子どもが風邪の時、どうする?【子どもの風邪についてのQ&A】

子どもはなぜ風邪にかかりやすいのか、そして風邪をひいてしまったら、どのタイミングで病院に行ったらよいのか、たかはし耳鼻科の高橋健太郎先生に教えていただきました。知っているようで知らない、子どもの風邪について、Q&A式でお伝えします。

■Q1 小児科? 耳鼻科? 子どもの風邪はどこにかかればよい?

A. 風邪の症状が現れやすい鼻・のど・胸・おなかなど全身の診察をしてもらうためには、小児科と耳鼻科の両方に行くのが最良といえるでしょう。しかし、地理的にも時間的にも難しいことが多いのではないでしょうか。そのような場合は、風邪の症状によってかかる病院を選ぶことをおすすめします。
小児科では胸やおなかの音を聞いてくれます。ひどいせきが出る場合、食欲がない場合、下痢や嘔吐(おうと)をしている場合などは小児科に行きます。一方、鼻水が出ている、鼻が詰まっている、のどが痛い場合は耳鼻科のほうがよいでしょう。特に、子どもは鼻をかむのが苦手な場合が多いため、鼻水が多い時や、のどにタンがからんでいる時は、機械で鼻水を吸引してくれる耳鼻科がおすすめです。

■Q2 風邪の時は、お風呂に入ってもよい?

A. お風呂は、熱がある場合も本人が元気な様子であれば入って大丈夫です。長風呂など疲れるような入り方をしなければ、さっぱりしますし、汗も流せるので何も問題はありません。ただ、お風呂は体力を使うので、高熱でぐったりしている時は避けたほうが無難です。

■Q3 風邪の時は栄養のあるものを食べると早く治る?

A. 風邪で食欲がないと、保護者のかたはますます心配になるのではないでしょうか。ただ、現代では、普段の生活で蓄えられた分があるため、栄養のことはそこまで気にしなくてよいかと思います。風邪の時はあまり栄養にとらわれず、子どもの欲しがるものを与えましょう。

たとえば、アイスクリームなら食べられるという場合は、それでもかまいません。 ただ、風邪で汗をかくと水分が体の外に出ていってしまうため、水分だけは十分にあげてください。お茶・お水・麦茶・スポーツドリンク・おみそ汁・ジュースなど、好みのものであれば何でもかまいません。食事の時間にとらわれず、こまめに与えましょう。

■Q4 風邪の時は、汗をかいたほうが早く治る?

A. 熱が上がって自然に汗をかくのはよいですが、無理やり汗をかかせるのは体力を消耗させるため、なるべく避けましょう。風邪のひき始めに布団をたくさんかぶせて汗をかかせるという方法も体に負担をかけることになってしまいます。
風邪の時の温度調節は本人が心地よいと思うようにしてあげるのが一番です。熱が下がる効果はありませんが、暑がっている場合には、額に貼る冷却シートも気持ちよいでしょう。逆に寒がっている場合は、布団を一枚増やして温めてあげてください。

■Q5 薬を飲み忘れてしまったらどうする?

A. 薬は風邪を治すために、本人に合った量が処方されているものです。そのため、薬の量は極力守ってほしいのですが、どうしても飲めない場合はあらかじめ医師と相談してみましょう。たとえば、保護者の目が届きにくい昼食後に飲み忘れてしまう場合が多い時は、朝晩2回や1日1回のものにするなど工夫をしてもらえることもあります。また、飲み忘れた場合は、思い出した時に飲ませてください。

■Q6 風邪のせきをこじらせると、肺炎になってしまう?

A. 風邪と肺炎は症状が似ていることから、「風邪をこじらせたら肺炎になる」と考えているかたもいらっしゃるかもしれません。しかし、これらはすべて勘違い。肺炎というのは、肺炎の細菌やウイルスに引き起こされる別の病気です。 逆に、呼吸が速い場合、発熱してから3日以上熱が続く場合は、肺炎の可能性があるので、すぐに小児科に行きましょう。

■Q7 家庭では、どんなことを心がければよい?

A. 風邪のウイルスや細菌は乾燥が大好きで、空気が乾燥していると、どんどん増えていきます。そこで、ご家庭では、室内の温度は22度、湿度は50~60%にするのが理想的です。ただ実際には、部屋の換気などもするでしょうし、湿度をこの数値に保つのは難しいかもしれません。保護者のかたが看病疲れしてしまわない範囲で、加湿を心がけてあげてください。

そして、家庭の中で風邪をはびこらせないために大切なのが手洗いです。家族の感染は、せきの中に入っている風邪菌を手で触り、それを知らず知らずのうちに自分の口に入れていることで移ることが多いものです。家族全員でこまめな手洗いを行ってください。 また、元気があって、遊びたがっていれば、無理やり寝かせておく必要はありません。普段より少し気を付けて見守ってあげましょう。

子どもは風邪をひきながら大きくなっていきます。風邪をひいた時は、普段にも増して、気にかけ、手をかける時間も増えますが、親子の絆が深まるよいチャンスなのかもしれません。正しい知識を持って、乗り越えていきましょう。

プロフィール


高橋健太郎

信州大学医学部附属病院 耳鼻咽喉科に勤務後、ベルギー・アントワープ大学の医学遺伝学講座・耳鼻咽喉科頭頸部外科に留学。その後、江戸川区の耳鼻咽喉科を経て、現在のたかはし耳鼻科の院長に。「自分で病気を治す力を育む」ことを方針に、日々の診療にあたっている。

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