子どもに金銭感覚を身に付けさせる教育方法とは?
大人にくらべ、お金を手にする機会の少ないお子さまたち。
小さいうちからしっかりと金銭感覚を養うことで、お金の大切さや計画的な使い方を身につけてもらいたいと思う保護者の方は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、お子さまの金銭感覚を養うために必要なことをご紹介します。
金銭感覚を養うことの重要性
◆子どものうちからお金に対する価値観の土台作りが必要
お金は「保護者が一生懸命働いて得られるものだから、大切なものである」いうことをきちんと伝えることが必要です。
そのためには、小さい頃からお金の大切さと、使える額に限度があるということをしっかりと教えていかなければなりません。
また、その金銭感覚を養うためには、親として、家庭における生活費や家計のやりくりなどがきちんと出来ていることが望ましい状態です。保護者や家庭の金銭感覚が、結果的にお子さまの金銭感覚に繋がります。お子さまの将来のための土台作りのためにも、家族でお金の大切さを話す場を設けてみましょう。
◆学校では教わらないお金の大切さ
お子さまは社会生活を通じて、たくさんのことを学ぶものです。園生活や小学校低学年のときには、お買い物ごっこなどでお買い物を経験したり、普段のお手伝いから学ぶところもあるでしょう。お子さまがお年玉やお小遣いを手にする時期になったら、保護者はきちんと管理することや貯金することを教えてあげましょう。
また、お小遣い制にすることで、決められたお小遣いを決められた期間にどういうふうに使うのか計画を立てさせたり、お小遣い帳を書かせたりするなど、お金の使い方を考えさせることも大切です。足りなくなっても追加してあげることはせず、足りなくなったのならば、次からは計画的に使うのか、ほしい物があるならばそれを買うまで貯金をするのかなど、実際に考えさせたり話し合ってみるのもよいでしょう。
お小遣いをあげることのメリット
◆お金の大切さを実感することができる
お小遣いをあげることは、自分のものを買うためのお金に制限が生まれたということになります。自分がほしいと思うものを「買って!」というだけで手に入った頃とは違い、手元にあるお金の額とほしいものの額を照らし合わせる必要が出てきます。
その照らし合わせ作業により、ほしいものをほしいときに買っていると、自分のお小遣いがなくなってしまうということにお子さま自身が気付くことができます。「ではどうしたらよいか?」ということを考え使わなくてはなりません。これは金銭感覚を養うためにとても重要なポイントといえます。
◆品物の価値と市場の相場が分かるようになる
保護者におねだりしてほしいものを買ってもらっていた頃は、その商品の価格については一切気にしていないもの。値段に関係なく「あれがほしい!」という気持ちだけで保護者におねだりしているので、買ってもらった物の価値というものがなかなかわかりにくいものです。
しかし、お小遣い制度を取り入れることで、自分がほしいと思ったものがどれくらいの値段なのか知る必要が出てきます。お財布の中身と相談しながら品物を選ぶことで、「これってこんなにお金が必要だったんだ!」という気付きにつながるのです。
お財布の中身を見ながら足りなくて妥協したり、諦めたりすることもあるでしょう。欲しいものは諦め、代わりに似たものを買ってみたら「安いのに、おいしい!」など、安くてもよいものがあることを知り、上手にお金を使う楽しさも生まれるようになります。
◆計画性が身に付く
お小遣い制を取り入れることで、お子さまなりにお金の使い方の計画を立てるようになります。自分のお小遣いがなくならないようにするためには、「あと何日間で使えるお金はこれだけ」というふうに計画を立てていかなければなりません。
お小遣いよりも高いものがほしい場合は、計画を立てコツコツと貯蓄していく必要もあります。しかし、自分で自分のお小遣いを貯蓄し、ほしいものが購入できたときの喜びはひとしおです。その喜びを知ることで、計画を立てることや貯蓄の良さを知ることもできるでしょう。
