反抗期?低学年の口ごたえは「自立」のための大切なステップ【後編】

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小学校2、3年生ごろから、口答えをしたり、おうちのかたの言葉に素直に反応しなくなったりしてくる子どもたち。実はそれ、《自分》というものを客観的に見られるようになってきた証拠であり、一人前の大人になっていくための第一歩です。だからこそ、ここでおうちのかたが上手にサポートすることが、お子さまの自立をぐんと後押し! 前編に続き、発達心理学が専門の渡辺弥生先生(発達心理学/法政大学文学部心理学科教授)に、今回はサポートの心得をうかがいました。

この記事のポイント

口ごたえは、自立への最初の一歩

小学校低学年くらいまでは自己中心的で、「自分は何でもできる」という万能感もいっぱいの子どもたち。3、4年生ごろから《物事を客観的に見る力》がついてきて、「自分はけっこう人気者」「友達とすぐに仲良くなれる」などと、他人と自分を比べて《自分》を意識するようになります。また、「自分でやれそう」という感覚も芽生えるため、おうちのかたの手を借りずに何かをやってみようとしたり、逆に苦手なことがわかって、劣等感からやるのを嫌がったりもするようになっていきます。
おうちのかたにとっては、それが「反抗」と思えるかもしれませんが、実はそれこそ「自立」への第一歩。自分を客観視できるようになってこそ、自分でやれそうなことがわかり、行動をコントロールできるようになるわけです。これは、成長にはとても大事なことなのです。といっても、まだまだ教わらないとできないことも多いので、手取り足取りではなく、必要に応じてアドバイスするなど、自立への足場となるようなサポートをしていきましょう。

手取り足取りのサポートからギアチェンジを!

たとえば、宿題などをやるにしても、先回りして「やりなさい」と言ってしまうこともあると思いますが、まだまだ何でも一人でできるわけでもありません。だから「てきぱきやりなさい」などという抽象的な言葉をかけるだけでは、できるようにならないし、お子さまからは無関心に見えてしまいがちなので要注意です。
では、どうしたらいいかというと、カギは「自分で決めた」という自己決定感です。その感覚がやる気や「自分でやれた」という自信にもつながっていきますので、「どんな宿題が出たの?」「今日は何から始めるの?」などと、自分からやりたくなるような言葉をかけたり、具体的な選択肢を出して自分で選べるようにしてあげたりするといいでしょう。アドバイスするときは、たとえば「机の上に今日やるものを出しておくと、サッと始められるよ」などと、状況に応じて具体的なやり方を教えてあげてください。

日頃の会話で客観的に見る力を育む

物事を客観的に見る力を伸ばすという意味では、日頃から、より視野が広がるような会話をしていくのもおすすめです。たとえば、テレビドラマを観ている時などに、「こんなことをしていると、10年後にはああなりそうだよね」「この主人公はこういうところがあるよね」などと、別の視点から話をするのです。
また、たとえばバスに乗った時などに「お客さんは運賃箱にお金を入れるけれど、あれはどこに行くと思う?」などと話すことで、抽象的な社会の概念のようなものを理解していくことも助けます。
さらには、物事を多角的に考えられるようになるにつれて、劣等感を覚えるだけでなく、友達のとりあいが起こったり、やきもちを焼いたり……。いろいろな葛藤にも直面しますので、気晴らしやユーモアで対応する方法など、葛藤を乗り越える方法を伝えていくのも大事なことの一つです。するとやがて本格的な思春期に突入した時に、葛藤を乗り越え、解決策を見つけ出し、自分らしく生き抜いていく力にもなっていくはずです。

まとめ & 実践 TIPS

子育てはマニュアルどおりというわけにいかず、手探りだから難しいですよね。でも、おうちのかたも、お子さまと出会ったところが《親》としてのスタート地点。お子さまの成長とともにこちらも変化して、関わり方を変えていくことが実は大切です。
そもそも小学生の今は、広い海の中でようやく自分というものが見えてきたものの、どっちに泳いでいっていいのかはわからない……というような状況。やがて、自分の行きたい方向を見つけて泳ぎ出せるように、目の前のお子さまをよく観察しつつ、ご自身が小学生だった時のことも思い出したりしながら、サポートしていってあげてくださいね。

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プロフィール


渡辺弥生

法政大学文学部心理学科教授。教育学博士。発達心理学、発達臨床心理学、学校心理学が専門で、子どもの社会性や感情の発達などについて研究し、対人関係のトラブルなどを予防する実践を学校で実施。著書に『子どもの「10歳の壁」とは何か?—乗り越えるための発達心理学』(光文社)、『感情の正体—発達心理学で気持ちをマネジメントする』(筑摩書房)、『まんがでわかる発達心理学』(講談社)、『子どもに大切なことが伝わる親の言い方』(フォレスト出版)など多数。

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