水彩画を上手に描きたい! ~色を混ぜよう~

小学生には、図画工作、なかでも水彩画の描き方に苦労しているお子さまが少なくないようです。
そこで、神奈川県湘南の風景をモチーフにした「江ノ島電鉄」などのカレンダーの制作をはじめ、数々の個展で作品を発表し、美術専門学校の講師としても活躍中の風景画家・湯浅誠先生に、保護者のかたからの相談にお答えいただきます。また、水彩画を上手に描くコツや、水彩画の楽しさをご紹介します。

三原色について

「レモン色」「セルリアンブルー」「マゼンタ(赤紫)」の3色があれば、どんな色でも作ることができます。この3色は、プリンターで使われるインクの色で、この3色と黒を使ってさまざまな色が印刷されます。なお、プリンターや絵の具メーカーによって、色の呼び名が違う場合があります。

たとえば、セルリアンブルーとレモン色の絵の具を混ぜると、緑になります。レモン色を多くすると黄緑に、セルリアンブルーを多くすると青緑になります。セルリアンブルーにマゼンタを混ぜると紫になります。マゼンタを多くすれば赤紫、セルリアンブルーを多くすれば青紫ができます。マゼンタと黄色を混ぜればオレンジになります。3色を混ぜると黒ができます。このように、混ぜる色の割合を変えることで、さまざまな色ができあがります。どんな色でもできます。

※色の三原色には赤・緑・青の「光の三原色」がありますが、ここでは印刷やカラー写真などで利用される「色料/色材の三原色」について説明しています。

「色を作るよりも、絵の具を買うほうが簡単だと思う」と言う人もいますが、描きたい色にぴったり当てはまる色の絵の具は、実はなかなかありません。ですから、色を混ぜるということは大切なことなのです。

マゼンタの絵の具は買ったほうがよい?

たいていの12色の絵の具セットには、マゼンタ(赤紫)は入っていません。マゼンタがあれば、より多くの色を作ることができますが、なくてもかまいません。
たとえば赤と黄色を混ぜると、オレンジになります。赤と白を混ぜるとピンクを作ることができます。それにセルリアンブルーを足すと、マゼンタに近い色を作ることができます。

色を作るのも絵を描く楽しさの一つ

自分の思ったとおりの色が作れた時、「よい色を作れたな」と喜びを感じるでしょう。また、思いもよらない色ができた時には発見があります。このように、色を作ることも、絵を描く時の楽しさのひとつです。

下絵に色をつける前、別の紙で試し塗りをして、色を確認しましょう。紙の色や、絵の具の混ぜ具合、水の加減など、パレットの上と紙の上では異なる部分があり、実際に塗ってみなければ気付かないこともあります。


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プロフィール


湯浅誠

建築パース制作会社に勤務後、現在は風景画家として活躍するほか美術専門学校の講師としても活動中。「江ノ島電鉄」のカレンダーの制作にも携わる。

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