◆自己管理能力を育むきっかけが作れる
お小遣いをあげると同時に、お小遣い帳をつけるのもおすすめです。
計画性にも通ずる部分がありますが、「●●が欲しいけど、あとこれだけしかないや。何に使っちゃったのかな?」と自分のお小遣いの使い方を振り返り、「これは買わなくてもよかったかな。次から気を付けよう!」と反省する機会になるからです。
このように、お小遣い帳をつけることは、何に・どのくらい使っていて・それはよかったかどうか、という「反省」と、「次からどうするか」ということを考えて、ときには欲しいという気持ちを自制するなど、自己管理能力を育むきっかけになるのです。
お小遣いをあげるときの約束ごととは
◆お小遣いの使い方に口を出さない
大人から見てお子さまが無駄なお金の使い方をしていると、ついつい口出しをしたくなることもあるでしょう。
しかし、大人が無駄と感じるものでもお子さまにとっては魅力的なものかもしれません。
自分で買ってみて「やっぱり無駄遣いだったな」と感じることが、お金の使い方を知るうえでは重要です。大人が先に口を出してしまうのではなく、まずはお子さまがどのようにお金を使うのか見守ってあげましょう。
◆お小遣いは小銭で渡す
お金の価値を学習させるためにも、はじめは小銭をバラして渡すようにしましょう。例えば100円を渡す場合、100円玉を1枚渡すのではなく10円玉を10枚にして渡してあげる、などの形です。
そのように渡してあげることでどのお菓子にどれくらいお金が必要なのか、これを買ったらどれくらいお金が減るのかということがよりわかりやすくなります。お小遣いがたまってきたら、10円玉を100円玉にしたり、100円玉を500円玉にしたりすることで、お金の種類も理解しやすくなるでしょう。
また、お金の価値を学ばせたいという点では、クレジットカードについてお子さまに教えてあげるのも大切です。学校ではクレジットカードの仕組や、分割払いのメリット・デメリットなどは教えてくれません。お子さまに小銭でお小遣いを渡したときに、具体的なシチュエーションと数字を交えて、教えてあげましょう。
たとえば、「もし、●●くんが100円しか持っていなくて、300円のおやつが欲しいと思ったとき、本当は200円足りないけど、この"クレジットカード"を使えば、買うことができるんだよ。でもね、その200円は借りたお金だから、今はおやつを買えてうれしいけど、あとでちゃんと返すことを覚えておかないといけないんだよ」など、実際のカードを見せ、実際に小銭を使ってお金の動きを見せながら説明してあげるとよいでしょう。
◆1日or1週間単位で渡す
お子さまの金銭感覚を養うためには、まず1日単位でお小遣いを渡すことから始めてみることをおすすめします。
1ヵ月単位でお小遣いを渡してしまうと、慣れないうちは次のお小遣いの日までに全額使ってしまう可能性があるかもしれません。まずは1日単位でやりくりする習慣を身に付けさせ、慣れてきたら1週間単位に伸ばすなど、ゆっくりとお金の使い方を教えてあげましょう。
◆前借は絶対ダメ
お小遣い制を導入し始めた当初は、お子さまもお金の使い方がわかっていない場合もあり、お小遣いをあげた途端に「もうなくなったよ」なんてこともあるかもしれません。そこで保護者が「しょうがないなぁ」と前借を許してしまったら、お小遣い制の意味がなくなってしまいます。
我慢するということを覚えるチャンスでもあります。心を鬼にして、しっかりとお小遣いの使い方を身に付けさせてあげましょう。
小さいうちからお金の話を聞かせよう
金銭感覚は、大人になって急に身に付くものではありません。将来のことも見据え、お子さまが自分で管理し、どう使えばいいのかを考え、必要なことに使えるようにすることが重要なことです。そのためには、小さい頃からしっかり教え、親子で話し合いながら進めていくと良いでしょう。