「宿題やったの?」はやる気に逆効果?自分で宿題をやれるようになる声かけとは

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お子さまの夏休みの宿題、順調ですか?「終盤にバタバタしないように」という親心から、つい「宿題やったの?」などと言ってしまいがちですが…。当の子どもは、どこ吹く風!?では、子どもにきちんと伝わり、自分で宿題をやれるようにするには、どんな声かけをしたら良いのでしょうか。ベネッセの教育情報公式アプリのコンテンツ「わが子の学習タイプ診断」の総合監修を務め、発達心理学、学校心理学の専門家である渡辺弥生先生に教えてもらいました。

この記事のポイント

自分で決めてやる経験を重ねさせる

宿題に限らず何事も、子どもが自分から行動できるようになったらいいですよね。そのためには、「宿題やったの?」はじつは逆効果。やろうと思っていることを他の人から言われた途端にやる気というものはなくなりがちです。なぜなら、「やらなきゃ」とわかっていることを先回りして言われるのは、誰だっておもしろくないからです。しかも「やったの?」というセリフは、「やっていないよね」「やりなさいよ」と疑っているようにも聞こえがち。すでに宿題をやった後だとしたら、なおさらテンションが下がってやる気に響いてしまうからです。
では、どんな声かけが良いのでしょうか。例えば「やったの?」と疑ったり、「やりなさい」と指示したりするのではなく、「算数ドリルと漢字どっちをやる?」などと、やることを二択にして問いかけるのも一つの手です。すると、どっちを選んだとしても、自分で決めることになるので、言われていやいややるのと違って、責任を持って行動できるというわけです。

取り組みかたのコツもどんどん伝授

せっかく宿題をはじめても、思うようにはかどらなかったり、解けない問題があったりすると、これまたやる気が急降下してしまう可能性があります。子どもはまだその解決策を知らなかったりするので、そのような場合は、「夏休みはあと〇日あるから、1日1ページずつやったら終わるんじゃないかな」「今日は30分あるから、これならできそうだね」などと見通しがつくような声かけをしたり、「問題文の意味がわからない時は、声に出して2回読むといいよ」といった取り組みかたのコツを伝えたりしていくといいでしょう。
また、気分的にやりたくない日もあるでしょうが、そんな時も叱らずに、「やる気が出ない時もあるよね」と共感を。そして「まずは1問だけ解いてみるとエンジンがかかるよ」「ガッツポーズするとやる気がわいてくるんだよ」などど、気分転換ややる気になるコツも、どんどん教えていってあげてください。くつろいでいったん充電するというのも、ひとつの選択肢です。

「やる」 「やらない」ではなくできたことをほめる

お子さまが自分で決めてやれたら、“やる”か“やらないか”ではなく、どんなに小さくてもできたことを見つけ、ほめるのも大切なことです。例えば「宿題をやろうとしているんだね。すごい!」「今日は予定通り宿題を始められていいね」「すごく集中して解いていたよ」などとほめるだけで、子どもはうれしくなるし、ほめられた行動が宿題に取り組むための良いステップだということにも気づきます。
一方、宿題をせずに遊んでいる時だって、頭の中では「どうしようかなあ」などと、何かを考えていることは多いもの。それらは学びの場でのひらめきにつながったりもしますので、「また宿題をしないで遊んでいる!」などとストップをかけずに、本人が自分で区切りをつけられるように、やはり二択にして問いかけても良いでしょう。また、中高生の場合は、テレビのチャンネル権などを宿題のごほうびとして設けたりすることで、それが頑張るエネルギーにもなるし、やったときの達成感をより得られて、どんどん自分で行動できるようになっていくはずです。

まとめ & 実践 TIPS

「宿題やったの?」がお決まりのセリフのようになりがちですが、子どもをよく観察していると、宿題をやる時間をきちんと決めていたり、取り組む順番を工夫していたりと、じつはいいところがたくさん見つかるものです。ぜひ“やる”と“やらない”の間にある小さな行動をどんどんほめたり、自分から始められるように上手に声をかけたりして、「自分からやってできた!」に導いてあげてください。そして、できたらまた「いいね!」とほめてあげてください。

プロフィール


渡辺弥生

法政大学文学部心理学科教授。教育学博士。発達心理学、発達臨床心理学、学校心理学が専門で、子どもの社会性や感情の発達などについて研究し、対人関係のトラブルなどを予防する実践を学校で実施。著書に『子どもの「10歳の壁」とは何か?—乗り越えるための発達心理学』(光文社)、『感情の正体—発達心理学で気持ちをマネジメントする』(筑摩書房)、『まんがでわかる発達心理学』(講談社)、『子どもに大切なことが伝わる親の言い方』(フォレスト出版)など多数。

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