子どもの社会性を育てるカギは「いろいろな人との関わり」

ベネッセ教育総合研究所が2015(平成27)年に実施した「幼児の生活」に関する調査では、幼児が平日に園以外で遊ぶ相手として「友だち」が減少傾向にあることがわかりました。さらに、その他にも注目したい結果について、主任研究員の真田美恵子さんがお伝えします。

■以前よりも家族・親族で育児を支える傾向に

まず「しつけや教育の情報源」について尋ねた結果を見てみましょう。

Q. 現在、あなたは「お子様のしつけや教育」についての情報をどこから(誰から)得ていますか(母親のみ の回答)。

年代別に見てみると、40代の母親は「友人・知人」や「園の先生」が高めであるのに比べ、20代の母親は「祖父母」「SNS」「インターネットやブログ」が高い傾向があります。すぐに必要な情報が得られるインターネットは、特に若い世代の母親にとって頼れる存在のようです。

また、図3-1-2にあるように、母親が家を留守にする場合に「面倒を見てくれる人」は「父親」が年々増加。親族も変わらず高い傾向が見てとれます。しかし、「近所の人」や「父親・母親の友人」の割合がやや減少しているのがおわかりでしょうか。この結果からも、幼児が地域の人と関わる機会が減りつつあるといえるのではないでしょうか。

Q. 面倒を見てくれる人(機関・サービス)を教えてください(母親のみ の回答)。

■周囲の人との関わりを増やして「将来必要となる力」を育てる

幼児が家族や園の友達以外に、地域のいろいろな友達や大人と関わることは、子どもの人間関係の範囲を広げ、社会性を育てることにつながります。たとえば、自分と考えの違う相手と出会ったり、違いを受け入れたり、時にはトラブルを経験しながら子ども同士で解決することもあるでしょう。また、年齢や立場の異なる人々と接することも子どもたちが多様な価値観や人との関わり方を学ぶ機会になります。こうした経験により子どもたちにはグローバル社会で将来必要になる「多様な文化を受け入れて、周囲の人と協力しながら物事を解決する力」の基礎が育まれると考えられます。

■「地域みんなでの子育て」は、親子にとってのメリットがいっぱい

具体的には、同年代の子どもが集まる地域の催しや、親の交友関係を生かした集まりに参加することも、子どもたちの社会性を育むよい機会です。無理に参加することはありませんが、保護者にとっても子育ての悩み・楽しみを共有できる人と出会い、アドバイスをし合ったり、自身の気分転換になったりするかもしれません。そのことは、自分の子どもや自分自身のためだけでなく、他の親子にとっても同じようによい出会いや関わりの経験となるのです。

各地域では、公共施設や保育所などの身近な場所を利用した育児支援の事業が行われています。インターネットでも手軽に検索できますので、そういった場を検討してみるのも一つの方法です。地域みんなで見守る育児は、母親がひとりで抱え込むことなく子どもを育てる安心感にもなり、子どもにとってもよい成育環境につながることでしょう。

  • ※ベネッセ教育総合研究所「第5回 幼児の生活アンケート」(2015<平成27>年)
  • http://berd.benesse.jp/jisedai/research/detail1.php?id=4770

(筆者:真田美恵子)

プロフィール


真田美恵子

「ベネッセ教育総合研究所」にて乳幼児領域を中心に、保護者や幼稚園・保育所・認定こども園の園長を対象とした意識や実態の調査研究を担当。これまで担当したものは、「幼児教育・保育についての基本調査」(2007・2008年、2012<平成19・20、同24>年)、文部科学省委託事業「保育者研修進め方ガイド」(2010<同22>年)、文部科学省委託事業「認定こども園における研修の実情と課題」(2009<同21>年)、園向けの情報誌「これからの幼児教育」編集(2008<同20>年)など。

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