食べこぼしの多い小学生を抱えるご家庭必見! 見直したい「3つのこと」

「もう小学生になるのに、食べこぼしが多くて困る」とお悩みを持つ保護者の方は
意外に多いようです。どうしたら食べこぼしを減らせるでしょうか。 食事作法についての書籍を多数執筆しているフードプロデューサーの小倉朋子先生に教えていただきました。

【1】正しい姿勢で座る

食べこぼしを少なくするには、正しい姿勢で座ることが大切です。イスに深く腰掛け、テーブルと体の間はこぶし1つ分あけましょう。実際にやってみるとかなり近いと思われるかもしれませんが、このぐらいテーブルと体の距離が近いと「犬食い」といって、犬のように食器に口を近づける食べ方にはなりませんし、猫背にもなりにくいはずです。また、食べこぼしをしたとしてもテーブルの上で済みます。

正しい姿勢を保つには、イスの高さも重要です。イスに座ってテーブルに手を下ろしたとき、ひじの角度が90度位になる高さが良いですね。小学生になると大人用のダイニングチェアを使う子どもが増えると思いますが、そのまま座ると低すぎることが多いので、固めのクッションを敷いて高さを調節しましょう。

【2】箸を正しく使う

箸は2本の棒ですが、つまむ、切る、はさむ、巻く、混ぜる、すくうなど、さまざまな使い方ができるとても便利な道具です。様々な箸の使い方をマスターすることで、お豆や煮物、焼き魚など伝統的な日本の料理を美しく口に運べるようになり、その結果、食べこぼしを少なくすることができます。

小学生でも箸を使うと「食べこぼしが多い」「食べるのが遅い」という理由で、和食でもスプーンやフォークを使わせているご家庭もあるようですが、それではいくらたっても箸の使い方は上達しません。箸はひとりで持てるようにはなりませんから、正しく箸を持って丁寧に食べるマナーを、日々の食事の中で伝えることが大切です。

はじめはなかなかうまくいかないので、保護者はイライラしてしまうこともあるかもしれませんが、根気強く教えてあげてください。食事とは別に楽しみながら練習するのも良いと思います。私がおすすめしているのは、濡れたおしぼりを箸で持つ練習です。箸で濡れたおしぼりを持ち上げる、たたむ、端をつまむ、まるめる、ひろげるといった練習をしてみましょう。重みのあるおしぼりを箸でいろんな風に持つことで、さまざまな使い方が習得できるはずです。

小さいお子さまや正しく箸が持てていない子は、いきなりスプーンから箸に切換えるのは難しいと思います。その場合は、「今日は卵焼きだけ箸で食べてみようか?」といったように、徐々に箸を使う機会を増やしていくと良いですね。そして上手にできたらたくさんほめてあげましょう。

【3】料理は一人ずつ提供する

食べこぼしを少なくするためには、料理は一人ずつお皿に盛って提供すると良いと思います。ただ毎食、レストランのように個別に盛るのは大変ですよね。大皿料理を出す場合は、取り皿と取り分け用の箸やサーバーを用意しましょう。料理を取る際は、大皿を自分の近くに置いてから、取り皿によそうようにします。

お皿をとる際は、右にあるものは右手で、左にあるものは左手で取りましょう。自分の離れたところに調味料や大皿料理がある場合は、周囲の人に「お醤油とって?」「そのお皿とってもらえる?」とお願いするのがマナーです。これは、自分や周りの人のお膳を手で覆う「袖越し」というマナー違反を避けるためです。服の袖が器に当たってホコリが入ったり、手や腕で食器を倒したりしてしまうことを防ぎます。会食などで、他の人に調味料などをとってもらうのは悪いからと思い、人のお膳に手や腕を伸ばす方がいますが、実はとても失礼なこと。「袖越し」は意外に見落としがちなマナーですので、ご家庭でも注意しましょう。

食への意識が変わると、人生も変わる

私は、食卓はとても良い教育の場だと思っています。料理を作ってくれる人や食材への感謝の気持ちだけでなく、人とのコミュニケーション、食を通して世界の文化や経済についても学ぶことができるからです。1日3回もある貴重な機会をぜひ大切にしてほしいですね。丁寧に食事をとることで、お子さまも食べこぼしが少なくなるだけでなく、食に意欲的になるため、好き嫌いがなくなるという効果があります。ぜひ、日々の食卓で、できることから取り組みはじめてほしいと思います。

プロフィール



株式会社トータルフード代表取締役。フードプロデューサー。亜細亜大学講師。世界各国の正式なテーブルマナー、食にまつわる歴史・文化・経済・トレンドなどを総合的に学び、生き方を考える「食輝塾」主宰。テレビ、ラジオなどメディアにも多数出演している。
公式サイト(http://totalfood.jp/)

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