今回は、「もっと知りたい!」「やってみたい!」という子どものパッション(好きなもの)や興味につながる「好奇心」の育み方についてのお話です。

この記事のポイント

【保護者のかたのお悩み】
Q.ゲーム以外に子どもが時間を忘れて夢中になって取り組むものやハマっているものがありません。もっといろいろなことに興味を持てばいいのに……と思うのですが。
子どもが好奇心を持ち、夢中になれるものはどうしたら見つかりますか?

子どもが好きなこと、やりたいことを、まずはどんどんやらせてみよう

ボークさん:これは大人でも同じことだと思うのですが、いろいろなことをまずはやってみる。経験値を上げるということがいちばんです。
子どもの場合、その機会を与えるのが親であることも多いので、子どもがやってみたい、好きだと言ったものはちゅうちょせずにどんどんやらせてみましょう。
大事なことは、子どもが「やりたい!」と思う気持ちです。
親がモチベートして夢中にさせるというよりも、子どもの内側から興味がわいてくるものに出合えるまで、いろいろなことをやってみることが大事です。
そのためにも、子どもをよく観察し、どんなことに興味を持つのか、どんな時にフロー状態※に入るのかを見逃さないようにしましょう。
※フロー状態……時間の流れを忘れ、ひたすらそのことに没頭していること

子どもがフロー状態に入るものが見つかったら、そのことに好きなだけ夢中になれるように、親はサポートしてあげたいもの。
寝る時間の確保や家族と食事を共にする時間などは大切にしたいですが、それ以外ではできるだけ中断させずに、好きなだけやらせてあげましょう。
心から楽しいと思えるものを見つけた子どもの顔は、喜びと幸せに満ちています。

パッションは、見つかるまで探し続けるもの

「好きなものが見つからない」という相談を受けることがありますが、子どものパッション(好きなもの)は、ある日突然空から降ってくるようなものではありません。
見つかるまで、探し続けるものです。だからこそ、「好奇心」が大事なのです。
「何だろう?」と興味を持つからこそ、好きなこと、やりたいことが見つけられます。
また、パッションを見つけるためには、いろいろな経験をすること、まずは「やってみること」がとても大事です。ただしこの時、やりっ放しにはならないように、一定のルールが必要です。
私のオススメは、何かを始める時には、必ず「最短で試す」ことから始めることです。
そうすることで、「ここまではちゃんとやった」という達成感を味わいながら、自信を持って、また次の好きなものを探すことができます。

子どもの好奇心を育むために私が行った3つのこと

1 ジャンルを制限せずに、いつでも本が読める環境づくり

我が家は家中、階段の踊り場やキッチンに至るまで、すべての部屋に大量の本が置いてあります。ロングセラー、ベストセラーの本から、政治、心理学、アートまで、ありとあらゆる分野の本です。子どもの好奇心を育むために、いろいろなことに関心が持てる環境をつくること、興味をもった時にすぐにそれに関係した本が読めることを大事にしていました。
また、選ぶ本は、「これは低俗だからダメ」「好きなジャンルじゃない」——親がそういった制限はせずに、いろいろなものにふれさせたほうがいいでしょう。子どもが何に興味を持つかどうかなんて、わからないのですから。
そして、本がそこにあるだけでなく、親が読んでいるということもまた重要です。
難しい本でなくてもいいので、親自身がたくさんのことに興味を持って、学んでいるという姿勢を見せることは、とても大切です。

2 さまざまな人との出会いの場をつくる

私も夫も、仕事柄いろいろな人に会う機会があったので、娘を連れて行っても大丈夫な場所には、赤ちゃんのころからどこへでも連れて行き、何の制約も付けずにさまざまな国、言語、職業、年齢の人たちと話をさせるようにしていました。そういったなかで、多様な価値観や共感力を育てると共に、興味の幅を広げることを意識していました。

3 答えは教えない

親が何でも知っていて、子どもに聞かれた時に、すぐにその答えを教えることは、子どもの「学ぶ機会」を奪ってしまうことになります。
子どもが何かを聞いてきた時に、私は答えを教えません。
調べ方も、「どうしたらいいんだろうね」と、自分で考えさせればよいのです。
親である私自身も、わからない英単語があれば、自分で調べます。そういう意味では、大人が子どもの好奇心の手本になるように、いつも心がけていました。

好奇心はいくつになっても大事。親もまずは一歩踏みだして!

子どもの好奇心を育むためには、親自身もたくさんのことに興味を持って、子どもに学ぶ姿勢を見せることが大切なのです。子どもは親の姿をよく見ています。
また、これまで、保護者のかたも、子ども時代~大人時代~子育て時代……と変化に富んだ時代を過ごしてきましたが、子どもが巣立ったあとも、親の人生は続いていきます。
そこからの時間は、今までのような目に見える変化が少ない時期といえるかもしれません。だからこそ、自分で自分の人生をわくわくさせないと退屈でしょうがないのではないでしょうか。
そうならないためにも、親自身も、今のうちから、いろいろなことに興味を持って、挑戦していくことで、人生を楽しめます。
「1年続ける」「5万円の年会費を払う」などになると、やめるにやめられなくなるので、子どものケースと同じように、最短で、フットワーク軽く、とりあえずやってみることが鍵です。

まずは「やってみましょう!」

まとめ & 実践 TIPS

子どもの好奇心を育むためには、親自身もいろいろなことに興味を持ち、学ぶ姿勢を見せること、費用対効果やメリット・デメリットばかりを考えるのではなく、まずは「やってみる」ことが大事だとわかりました。

非認知能力について、もっと詳しく読みたいかたはこちら
子どもを幸せにする非認知能力の育み方

プロフィール


ボーク重子

ICF会員ライフコーチ。Shigeko Bork BYBS Coaching LLC代表。米ワシントンDC在住。30歳の誕生日を前に渡英、ロンドンにある美術系大学院サザビーズ・インスティテュート・オブ・アートに入学。現代美術史の修士号を取得後、フランス語の勉強で訪れた南仏の語学学校で、米国人である現在の夫と出会う。1998年渡米し、出産。子育てと並行して自身のキャリアを積み上げ、2004年にアジア現代アート専門ギャラリーをオープン。2006年、ワシントニアン誌上でオバマ元大統領(当時は上院議員)とともに、「ワシントンの美しい25人」の一人として紹介される。一人娘であるスカイは2017年「全米最優秀女子高生」コンクールで優勝し、多くのメディアで取り上げられた。現在は、全米・日本各地で《非認知能力を育む子育て》《新しい時代のキャリア構築》についてコーチングと講演会を開催している。著書に『世界最高の子育て』(ダイヤモンド社)、『「非認知能力」の育て方』(小学館)など shigekobork.com 東京FMラジオ局のAuDee (Iphoneアプリ)、マイスタジオにて「ピンクdeワオ:自己肯定感コーチング」毎週月曜日から金曜日朝6時配信中。

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