ゲーム・ネットばかりの子どもにイライラしない、「ちょうどよい」約束の作り方とは?専門家に聞きました

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ゲームやネットで遊ぶことは、今の子どもたちにとってはごく普通で当たり前のこと。でも、あまりにも夢中になっている姿を見ると、親としては「ゲームばっかりで大丈夫?」「勉強してほしいのに約束を守らない」などと不安になったり、イライラしてしまうことがありますよね。ゲームやネットに熱中する子どもたちに親はどう向き合えばいいのか、児童精神科医の吉川徹先生にお話を伺いました。

この記事のポイント

熱中して取り組むことができるという姿を受け止めて

ゲームやネットは子どもにとって魅力のあるもので、楽しい時間が過ごせる遊びの一つです。ゲームになじみがない親だとそこまで熱中することが理解できないと思うかもしれませんが、子どもが野球や将棋、読書、絵を描くことが好き・熱中できるということと、ゲームも同じだということを知っておいてほしいです。

子どもがゲームやネットに熱中する理由は実にさまざまです。ストーリーを楽しむのが好き、オンライン上の仲間と協力してミッションをクリアするのが好き、1人コツコツと建築物を作り上げるのが好き、など同じゲームでも子どもによってハマりどころが違います
遊びを楽しめるということは子どもにとって一番いいこと。先入観で嫌悪感を抱かずに、「この子は好きなものに熱中して取り組むことができるんだ」と、ゲーム・ネットを楽しむ子どもの姿をまずはポジティブに受け止めましょう。

子どもも親も「守れる」約束を作るのがコツ。守れない3つの原因とは

ゲームやネットで子どもが遊ぶとき、約束やルールを決めている家庭が多いかと思います。でも「約束を守ってくれない」「守るのは最初だけ」と子どもに破られてしまうケースもあるのではないでしょうか。もしかしたらそれは、約束がそもそも守れない内容なのかもしれません。

原因1:守るのが難しすぎる時間設定になっている

約束した時間で終われない場合、ゲームでいえば、約束で決めた時間では足りていない可能性があります。なぜならゲームの種類や内容によってふさわしいプレイ時間が異なるからです。パズル系ゲームや対戦型のゲームは、1日15分くらいでできるものもありますが、ロールプレイングゲームや、ゲーム内で規模の大きい作品を作るなど1日に2~3時間投入しないと楽しめないゲームもあります。また、1回のプレイ時間が短いパズル系ゲームや対戦型のゲームも、技を磨いたりして上手にならないといつまでも強くなったり勝ったりできず、楽しめません。子どもが今遊んでいるのは具体的にどんな内容で、1回遊ぶにつき、どのくらいの時間が必要なのか、ある程度の知識を親も持つことで、子どもが守りやすい約束を作れるといえます。

原因2:「やるべきことをやってから」は向いていない子も

ゲームやネットで遊ぶなら、「まずは宿題や明日の用意などやるべきことをしてから」と思いますよね。でも、なかなかスタートせずだらだらと時間が過ぎ、結局寝る直前にゲームをして寝るのが遅くなってしまう……という状況もあるのではないでしょうか?
先に宿題などやるべきことをやってからでないとすっきりしない子どもはそれでいいですが、遅い時間にゲームをすることになるくらいなら、先にゲーム・ネットで遊ぶことを済ませておいたほうが逆によい子もいます。

子どもは「学校に行く」というとても大きな「やること」を終えて家に帰ってきます。ゲームやネットで遊んでとりあえず1回リラックスする時間があってもいいのではないかと思います。

原因3:約束を守るために大人がサポートできていない

約束自体はちょうどよくても、約束を守ることに対する大人のサポートが足りないということもあります。子どもがご機嫌に終われる時間やタイミングで声をかける、怒らずに声をかけ続ける、たとえやめるときに子どもに悪態をつかれても、やめられたときに「さっきのプレイかっこよかったね」「このアニメおもしろかったね」と言ってあげるなどが継続的にできているかを振り返ってみましょう。

そして、ゲーム・ネットで遊ぶ時間をどのくらい設定するのかは、それぞれの暮らし方によって変わってきます。学校に行っている子どもと不登校の子どもではふさわしい時間は全然違いますし、運動部に入っている子どもとそうでない子どもでも違いますし、習い事をいくつやっているかによっても違いますから、子どもの様子を見てそれぞれの家庭で判断しましょう。

約束を守らせるためには、大人の気力と体力と時間と忍耐力が思った以上に必要です。守るのが難しすぎる約束を設定することは、守るのを手伝う親がどんどん大変になっていきますから、守らせるエネルギーと守りたい子どもの気持ちにちょうど折り合いがつくような約束を作れるといいですね。

「相談しても説教されない」と思われる関係に

ゲームやネットで遊ぶことは、ときとしてトラブルが起きたり、事件に巻き込まれたりすることもあります。すぐに大人が気付いて対処できればいいですが、そういかない場合もあるのが現実です。
できるだけ早く対処できるようにするには、子どもが困ったときに、親に相談したいと思ってもらえるかが大事なポイントとなります。
「うかつに相談したらゲームやスマホを取り上げられるのではないか」「使用を制限されるのではないか」と思うと、困っているけれど隠しておかなくちゃいけない、相談は避けたほうがいいとなってしまうケースが多いです。

ゲームやネットに限った話ではありませんが、大人に相談すると説教される、原因になった自分にとってとても大切なものを取り上げられてしまう、と思っている子どもはわりと多いです。人生の早い時期に、「大人に相談したらよかった」という経験を積み重ねるために、日常的に安心して子どもが相談できるような関係を築くことを心がけましょう。

まとめ & 実践 TIPS

ゲーム・ネットで遊ぶときの約束は、どんな内容で、遊ぶのに適した時間はどのくらいなのかを親が理解したうえで、家族の生活に支障が出ないように作ることがポイントです。また、一方的に決めてしまうのではなく、子どもの意見も聞きましょう。そのやり取りの繰り返しが「意見がすべて通るわけではないけれど、話のわかる親だ」という親への信頼感にもつながります。ゲーム、ネットに限らず子育ての大原則でもありますが、親と子どもの約束は、子どもの成長に合わせて変化し、制限が減っていくという見通しを持たせてあげることも大切です。

吉川徹先生による、ゲーム・ネットで遊ぶ時のルールの作り方。続きはこちら「子どもがハマるゲーム・ネットにも、メリットはある。知っておきたい考え方と、親が出来るサポートとは?」

『ゲーム・ネットの世界から離れられない子どもたち 子どもが社会から孤立しないために』(吉川徹著、合同出版刊)

プロフィール

吉川徹

吉川徹

児童精神科医、愛知県医療療育総合センター中央病院子どものこころ科(児童精神科)部長、あいち発達障碍者支援センター副センター長、ほかにNPO法人日本ペアレント・メンター研究会副理事長、日本児童青年精神医学会代議員などを担当。愛知県を中心に発達障害のある児童青年の臨床に長年携わっている。

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