泣き止まないペットロスの子ども[教えて!親野先生]
教育評論家の親野智可等先生が、保護者からの質問にお答えします。
【質問】
ペットの犬が死んでしまいました。子どももかわいがっていたので、泣いてばかりいます。「命あるものはいつか死ぬんだよ」と言うと、「わかってる」と答えるのですが、実際は泣いてばかりいます。
いつまでも泣いていないで、気持ちを切り替えて早く前向きになってほしいのですが。
タテヨコさん(小3女子)
【親野先生のアドバイス】
拝読しました。
確かに親としては心配になりますね。
でも、まずは思い切り泣かせてあげてください。
今、子どもは深い悲しみを感じていて、それは同時に強いストレスでもあります。
思い切り泣くことではじめて、その悲しみを表に出すことができ、ストレスも解消されます。
泣かないまま溜め込んでしまうのは一番よくありません。
子どもはペットの思い出や楽しかったことを話したがるかもしれません。
そういうときは、一緒に楽しい思い出を振り返ってあげましょう。
写真を見てペットとの楽しいひとときを語り合うのもいいですね。
あるいは、「もっとこうしてあげればよかった」など後悔の気持ちを話すかもしれません。
そのときは、「そんなことないよ。十分かわいがったじゃない」といきなり否定しないほうがいいでしょう。
まずは、「後悔しているんだね。つらいね。○○してあげたかったね」と後悔する気持ちにたっぷり共感してあげてください。
その後で、「でも、できることはしたと思うよ。気持ちは通じていたよ」と言って安心させてあげてください。
また、ペットのお葬式をして、そのとき自分で書いた手紙を読むようにするといいでしょう。
自分の思いを文章で表現し、それをお葬式の時に声に出して読むことで、気持ちの整理がつきます。
よけい涙をさそうことになりますが、ここで十分悲しみを味わったり泣いたりすることが本当に大切なのです。
このように、自分の気持ちに共感して一緒に悲しんでくれる人がいると、子どもの気持ちも少しは軽くなります。
そして、一緒に悲しんでくれる親に対する信頼の気持ちも出てきます。
こういうステップを踏まないで、泣きたい気持ちを抑えて我慢させていると、かえって長引いたり、鬱状態に陥ったりする可能性もあります。
また、「いつまでも泣いてないで、早く気持ちを切り替えなさい」などと押しつけていると、子どもは「ちっとも自分の気持ちをわかってくれない」と感じて親に対する不信感も出てきてしまいます。
なお、死の意味がまだよくわからない小さな子どもが恐怖や不安を抱いているときは、「天国に行くんだよ」「空の上から見守ってくれるよ」などと話してあげてください。
また、天国、雲の上、空の上などでペットが遊んでいる様子をイメージさせて、不安を和らげてあげるのもいいでしょう。
これら一連の経験が子どもにもたらすものもまた、大きいと言えます。
命のはかなさと愛おしさを知り、命を大切にする気持ちも育ちますし、ひとの悲しい気持ちに共感できるようにもなります。
私ができる範囲で、精一杯提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
みなさんに幸多かれとお祈り申し上げます。