「非認知能力はこれからの社会で必要な力です」 監修:ボーク重子/BYBSコーチング代表

子どもを幸せにする非認知能力の育み方

「非認知能力」とは、テストの点数や偏差値、IQ(知能指数)などといった数値で表せる「認知能力」とは違い、数値では表せないけれども、これからの時代を生きるために、幸せな人生を切りひらくために必要な能力のことです。「非認知能力」に関する著書を多数出版し、非認知能力が早くから注目されてきたアメリカ在住のライフコーチ・ボーク重子さんに詳しく教えて頂きます。
「非認知能力」を1軒の家として例えるなら、まずは自己肯定感が土台にあり、①対自分への能力、②対他者への能力という2つの柱があって、自信が屋根の部分にあたると考えています。
 自己肯定感があることで、自分をあるがままに受け止めることができるからこそ自分から主体的に行動ができ、自分に対しても責任ある意思決定、他者や社会に対しても、責任ある意思決定ができるようになります。そうして行動した結果、自信が生まれるのです。対自分への能力としては、主体性グリット(やりぬく力)創造性好奇心自制心柔軟性想像力などがあり、対社会への能力としては、共感力コミュニケーション力協働力社会性などがあります。
⇒「非認知能力」とは生きる力

代表的な13の「非認知能力」

全ての能力の土台となる力
1自己肯定感
1自己肯定感
「自己肯定感」とは、いいところも悪いところも含めて、自分をあるがままに受け止めて、「無条件」に自分の価値を認めることです。「非認知能力」の中で最も重要であり、全ての行動の土台となると考えています。ここでは、自己肯定感を支える「自尊感情」と「自己受容感」の2つをご紹介します。
⇒「自己肯定感」を育むには
対自分についての能力
2主体性
2主体性
「主体性」とは、自分で考え、行動することです。主体性を育む鍵は、「好奇心」にあります。好奇心の芽を伸ばしつつ、子どものパッション(好き)や興味を見つけて子どもの経験値を上げていくことで、自分の行動への責任感が生まれ、やり抜く力にもつながります。
⇒「主体性」を育むには
3グリット(やりぬく力)
3グリット(やりぬく力)
「グリット」とは、Guts(ガッツ)、Resilience(レジリエンス)、Initiative(イニシアティブ)、Tenacity(テナシティ)のそれぞれの頭文字をとった言葉で、困難な状況でも、粘り強く最後までやり抜く力のことです。失敗しても柔軟に対応する力を身につけていくことで、自分を立て直し、新たなチャレンジができるようになります。
⇒「グリット(やりぬく力)」を育むには
4創造性
4創造性
「創造性」とは、0から1を生み出すことです。これはAIにはできないことなので、これからの時代とても重要であり、人間が力を発揮するところです。また、「こうしたらどうなるのかな?」と試行錯誤し、工夫する力も含まれます。
⇒「創造性」を育むには
5好奇心
5好奇心
「好奇心」とは、「もっと知りたい!」「やってみたい!」という子どものパッション(好き)や興味です。好奇心があるからこそ、物事に主体的に取り組むことができます。好奇心を育むためには、子どもが好きなことや興味をもったことを否定せず、どんどん体験させてみることが大事です。
⇒「好奇心」を育むには
6自制心
6自制心
「自制心」とは、ネガティブなイメージに捉えられがちですが、先を見越して、論理的思考を行い、自分の行動をコントロールすることです。自制心を育むためにはルール設定も有効で、ルールがあることで、責任感をもち、守れたことで自信や達成感も生まれます。
7柔軟性
7柔軟性
「柔軟性」とは、1つの正解や従来のやり方に固執せず、また自分の考えだけが正しいとは思わずに、いろいろなやり方を受け入れることです。いろいろな見方ができることで、選択肢と可能性が広がり自分を立て直しやすく、回復も早くなり、次への挑戦につながりやすくなります。
8想像力
8想像力
「想像力」とは、自由に想像し、夢を見る力です。イマジネーションの世界には限界がありません。また想像するためには主体的に考える「時間」が必要です。子どもにあれもこれもと詰め込むと、主体性を失くし、想像力も失ってしまいます。
対他者への能力
9共感力
9共感力
「共感力」とは、相手の立場に立って思いやれる力のことです。共感力には、感情移入に代表されるような「情動的な共感」と、状況を理解する「認知的な共感」の2つがあります。共感力があることで、相手の立場に立って思いやれる力が身につき、問題発見能力にもつながっていきます。
⇒「共感力」を育むには
10コミュニケーション力
10コミュニケーション力
「コミュニケーション力」とは、自分の思いを正確に伝え、相手の思いを正確に受け取る力です。メラビアンの法則では、コミュニケーションの言葉の部分は7%で、あとの93%は視覚や聴覚など、言葉以外のもので感じており、言語、非言語両方育んでいく必要があります。
⇒「コミュニケーション力」を育むには
11社会性
11社会性
「社会性」とは、社会の一員として自分を認識するということです。人はひとりでは生きていけず、人との関わり合いが大事になっていきます。その時に、共感力や自制心、コミュニケーション力、柔軟性など、いろいろな能力が必要になります。
12協働力
12協働力
「協働力」とは、他人と一緒に何かを成し遂げる力です。これから求められる協働力とは「空気を読む」、「和を乱さない」ではなく、多様性の中で、それぞれの違いを認め、強みを駆使して一緒につくり上げていく力です。
結果的に身につく能力
13自信
結果的に身につく能力
13自信
「自信」とは、ありとあらゆる非認知能力を含んだ最終的な副産物であり、「自分を信じる力」ではないでしょうか。自己肯定感を土台として、対自分、対社会に対して行動した結果、達成感とともに得ることができるポジティブな感情です。
ボーク重子
ICF会員ライフコーチ。Shigeko Bork BYBS Coaching LLC代表。米ワシントンDC在住。30歳の誕生日を前に渡英、ロンドンにある美術系大学院サザビーズ・インスティテュート・オブ・アートに入学。現代美術史の修士号を取得後、フランス語の勉強で訪れた南仏の語学学校で、米国人である現在の夫と出会う。1998年渡米し、出産。子育てと並行して自身のキャリアを積み上げ、2004年にアジア現代アート専門ギャラリーをオープン。2006年、ワシントニアン誌上でオバマ前大統領(当時は上院議員)とともに、「ワシントンの美しい25人」の一人として紹介される。一人娘であるスカイは2017年「全米最優秀女子高生」コンクールで優勝し、多くのメディアで取り上げられた。現在は、全米・日本各地で“非認知能力を育む子育て”“新しい時代のキャリア構築”についてコーチングと講演会を開催している。著書に『世界最高の子育て』(ダイヤモンド社)、『「非認知能力」の育て方』(小学館)など。東京FMラジオ局のAuDee (Iphoneアプリ)、マイスタジオにて「ピンクdeワオ:自己肯定感コーチング」毎週月曜日から金曜日朝6時配信中。shigekobork.com

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