子どもは実は知っている! 宿題をやって得られる本当の「ご褒美」
前回は、宿題に進んで取り組むきっかけを作る「お家の時間割」について、フリーアナウンサーで親子コミュニケーションアドバイザーの天野ひかりさんに伺いました。今回は、宿題と「ご褒美」についてお話ししていただきました。
「早く終わったからもっとやろう」はNG! 宿題が終わったらご褒美を
時間割表を作って、時間を見える化しようとすると、「自分は、宿題をやるのに何分かかるんだろう?」と考えることが必要になってきます。
1枚のプリントを10分でできるお子さまもいれば、30分かかるお子さまもいますし、昨日は1時間かかったのに、今日は30分でできるかもしれません。これは、毎日試行錯誤しながら時間割を調整するのがいいでしょう。
しばらくすると、「プリントを1枚やるのにだいたい30分かかるな」とわかってくるようになります。それを時間割どおり取り組むのはいいのですが、宿題の後に友達の家に遊びに行く予定があった日に15分でプリントが終わったとしたら、どうでしょう。「友達と遊ぶ約束をしていたら、いつもより早く宿題が終わった!」というのは子どもの中で一つの発見。余った15分が遊びの時間になったら、とても嬉しい気持ちになるはずです。
気をつけてほしいのは、「15分でできたなら、時間までもう1枚プリントをやろう」と言わないでほしいということ。早く宿題を終わらせたのに、これでは嬉しくありません。せっかくやる気を出して宿題を早く終わらせてもご褒美がないため、次の日からまた15分でできるドリルをダラダラと30分かけてやるようになってしまいます。
宿題を通して芽生える自己肯定感
宿題をきちんとやったら遊びの時間が増えたり、ゲームの時間が増えたり、宿題をやる時間を自分の中で調整すると、ご褒美の時間ができるということがわかるようになると、徐々にお子さま自身が時間をコントロールする能力が備わっていきます。また、ご褒美は時間に関わることでなくても大丈夫。「ケーキを食べられる」でも、「好きなお菓子を買ってもらえる」でもいいでしょう。
こうしていろいろなご褒美を繰り返していくと、保護者のかたは「ご褒美がなかったらやらない子になってしまうのでは?」と心配になるかもしれません。でも、そんな心配はいりません。実は、お子さま自身は目先のご褒美よりもっといいご褒美があることを知っていくからです。
宿題を毎日やっていると、勉強がわかるようになり、授業で指されたときも答えられるようになります。すると、先生からも褒められたり、友達に認められるようになったりして、気分がよくなります。宿題をやると、こんなふうに嬉しい気持ちになれるというご褒美があるということに、子どもは気づくようになるのです。
そして、ケーキやおもちゃというご褒美がなくても、先生や友達に認められるというご褒美をもらうと、自己肯定感が生まれます。それまでは、ママ、パパに認められることで育まれてきた自己肯定感が、今度は友達や先生に認められるというように、次のステップにいけるようになります。
小学生までに、こうした自己肯定感を深めていけると、子どもは今後の人生でも、どんどん自分から進んでいろいろなことをしていけるようになるはずです。