水彩画を上手に描きたい! ~絵を描く前に~

小学生には、図画工作、なかでも水彩画の描き方に苦労しているお子さまが少なくないようです。そこで、神奈川県湘南の風景をモチーフにした「江ノ島電鉄」などのカレンダーの制作をはじめ、数々の個展で作品を発表し、美術専門学校の講師としても活躍中の風景画家・湯浅誠先生に、水彩画を上手に描くコツや、水彩画の楽しさを教えていただきました。

絵の具とパレットの使い方

絵を描く前に、まず道具の使い方を学びましょう。

絵を描いていると、絵の具のいろいろな色を混ぜて使いたくなるでしょう。そこで、絵の具を混ぜる時の絵の具の取り方とパレットの使い方を説明します。

たとえば、絵の具を混ぜないで使う場合は、絵の具をパレットにあずき一粒くらいの量を出します。そして、水を筆に付けます。特に新しくおろす筆の場合は、筆先が乾いていますから、筆の中まで水がしみるように入れ、なじませます。使ったことのある筆の場合は、半分まで水に浸します。筆につけた水の量を調節するには、水を入れた筆洗(ひっせん/筆洗バケツ)のふちで水をぬぐいます。

そのあと、パレットから絵の具を筆に取ります。パレットか取った絵の具は、そのまま塗るのではなく、パレットの別の場所で筆になじませます。

色を混ぜて使う場合は、パレットに出した絵の具を端から取って、別の場所に置きます。他の色も端から取って混ぜます。この時、塗りたい量だけを取るのがポイントです。絵の具をたくさん取ってしまうと、混ぜても色が変わりにくくなってしまいます。ですから、絵の具はちょっとずつ取りましょう。混ぜても思ったような色にならない時は、絵の具の取りすぎが原因かもしれません。

筆の使い方

水彩画で使う絵筆は、習字の筆と違い、鉛筆と同じように斜めに持ちます。太い筆は広い範囲を塗る時に、細い筆は細かい部分を塗る時に使います。どちらの筆も、持ち方は同じです。

筆洗の使い方

多くの筆洗にはポケットが4つあり、片側が大きな1つのポケットで、もう片側が3つに分かれています。3つのうち、中央の部分は、筆を洗うのではなく、新しい絵の具を溶く時に使います。筆を洗う水と、絵の具を溶く水は使い分けましょう。そうすれば、前に使った絵の具の色と混ざってしまうこともありませんし、ひんぱんに水を替える必要もありません。

白い布の使い方

絵の具セットに入っている白い布は、筆を拭いたり、描く時に水の量を調節したりするために使います。一般的な絵の具セットの多くには白い布が入っていますが、古タオルなどで作ったぞうきんなどでもかまいません。筆に含んだ水の量が多すぎる時や、洗った筆を拭くためにも役立ちます。筆は、筆先を傷めないよう、丁寧に拭きましょう


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プロフィール


湯浅誠

建築パース制作会社に勤務後、現在は風景画家として活躍するほか美術専門学校の講師としても活動中。「江ノ島電鉄」のカレンダーの制作にも携わる。

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